姫路城  平成の大修理で生まれ変わった国宝姫路城             
◆ 2015年8月27日

 8月も終りに近い日、夏休みを取らないといけないので、仙丈ヶ岳に続いて山登りに行こうと思ったが、天気がわるい。前半の猛暑が嘘のように肌寒い雨の日が続いている。
 27日、28日の各地の天気予報を見ると、台風の影響が残る中で、関西地方だけは晴れそうである。そこで、新幹線から見るだけで、今まで行く機会のなかった姫路城に行くことを思いついた。平成の大修理後の混雑もそろそろ落ち着いているだろう。別名白鷺城と言われ、現存する数少ない城郭の中でも、もっとも美しいと言われている、国宝である。

 もう一箇所、かねてから行きたいと思っていた場所があるので、今回はその二つの場所を訪れる計画を立てる。といっても前日に、乗る列車の時刻を調べたり、ホテルの予約をするだけである。パソコンのキーボードををちょこっと叩くだけでよい、なんとも素晴らしい情報化社会になったと改めて実感する。

 今回はただの観光なので、アウトドアと違って体力やルートや装備の心配をする必要もなく、精神的にも気楽だ。

 小田原駅から新幹線で西に行く場合、乗る列車は限られている。今回は名古屋でひかりからのぞみに乗り換えるが、夏休み期間中なので念のため指定席をとろうとすると、窓際は売り切れていた。

 8時8分小田原発のひかり503号に乗りこむ。自由席に行ってみると空いていたので、そのまま窓ぎわに座るが、残念ながら富士山は見えなかった。名古屋で乗り換えたのぞみ101号は混んでいたので、素直に通路側の指定席に座る。隣の派手目な若い女性が無防備な姿で寝ていて、ヒールを履いた足や腕や頭がこちらの席にはみ出てくる。小心者の私としては押し返すこともできず、ただ、誤解を受けないように半身で通路側に向いて座らなければならないので、肩身が狭い。こうなると半身でスマホをいじるしかない。リラックスし過ぎのOL風のお姉さんは新大阪で降りて、やっと体を伸ばせるようになったと思ったら、まもなく姫路駅に着く。10時45分、定刻どおりだ。

  1 姫路駅に到着                   2 姫路駅
   

 姫路駅は結構大きな駅だが、そこから北に大きな道路が一直線に伸びていて、その向こうには、白亜の城が浮かんでいる。城は高台にあるので、まさに「浮かんでいる」という表現がピッタリである。これには、感動を覚えた。駅と道を作った時に、わざとこの場所を選んだのだろうか。
 駅のすぐ前に外濠があったようだ。

  3 姫路駅から姫路城を望む              4 外濠跡
   

 ビルの中に山陽姫路駅があったので覗いてみる。終着駅のようだ。ここから神戸まで、山陽本線と平行しているらしい。神奈川県で言えば、東海道線に並走している京浜急行線のような立場か。

  5 山陽姫路駅入口                  6 山陽姫路駅
   

  7 本陣跡               8 中濠跡
       

 駅前から続く広い通りをひたすらまっすぐ歩く。

  9 中濠跡の石垣                   10 コスプレスタジオ
   

 だんだん観光地っぽくなってきた。

  11 観光施設
     

 12 内濠


 駅前から真っ直ぐ伸びる道がミニ皇居(江戸城)を思わせる濠にぶつかると、正面に白く輝く姫路城が現れる。

 13 内濠から姫路城を望む


 14 大手門と桜門橋解説板


  15 桜門橋                     16 大手門
   

 広い芝生の広場は、三の丸である。この辺りに家臣が住んでいたのかもしれない。姫路城は、丘のような高台の上に建っている。これが、姫路駅から見た時も城が浮いているように見えた原因である。ロケーションとしても素晴らしい位置である。

 17 大手門から中へ


 やっと天守閣に近づいた。姫路駅の近くに外濠があったことを考えると非常に大規模な城郭であることがわかる。西国を監視し、畿内への入口となるこの姫路が非常に重要な位置にあったことが、この姫路城を作ったとも言える。

 18 天守閣を見上げる


 19 姫路城解説板


 上の解説板にもあるように、明治時代は陸軍の基地になり、太平洋戦争では米軍に爆撃されたにも関わらず、城が失われなかったのは、奇跡としか言いようが無い。城内に落とされた焼夷弾は不発だったそうである。

  20 菱の門                     21 菱の門を入る
   

  22 菱の門から姫路城を望む
     

 23 井戸解説板


  24 井戸
     

 25 場内案内図


  26 二の丸
         

 時代劇のセットそのものである。いや、こちらが本物なんであるが。外国人だったら忍者を連想するに違いない。

 27 はの門


 段々天守の懐深くに入ってきた。江戸時代だったら、相当身分の高い武士でないと、ここまで入れなかっただろう。

 28 にの門へ


  29 狭間                      30 狭間から敵を覗う
   

 鉄砲隊の一人になったつもりで狭間を除くと、ちょうど敵が一人いたので、本人には申し訳ないが、妄想の中で射撃の的になってもらった。

  31 にの門                      32 ほの門へ
   

 かなり暑いので、熱中症対策しとして大きな霧吹き機が置いてあった。

  33 熱中症防止対策                 34 ほの門
   

  35 水一門
         

 36 姥ヶ石


  37 どれが姥が石?                  38 水三門
   

 幾つかの厳重な門をくぐり抜けて、いよいよ天守閣の中に入っていく。

  39 天守閣を見上げる その1            40 天守閣入口
   

  41 天守閣を見上げる その2            42 天守閣へ
   

 急な階段を登ったところで、靴を脱ぐ。

  43 天守閣内部への階段               44 靴を脱ぐ
   

  45 天守から見る景色                46 水一門を見下ろす
   

  47 廊下
         

 48 北方面の眺め


  49 昭和の大修理時の模型              50 消火設備
   

  51 急な階段
         

 53 小天守解説板


  54 三階                      55 三階からの眺め
   

 中は薄暗いが、間違いなく時代劇でみたままの江戸時代の廊下と部屋が続く。眺めは最高である。

  56 階段を登る                   57 四階から三階を見下ろす
   

 階段は狭くて急である。

  58 大天守四階
         

 59 大天守四階解説板


  60 四階                      61 五階へ
   

 そしてついに最上階の五階に着いた。混んでいる。天守閣の各階は上に行くほど、狭くなる上に、上りと下りの人が一緒になるので混雑するのは当たり前である。神様が祀ってある。
 係の人の誘導があまり良くなかったらしく、初老の男性が大声で怒鳴っている。関西弁なので、ヤクザそのものの口調である。それにしても怒っている理由は、言った言わないという小学生並みのことで、困ったものである。外国人が多いのに、恥ずかしいことだ。キレる老人が社会問題になっているが、なんとかならないものだろうか。

  62 5階最上階
         

 63 天守最上階から見る城下・姫路駅方面


 64 天守最上階から見る城下・南東方面


  65 最上階
     

 播磨を支配する象徴としての素晴らしい眺望だ。江戸時代にこの景色を見ることができたのは、本当の支配者である限られた人たちだったはずだ。

 二人のおじさんが、「殿様もこんなところに住むのは大変だったろう。不便だよな。」と話しているのが聞こえた。確かに階段が多く、ここまで登ってくるのも一苦労である。良いのは眺めだけだ。が、天守閣は、本来、戦のための防御施設である。平時は、偉い人やお姫様も下の平地に住んでいるはずだ。殿や姫が、いつもこの天守閣の最上階に住んでいるわけではないのである。

 66 天守最上階から見る東方面


 67 天守最上階から見る北方面


 最上階から降りて行く。武者隠しや石落としなどがあり、天守閣が戦闘のための建物であることを再確認させられる。ここまで敵が迫ったら、もう最後の抵抗だろう。切腹の時が迫っていることになる。もっともその前に城に火をつけられて、炎上しそうな気もする。

  68 武者隠し                    69 石落し
   

 殿も使った石段が残っていた。時代の割にすり減っていないのは、建物の中にあることと、使う人が限られていたからだろう。

  70 当時のままの石の階段              71 見事な石垣
   

 外に出ると、薄暗い天守閣の中と違って、青空が眩しい。

 72 江戸時代と変わらぬ眺め


 73 大小天守閣を見上げる


 74 美しい天守全景


 75 南側からの天守全景


 76 大天守閣


 流石に国宝、堂々たる風格と信じられない美しさである。よく今日まで残ったものだ。

 77 への門


  78 井戸
     

 79 石棺解説板


 80 りの門へ


 81 高い石垣


 82 りの門を振り返る


 城だけでなく、門や石垣も素晴らしい。

  83 お菊井戸
     

  84 お菊井戸から天守閣を見上げる


  85 ぬの門                     86 るの門へ
   

 87 西の丸から天守閣を望む


 今度は西の丸に廻る。姫や家来の居住区である。

 88 西の丸解説板


  89 西の丸から天守閣を望む             90 男山千姫天満宮を望む
   

 千姫はここから毎日男山を眺めて祈ったそうである。今日は、千姫は化粧櫓にいた。

  90 化粧櫓                     91 化粧櫓から見る光景
   

 92 西の丸長局


 93 西の丸から天守閣を望む


 西の丸から三の丸に出てきた。名残惜しい姫路城の姿を再度網膜とデジカメのメモリに焼き付けて、城をあとにしよう。

 94 三の丸広場から天守閣を振り返る その1


 95 三の丸広場から天守閣を振り返る その2


 姫路駅に戻り、次の目的地である、鳥取に向かう。関西方面から鳥取へはスーパーはくとが便利である。1994年に、新しい路線である智頭急行智頭線が開通して、この列車が走るようになってから鳥取がぐんと近くなった。14時20分に姫路を出て、15時54分に鳥取に着いた。所要時間は、約1時間半である。

  96 姫路駅のスーパーはくと7号           97 鳥取駅
   

 ホテルにチェックインしてから、市内をブラブラすることにした。まず、鳥取といえばスターバックスである。一応解説しておくと、スターバックスが無い県は鳥取県だけであったが、2015年5月23日、ついに鳥取にもできたのである。
 結構話題になったので、さっそく行ってみよう。流石に、開店直後のような行列はなかったが、美人OLがテラスにいたり、なかなかおしゃれな雰囲気である。少なくとも汚い若者がパソコンをいじっている東京のスタバなんかよりもずっとファッショナブルである。

 平井鳥取県知事が鳥取砂丘を砂場に例え「スタバはないけど、日本一のスナバはある」と発言したことをきっかけに、「すなば」というコーヒー屋ができたらしい。「スタバ」と「すなば」の一騎打ちの勝負はどうなるのか、気になるところである。しかし、今日は「すなば」にはいかなかった。場所がよくわからなかったので。

  98 スターバックス シャミネ鳥取店          99 ラウンドアバウト交差点
  

 さらに市内をブラブラしていると、ラウンドアバウト交差点があった。これは初めて見る。信号機がいらないので、省エネで災害時に電気が止まっても大丈夫ということらしい。しばらく見ていると、一時停止とラウンドへの合流があり、結構ドライバーの判断力が必要な感じである。交通量の多いところでは無理そうだ。

 鳥取県庁まで行ってから、帰り道に地元の居酒屋に寄った。境港であがった魚やとうふちくわを食べ、地酒を味わった。若い女性の店員さんは親切で、社交辞令だろうが、神奈川県からわざわざ来てくれたと言って地酒を1杯サービスしてくれた。鳥取には何もなくて、と言っていたが、そんなことはない。なんといっても、「日本一のスナバ」がある。明日は、その鳥取砂丘に行ってみよう。

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