赤城山(黒檜山・駒ケ岳)  標高1828m 登山開始地点標高1342m

       自分の足で登らない山シリーズ第10弾 群馬県中央部に位置する存在感のある火山
 
◆ 2013年4月14日

  今回は、群馬県の赤城山である。独立峰で、群馬県の中心部からはよく見える大きな成層火山だ。調べてみると、神奈川県からでも日帰りが十分可能である。この季節、雪があるかどうか微妙だったので、前日にビジターセンターに電話すると、数日前に雪が降ったそうだ。アイゼンが必要ですか、と聞くと、「必要ないが、道がぬかるんでいる」という。念のため、スパッツを持っていこう。



 東京駅を6時52分に出発したあさま503号は、7時46分に高崎駅に着いた。赤城山行きのバスは前橋駅から出るので、20分ほど待って両毛線に乗り換える。東海道線のお古のような列車が走るローカル線で本数も少ない。

  1 高崎駅に到着したあさま503号          2 両毛線小山行き普通列車
   

 前橋駅では、萩原朔太郎のポスターがあった。この地の出身なのだろう。上州出身者の知名度で言えば、赤城山になじみが深い国定忠治だが、さすがに犯罪者を表に出すわけにもいくまい。国定忠治は、博徒であったらしいが、群馬県は今でも公営ギャンブルやパチンコが盛んらしい。
 10年ほど前に一度仕事で前橋駅に降りたことがあったが、その時の驚きは今もよく覚えている。あまりの閑散とした寂しい駅前に目を疑ったのである。ここが関東地方で、しかも県庁所在地だとはとても信じられなかった。
 2度めに見た前橋駅前は、綺麗に整備されて、マンションも建っている。しかし、何かが足りない。8時45分発赤城山行き急行バスを待つ間、マックのコーヒーを飲みながら考えるが何が足りないのかはよくわからなかった。

  3 前橋駅                      4 前橋駅
    

 バスに乗って、前橋の町並みを眺めながら、やっと足りないものに気がついた。それは人である。道路はあるのだが、人がまったく歩いていないのであった。不思議な県庁所在地である。中心街でも車で移動するのだろうか。
 1時間弱で赤城山頂にある火口湖、大沼湖畔のバス停に着いた。

 5 あかぎ広場前バス停
    

 6 案内図

 赤城山という固有の山はない。箱根と同じく火山の総称である。大きな山頂に大沼をはじめいくつかの火口湖があり、その周りを山が取り囲んでいる。標高1300m以上あるその大沼まで、バスで登れるのだから、こりゃ楽である。赤城山の最高峰は、大沼の北東側にある黒檜山(くろびさん)という標高1828mのピークだ。今日は、この山に登って、その南にある駒ケ岳経由で再び大沼湖畔まで戻ってくる周回コースを歩くことにしよう。赤城山でも最も一般的なハイキングコースである。標高差も500mに満たないので、このシリーズの趣旨どおりのルートだ。

  7 赤城神社
    



 8 赤城神社から大沼と地蔵岳を望む


 赤城神社を横目で見ながら大沼の東側を北上し、黒檜山登山口を目指す。周回コースなので、南の駒ケ岳から黒檜山を回る逆コースでも良いのだが、ネット上のハイキングコース紹介を見ると、なぜか黒檜山を先に登って駒ケ岳を回る、時計回りコースになっている。理由は書いていないが、わざわざそうなっているのは、なにか訳があるのだろう。ここは素直に時計回りにする。

  9 黒檜山登山口                   10 登山口からの急登
   

 登山口からはゴロゴロした石のあるいきなりの急坂だ。



 11 急坂の途中から見下ろす大沼と地蔵岳

  12 猫岩へ                     13 大沼
   

 息を切らして一息ついて休憩する場所からは、大沼の美しい姿が眺められる。

 14 猫岩から大沼、地蔵岳を望む

 いま、春を迎えようとしている赤城山頂である。

  15 猫岩標識                    16 駒ケ岳分岐へ その1
   

 猫岩という標識のある場所に着いた。どれが猫岩なのかよくわからない。ここから尾根のなだらかな道になるようだ。

  17 アイゼンの傷                  18 駒ケ岳分岐へ その2
   

 登山道の石には、細かい線状の傷がついている。アイゼンによるものだろう。冬でも登山者が多いのだろうか。スキー場もあり、冬でも交通の便が良いせいかもしれない。



  19 駒ケ岳分岐へ その3              20 北面の残雪
   

 標高1500mを超すと、雪が出てきた。北側斜面なので溶けにくいのだろう。

  21 駒ケ岳分岐へ その4              22 地蔵岳を望む
   

  23 駒ケ岳分岐へ その5              24 駒ケ岳分岐へ その6
   

  25 駒ケ岳分岐へ その7              26 駒ケ岳分岐直下
   

 いよいよ凍った雪になり、チェーンスパイクを持ってくればよかったかなと思えるほどになったが、ほどなく、駒ケ岳と黒檜山の分岐に着いた。山頂も近いはずである。

  27 駒ケ岳分岐                   28 黒檜山山頂へ
   

 思ったよりすぐに人集りがある黒檜山山頂に到着した。時刻は、11時30分だ。

  29 黒檜山山頂                   30 黒檜山山頂標識
   



 31 黒檜山から東方向を望む

 眺めが悪いわけではないが、北の尾根筋の先に眺めの良い場所があるらしいので、雪の残った道を奥へ進んでみる。

  32 黒檜山から北へ その1             33 黒檜山から北へ その2
   

  34 黒檜山北側の見晴らし尾根
   

 そこには、数人の人がいた。山頂にいる人と違って、明らかに山慣れているとわかる人たちである。

 35 黒檜山北側の尾根から北の山々を望む

 ここから北側の眺めは素晴らしかった。右側は白根山をはじめとする日光方面の山々、左は谷川連峰だと思うが、確かめたわけではなく、テキトーに思いついただけなので信用しないでいただきたい。まあ、白くて美しい雪山には変わりがない。

 36 黒檜山北側の尾根から大沼と鈴ヶ岳を望む




 さて、バスの時間もあるので、駒ケ岳方面に出発である。山頂を過ぎてちょうど駒ケ岳分岐に戻ってきたところで、正面から若くて可愛い女性が歩いてきた。男の子と一緒である。まあ、それだけなら珍しくもないので記憶に残ることもなかったのだが、こうして記録に残ることになったのは、それだけのインパクトがあったからである。ここは、ちょうど雪解けで道がぬかるんでいたのだが、その登山道を見て彼女が放った言葉は、
「ゲッ、う○こみち....先に行ってよ!」
という、その姿に似つかわしくない衝撃的なものだった。別にヤンキーというわけではない。むしろ、正統派の美少女と言ってもいいような女の子から「う○こ」という言葉がでたことにショックを受けたおじさんは、男の子に少し同情しながら先を急いだのであった。
 そういえば、ぬかるみに備えてスパッツを持ってきたのだが、使わないで済みそうだ。もちろん、これが泥ではなく本物のう○こだったら私だって迷わずスパッツを使ったに違いない。

  37 御黒檜大神                   38 花見ヶ原分岐
   

 木製の階段を下り、黒檜山と駒ケ岳の間をつなぐなだらかな鞍部に向かう。

  39 大ダルミへ その1               40 駒ケ岳
   

 途中で登りと下りの人が会話していた。登ってくる人は反時計回りだが、時計回りの人が多いのでその理由を訪ねていた。理由は、もちろん大沼から黒檜山への急峻な登山道である。岩も多く、初心者が下りにとるのは避けたほうが良いということだろう。特に今日のように、雪が残っているとかなり大変だと思う。

  41 大ダルミへ その2               42 大ダルミへ その3
   



  43 大ダルミから駒ケ岳を望む            44 大ダルミ
   

 その鞍部が大ダルミである。この辺りは、笹原になっており、ぬかるんでいなければ実に歩きやすい道である。

 45 大ダルミ標識
   

 46 大ダルミから黒檜山を振り返る


  47 駒ケ岳へ その1                48 雪解けの池
   

  49 駒ケ岳へその2                 50 駒ケ岳へ その3
   



  51 駒ケ岳直下から黒檜山を望む           52 駒ケ岳直下
   

 12時40分に駒ケ岳山頂に着いた。遠くから見るとかなり登り返すのかと思ったが、大ダルミからちょっと登っただけで着いてしまった。今日は、楽なコースで距離も短いので体力に余裕があったせいかもしれない。山頂はあまり広くない。

  53 駒ケ岳山頂                   54 駒ケ岳山頂標識
   

  55 駒ケ岳山頂から桐生市方面を望む         56 大沼へ その1
   

 ここまで順調に来ているので、うまくいけば13時45分のバスに乗れるかもしれないと思い、5分ほどの休憩で先に進む。

  57 大沼へ その2                 58 大沼へ その3
   

  59 尾根の草原                   60 大沼へ その4
   

 写真60の地点で登山道は、尾根を外れて、右折して大沼方面に下りていく。



 こちらの登山道は急ではあるが鉄製の階段になっており、降りるときの危険はない。やはり、時計回りに歩くようになっているのである。

  61 大沼へ その5                 62 大沼へ その6
   

  63 大沼へ その7                 64 登山口
   



 道路に出て、バスの始発地点であるビジターセンターに向かうと、覚満淵という解説板があった。時間が15分ちょっとあったので、急いで行ってみることにした。

  65 覚満淵解説板                  66 覚満淵 その1
  

 67 覚満淵 その2


 そこには、美しい沼と湿原が広がっていた。静かだ。今日の締めくくりに丁度良い、癒しの風景である。一瞬ボンヤリするが、バスの時刻が迫っていた。我に返ってビジターセンターに引き返す。

 68 覚満淵 その3


  69 赤城山ビジターセンター
    

 ここからバスに乗ったのは、一人だけであった。

 GPSによる本日の歩行経路


 GPSによる今日の高度記録


 赤城山は、山頂の火口湖までオールシーズン、気軽にバスで登れる火山である。大沼を中心とする美しい景色と自然はすばらしく、黒檜山登山は、初心者にも安心な登山、と言うよりも少し本格的なハイキングコースと言って良いだろう。山頂の先からの北の眺めは特に圧巻だった。
 新幹線を使えば日帰り圏内なので、今度は雪のある冬に来てみたいと思った。

(本日の歩数:15781歩)                          

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