早 川 探 訪

 箱根の芦ノ湖付近から仙石原に流れ出し、渓谷となって、宮ノ下や箱根湯本などの箱根を代表する温泉街を形成しながら、小田原市早川で相模湾に注ぐ。観光地として訪れる人は多いが、川そのものの素顔を知る人は意外に少ない。
◆第2日目 2010年9月19日  大平台駅〜仙石原

 連休中ということもあって、箱根湯本駅から乗り込んだ登山電車はやたらと混んでいた。1本待ったがそれでも座れないほど満員である。この駅で多くの人が小田急線から乗り替えるが、せいぜい2〜3両編成という登山電車では圧倒的に輸送力が不足しているのである。
 たくさんの乗客をかき分けて標高349mの大平台駅で降りる。天気は曇り。下界は晴れていても箱根は雲がかかっていることが多い。平地に比べて、雨や霧も多いことで有名である。

  1 大平台駅                     2 国道1号線
 
  

 ここから宮ノ下までは、国道1号線を歩く。歩道もなく、渋滞する車の横を歩くが、他に道はない。早川ははるか谷底を流れており、その姿を見ることはできない。



 箱根は日本最古の本格リゾート地と言ってもよいだろう。古くからある道なので、史跡がところどころにみられる。

  3 道銭徴収所跡解説板                4 道銭徴収所跡
  

  5 宮ノ下温泉街
  宮ノ下温泉街に着いた。 

  6 宮ノ下散策地図


 ここ宮ノ下からは早川に降りる堂ヶ島遊歩道があるはずだ。観光案内所で案内図をもらって、谷底に降りていく。
 谷底の堂ヶ島には、何と自前のケーブルカーとロープウェイを持っている2件の旅館があるのだ。

  7 谷底へ降りる道                  8 大和屋ホテルケーブルカー乗り場
   

  9 ケーブル到着駅                  10 大和屋旅館
   



 大和屋を過ぎて、対星館の中を通りすぎると鉄橋がある。

  11 対星館                     12 対星館から夢想橋へ
   

 久々の早川である。典型的な温泉旅館と渓流の景色だ。

  13 夢想橋                     14 夢想橋から下流を望む
   

 橋を直進すると夢窓国師の閉居跡があるらしいが、旅館の私有地になっているようなので行くのはやめておく。
 ところで、この夢想橋という橋の名前は、この夢窓国師と引っ掛けているのだろうか。

  15 夢想橋から上流を望む              16 夢窓国師閉居後への道
   

  17 対岸から対星館を望む

 橋を渡って左折すると川沿いの遊歩道である。正式には堂ヶ島渓谷遊歩道というが、チェンバレンの散歩道ともいうらしい。散歩道というよりは登山道に近いハイキングコースといった感じである。ところで、チェンバレンとは誰か。詳しくは、ここに書いてあるが、明治時代、富士屋ホテルに滞在した学者さんらしい。

  18 遊歩道 その1                 19 遊歩道 その2
   

  20 遊歩道から早川を望む              21 東電の発電用水路
   

  22 案内図


  23 東電川久保発電所                24 発電所から早川を望む
   

 発電所を過ぎると吊り橋があり、再び早川の右岸側に渡る。

  25 蛇骨川合流地点                 26 東電の吊り橋 その1
   

  27 東電の吊り橋 その2              28 吊り橋から下流を望む
   

  29 吊り橋から上流を望む
 
  

 30 吊り橋を振り返る


 吊り橋をわたると階段を上り対岸の国道への道となる。国道1号線は蛇骨川沿いに分岐しており、この先、早川は国道138号線と並行することになる。ここから再び国道歩きである。

  31 谷から国道への階段               32 国道138号線
   



  33 国道138号線からみた早川

 堰堤が多いのが気になるが、緑の中を流れる早川の渓流は美しい。

  34 国道138号線から下流を望む         35 ベルツの別荘跡解説板
  

  36 木賀付近の支流                 37 木賀付近 その1
   

  38 道標                      39 木賀付近 その2
   



 木賀を過ぎると、宮城野である。

  40 宮城野橋                    41 宮城野橋から下流を望む
   

  42 
宮城野橋から上流を望む             43 大文字橋から下流を望む
   

 テニスコートに続く大文字橋から上流は、人工的に固められた開けた川になり、河畔に桜並木の歩道が続いていた。

 44 大文字橋から上流を望む


  45 河畔の遊歩道 その1              46 宮城野付近
   

 釣り人で賑わっている。

  47 河畔の遊歩道 その2              48 遊歩道終点
   



 歩道の人気がなくなると、淋しげな橋に着く。マンション専用の橋らしい。

 49 パークマンションへの橋            
  50 パークマンション橋から下流を望む 
   

  51 パークマンション橋から上流を望む      
  52 岩崎橋
   

 次の橋も公道ではなく、立入禁止になっている。国立公園内のはずだが、立ち入り禁止が多い、ずいぶん閉鎖的な地域である。

  53 岩崎橋から下流を望む              54 岩崎橋から上流を望む
   

 川沿いの道はなくなり、碓氷洞門で再び国道に戻る。
 水源の碑があった。本来なら箱根には芦ノ湖という天然の立派な水源があるのだが、神奈川県民はその水を飲むことができないという笑い話のような現状がある。そのため、こんな山奥の水源をかき集めて水道水源としているらしい。

  55 碓氷洞門                  
  56 水土野水源
   



  57 
小塚橋から下流を望む              58 箱根ガラスの森
   

 小塚橋を過ぎて、箱根ガラスの森に着いた。久々に見る観光地と人ごみである。ガラスの森の先を左折すると、入仙橋である。仙石原の入り口という意味だろうか。
 ここでの早川は、かなり水量が少なくなっている。

  59 入仙橋から下流を望む              60 入仙橋から上流を望む
   

 仙石原は、観光施設、ホテル、リゾートマンションが立ち並んでいた。残念ながら早川沿いを歩くことはできない。

  61 星の王子さまミュージアム その1

 62 星の王子さまミュージアム その2


  63 星の王子さまミュージアム その3        64 仙石原のメインストリート
   



 大川橋でやっと早川を見ることがてきた。ここまで深い谷と渓谷を刻んできた早川も、ここ、箱根カルデラ内の平らな土地を流れる場面では、平凡な小河川となって穏やかに流れている。

  65 大川橋から下流を望む              66 大川橋から上流を望む
   

 今日は時間的に芦ノ湖まで源流をたどるのは無理なので、ここ仙石原で調査を終了することにした。標高は約700mなので、350mほど遡上してきたことになる。そういえば、残暑が厳しい下界よりもずいぶんと涼しい。
 帰り道は、バスで小田原に出るルートと御殿場に出るルートがあるが、連休中で道路の混雑が予想されるので、後者を選択することにする。新宿駅まで行く高速バスであるが、御殿場駅で途中下車してJRで帰路に着いた。

  67 箱根ラリック美術館               68 新宿行き高速バス
   

 今日は、早川が箱根カルデラ内の北半分を流れる過程をたどってきたことになる。谷が深く、河畔を歩けるのは、堂ヶ島と宮城野地区だけであるが、それぞれ異なった、なかなか印象深い川の姿を見ることができた。
 華やかな観光地を彩る早川も、ここまで来るとずいぶん小さな流れになってきた。次回はいよいよその源流、芦ノ湖に迫ることになるだろう。

 (本日の歩数:23076歩)

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