海岸線をどこまでも 本州一周(になるかもしれない旅) 千葉県房総半島南端を踏破中 
◆第12+11日目(2008年10月26日)  富浦駅 〜 館山駅


 浜金谷駅に着くと、ちょうど何人かの乗客が改札を出てくるところだった。それにしても、フェリーの到着時間を甘く見ていたのは迂闊だった。内房線下り列車に乗り遅れてしまったのだ。ここでは、それは致命的なミスである。なぜなら次の普通列車は1時間後だからである。
 しかし、時刻表をみると、この駅にも、20分後に特急が来るらしい。幸いなことに、今日の出発地の富浦駅にも止まるようだ。というわけで、予定外ではあるが、写真1のように黄色い特急「さざなみ」に乗り込んでつかの間、富浦駅に到着した。

 1 浜金谷駅                   2 富浦駅
   



 駅をおりると少し戻りながら海岸に降りて、突き当たりの逢島から南へ続く原岡海岸を歩く。今日の天気予報は「曇り時々晴れ」だが、ときどきどころか太陽は全く顔を出さない。それどころか、雲行きが怪しい。そのせいで写真が今ひとつで暗くなってしまった。

 3 原岡海岸 その1             4 原岡海岸 その2
   

 原岡海岸は、真ん中の桟橋が印象的である。夏の喧噪は過ぎて、今は、一組の中年の夫婦が散歩しているだけである。

 5 原岡海岸 その3               6 桟橋
   

 浜に向かって小さな神社が鎮守している。こういう風景は、昔の人の海に対する気持ちがわかるようで、何ともいえない。

 7 桟橋の上から                  8 渚の神社
   

 天気は良くないが、キャンプをしている人がいた。

 9 原岡海岸キャンプ場              10 岡本川河口
   



 岡本川を渡ると多田良海岸である。神社に向かって、真剣に手を合わせている少年がいた。受験だろうか。あまりに何度も丁寧にお辞儀をするのが可笑しくて、思わず写真を撮ってしまった。

 11 多田良海岸の犬の散歩            12 神社で手を合わせる少年
   

 13 地引き網                  14 海岸沿いの住宅
   

 多田良浜を過ぎると、富浦漁港である。漁港からは緑の岬が目の前に横たわっている。

 15 富浦漁港                  16 岬への分かれ道に建つ住宅
   

 港から海岸を離れて大房岬への道を登っていく。

 17 大房岬への道               18 駒沢大学セミナーハウス
   
  
 19 謎の豪邸                  20 原岡海岸を望む
   



 この岬は、南房総国定公園の中核をなす自然豊かな半島である。気候のせいか、樹木も南国風である。

 21 大房岬自然公園の樹木            22 大房岬自然公園 その1
   

 写真23の第一展望台からの眺めはすばらしい。手前の岬は南無谷岬、そのむこうは、岩井で沖合に浮島が浮かんでいる。その先は明鐘岬であろう。鋸山の鋸のギザギザもよくわかる。

 23 第一展望台からの景色            24 大房岬自然公園 その2
   

 公園内は、所々に芝生広場があり、気持ちがよい。第2展望台からは三浦半島や富士山が見えた。

 25 幕末砲台跡解説版              26 第2展望台からの景色
   

 展望台からは増間島という尖った島が見える。名前の由来は、下のとおり。

 27 増間島解説板                28 増間島
   

 ここからも東京湾と対岸が見える。なぜか帆船が見えた。(後日、ネットで日本丸だという情報をいただいた。11時に館山港を出港したそうである。)
 案内板によると、洞窟があるらしいので、山道を下に降りて行く。途中は写真30のような難所もあってちょっと不安になる。

 29 東京湾を行く帆船              30 弁財天洞窟への道
   

 弁財天洞窟のいわれは写真31のとおりなのだが、読んで不安を抱きながらも早速、洞窟に入る。とは言っても、洞窟の入り口は岩の間を転がり落ちるような感じだ。誰もおらず、普通は一人でこんな気味の悪い洞窟に入ろうとは思わないだろう。少し後悔する。

 31 弁財天洞窟解説板              32 洞窟入り口
   

 洞窟の奥はどこまで続いているわからないそうだ。大学の探検隊か誰かが、調査しないのだろうか。

 33 弁財天                   34 洞窟の奥
   

 気味の悪い洞窟の底から見る外界は、なぜかまぶしい。神々しくさえ思える。写真35を見るととても登れないように見えるが、岩を一つずつ登れば子供でも大丈夫である。

 35 洞窟から見る外界の光            36 岩場
   

 岩場に降りると、増間島がすぐそばにあった。

 37 増間島近景                 38 海岸から見た絶壁
   



 39 要塞跡解説板                40 要塞跡 その1
   

 41 要塞跡探照灯格納庫解説板          42 格納庫入り口
   

 43 格納庫通路                 44 格納庫
   

 旧日本軍の要塞跡は大規模であるが、なぜかもの悲しい。三浦半島の旧軍遺跡と共通した雰囲気がある。しかし、皮肉にもこうして自然公園としての現在の姿があるのも、軍事施設だったからであるというのも事実である。民有地であれば、自然は残らなかったし、公園にもならなかっただろう。この辺は、東京湾に残された自然の宝庫である観音崎、猿島、富津岬なども同じ事情である。

 45 格納庫から外界を見る            46 儀式の場所
   

 写真46は、キャンプ場の一部だが、キャンプファイヤーというよりも秘密結社か怪しげな宗教の儀式をやる場所に見えてしまうのは映画の見過ぎだろうか。

 47 ビジターセンター              48 湧水池解説板
   

 49 湧水池                  50 発電所跡
   



 南芝生園地は、その名の通りすばらしい場所である。もし、晴れていたなら、もっとすばらしい景色だろう。

 51 南芝生園地 その1             52 南芝生園地 その2
   

 上を見上げると大きなホテルがある。

 53 南芝生園地から富浦ロイヤルホテルを望む   54 大島?
   

 55 砂浜から館山湾を望む           56 大六海岸
   

 57 海岸園地の説明板              58 地層の岬 
   

 強風の上に、雨が降ってきたので、急遽ホテルの中に逃げ込む。

  本日の気象衛星写真(日本気象協会 tenki.jp)
  

 59 雀島                   60 ロイヤルホテルのプール
   

 豪華なホテルの中は、外の嵐とは別世界、静かで広々しており、のんきなハロウィーンのディスプレイで気が抜けた。しばらく休憩してから、また、小雨、強風の中を歩き始める。

 61 ホテルのロビー               62 ホテル全景
   



 大房岬でずいぶんと時間を使ってしまった。半島を後にして、住宅街の中を道の駅である枇杷倶楽部目指して歩く。南房総は、枇杷の産地で、枇杷畑があちこちに見える。

 63 びわ畑                   64 古い民家
   

 65 多田良橋から見る岡本川           66 枇杷倶楽部入り口 
   

 67 枇杷倶楽部休憩所              68 枇杷倶楽部売店
   

 枇杷倶楽部は、おしゃれでアットホームな雰囲気だ。枇杷ソフトが飛ぶように売れている。ここで昼食を食べた。

 69 枇杷倶楽部全景               70 裏口の花壇
   

 道を挟んだ反対側には、気になる形の建物があったので入ってみた。「とみうら元気倶楽部」といい、市の入浴施設、ホールや図書館などの多目的な複合施設らしい。外観だけでなく、内部もなかなかすばらしい。

 71 とみうら元気倶楽部            72 元気倶楽部内部
   

 トイレも美しく、洗面台を思わず写真に撮ってしまった。高級ホテルよりもセンスがいい。

 73 元気倶楽部トイレの洗面台         74 蘇鉄畑
   

 道の駅を後にしてまた歩き始める。このあたりは枇杷とともに蘇鉄の栽培も盛んなようで、写真74のような蘇鉄畑?も点在している。



 富浦学園前のバス停もなかなか良い感じだ。竹藪を抜ける道は通学路なのだろうか。

 75 富浦学園バス停               76 瀧淵神社
   

 ついに、館山市にはいる。久々の海に再会するが、強風でますます荒れている。

 77 館山市境界の看板              78 西浜
   



 79 東京都船形学園               80 諏訪神社
   

 81 稲荷神社                  82 漁港の廃屋
   

 船形港には、かなり大きな船やクレーンがあった。どこか荒涼とした港を抜けると、館山湾である。海岸沿いに防波堤の上を歩く。

 83 船形漁港                  84 那古海岸 その1
   

 85 魚礁?                   86 那古海岸 その2
   

 写真88のトイレは、南欧風である。

 87 保険会社保養所               88 南欧風公衆トイレ
   

 天気がよい日には、気持ち良く歩ける海岸線だろうが、この日は強風のため苦労した。波は一部で防波堤を超えており、危ないので走って通り抜ける。館山湾は、波が静かなため別名「鏡ヶ浦」というそうだが、今日はその名前は当てはまらない。
 動画はこちら →  

 89 那古海岸 その3              90 開成学園那古宿舎
   



 91 那古海岸の家                92 平久里川河口
   

 クリーンセンターというのは要するに下水処理場であろうか。それにしても外観はここも南欧風で、まるでリゾートホテルである。海沿いにはいくつかリゾートマンションも建っているが、もちろんエントランスは南欧風だ。

 93 鏡ヶ浦クリーンセンター その1       94 南欧風リゾートマンション その1
   

 95 鏡ヶ浦クリーンセンター その2       96 南欧風リゾートマンション その2
   

 97 南欧風リゾートマンション その3      98 南欧風公衆トイレ
   

 99 北条海岸 その1             100 北条海岸 その2
   



 101 南欧風ビーチセンター          102 北条海岸 その3
   

 館山駅の標識があったので、海岸線から左折する。道にはパームツリー並木があり、まさにリゾートである。もう一つ、リゾート気分を盛り上げているのは、建物が南欧風である点だ。しかし、公衆トイレ、下水処理場、マンションから普通の民家や商店まで、なぜ南欧風なのだろうか。その疑問は、後日、調べて判明した。その理由はこれである。観光都市として、歴史を切り捨てて、リゾートに徹するというのも、中途半端な開発より良いことかもしれない。
 日本では、木造建築の歴史が断絶し、中途半端に西欧化したため、文化的には多様、悪く言えば何でもありということもあって、都市景観に対する住民の美意識はほとんどない。電柱も乱立したままである。街並みに統一性を持たせるのは、観光か大規模開発しかあり得ない。都市景観という点では、西欧先進国に比べて、明らかに劣っていると思う。
 館山の場合は、南欧風が良いかどうかは別として、行政だけでなく、市民も景観の維持に協力しているという点は、すばらしい。ちなみに、個人的には、気候的条件とリゾートというテーマから考えて、南欧風で正解だと思う。いつか、住んでみたいと思わせるだけの雰囲気が醸成されている。

 103 南欧風ホテル?保養所?          104 夕映え通りの南欧風街並み その1
   

 105 夕映え通りの南欧風街並み その2    106 夕映え通りの南欧風街並み その3         
   

 107 夕映え通りの南欧風街並み その4     108 夕映え通りの南欧風街並み その5
   

 駅舎ももちろん南欧風である。が、列車の本数は少ない。1時間も待ってしまった。横浜行きのバスもあるが、やはり本数は多くない。ただでさえ遠い房総半島の先端である。家についた頃には、すっかり夜遅くなってしまった。

 109 南欧風の館山駅西口            110 館山駅東口
   

 今日は天気予報がはずれ、悪天候の中であったが、大房岬と館山海岸という、南房総を代表する、南国のリゾートテイストあふれる行程であった。天気が良ければ、もう一度来たい。さらにすばらしい景色が望めるだろう。 
 次回は、館山駅からにさらに南下。鉄道も走っていない房総半島の最南端、南房総を代表するリゾート地域に突入である。この調子で行くと、天気さえ良ければすばらしい旅になりそうである。

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