海岸線をどこまでも 本州一周(になるかもしれない旅) 千葉県房総半島南端を踏破中 
◆第12+12日目(2008年11月2日)  館山駅 〜 平砂浦


 湘南海岸を出て24日目、ついに房総半島の南部の中心地、館山までたどり着いた。ここまで基本的には海岸沿いにかなりの距離を歩いてきたわけだが、過去の写真を見ると、不思議にその時の記憶が瞬時によみがえる。その時々の光景がイメージとして脳の記憶中枢に焼き付いているのだろう。他のこともこれくらい記憶に残れば、今頃は6カ国語が話せたかもしれないが、現実は日本語だけで精一杯である。
 さて、ここまで来ると、旅する地域が自宅からどんどん離れていっているわけで、往復に要する時間が余計にかかるようになってきた。館山駅は、横浜からの直行バスがあり、所用時間はこれが一番短い。難点は、始発が9時と遅いことである。
 その横浜を出発したバスは、東京湾を横断し、館山自動車道に入る。終点の富浦ICで降りた後、枇杷倶楽部を経て、椰子の並木が続く国道を通り、10時30分に館山駅東口に到着した。天気は、まあまあで、青空も見える。以前にも書いたが、館山駅は写真2のように南欧リゾート風の美しい建物だ。

 1 横浜ベイブリッジを渡る高速バス        2 館山駅東口
   



 3 館山駅西口前                 4 館山駅西口
   

 美しい駅前から、夕映え通りを海岸へ向かう。

 5 夕映え通り                  6 北条海岸から北を望む
   

 7 北条海岸南を望む                8 南欧風トイレ
   

 海岸に突き当たると、南へ向かう。

 9 南欧風の市街                 10 木製桟橋
   

 11 ジェットスキーヤー?            12 安房博物館
   

 博物館には、興味をひくものがなさそうだったので、スルーし、館山港を横目で見ながら進む。

 13 館山港                  14 館山航空基地前の分岐路
   



 突き当たると、そこは海上自衛隊の基地である。第21航空群というそうだが、要するにヘリコプター部隊らしい。なぜわかったかというと、門の中にヘリが展示してあったからである。外から写真を撮ると怒られそうだったので、思い切って警備している自衛隊の人にヘリの写真を撮らせてほしいと素直に頼んでみた。しばらくして上官が出てきて、写真撮影の許可を得て中にはいる。時間がないので、写真を数枚撮ってお礼を言うと、「もういいの?」と言いたそうな意外な顔をしていた。兵器オタクか航空オタクだと思ったらしい。とりあえずその成果は、写真16と17である。もう引退した機体なので軍事機密には当たらないらしい。

 15 海上自衛隊館山基地(第21航空群)     16 基地内の展示ヘリ(SH−60J
   

 基地内には、大きな蒲鉾型の建物がある。あの中に最新型のヘリがあるのだろうか。

 17 展示ヘリ(HSS−2対潜ヘリ)       18 基地内の様子
   

 19 館山港西側岸壁               20 鷹之島弁天閣
   

 自衛隊の基地の端に延びている道をひたすらあるく。目的地は、沖ノ島である。

 21 館山湾を挟んで大房岬方面を望む       22 休憩所
   

 やがて堤防の先に緑の島が見えてきた。

 23 那古船形方面を望む             24 沖ノ島方面を望む
   



 沖ノ島は、いわゆる陸繋島である。砂州によって陸地とつながっているのである。珊瑚の生息地の北限だそうである。

 25 沖ノ島                  26 砂州から見物方面を望む
   

 この島は、昔は陸から500mも離れていたそうである。陸とつながった原因は、基地の埋め立てであるという説と、関東大震災による島の隆起によるものとする説があるようだ。この地に館山海軍航空隊が設置されたのが、昭和5年、関東大震災の5年後である。埋め立ては昭和3年に始まったらしい。震災の少し後である。航空隊の基地埋め立て以前の海岸線は現在の蟹田川だと思われるので、陸から500m離れていたのは、事実であろう。そうすると埋め立て以前に陸とつながっていたというのは現在の砂州の形から見ても不自然である。いくら隆起したからといって、数年で500mの砂州が形成されるとは考えにくい。
 おそらく、真相は、震災によって島が隆起し、その後の埋め立てによって陸と島との距離が100m程度に近づき、海岸線の地形や潮流の変化によって砂州が形成されて、陸繋島になったのではないかと推測される。
 昔の写真や陸続きになった経緯についてはこのブログでも話題になってるようだ。市のホームページによると昭和28年頃に陸続きになったそうである。

 27 空から見た沖ノ島              28 島の中央の休憩所とトイレ
   

 島の中は、無人島っぽい、(というか無人島なのだが、)ワイルドな感じである。突き抜けると、思わずキャンプをしたくなるような浜がある。ジャングルの道を抜けると目の前に海が広がる...という感じで動画を撮ってみた。

 29 島の北側の海岸               30 灯台を望む
   

 31 沖ノ島灯台                  32 入り江
              

 このまま島で遊んでいると日が暮れてしまうので、引き返す。そのまま、基地の端を海岸沿いに州崎方面へ抜けられれば良いなと思ったが、残念ながら立入禁止である。今来た道を延々と戻るしかない。この時ばかりは基地が邪魔だと思った。すでに12時半である。

 33 島から対岸を望む              34 大賀付近の民家の塀
   



 35 館山ハム                  36 ファミリーオ館山
   

 やっとのことで、基地の反対側にたどり着く。ここからは海岸線沿いに州崎まで行けそうだ。



 37 わらぶき屋根の家              38 新宿区立臨海学園
   

 39 別荘                    40 西岬漁協
   



 海岸線が、素朴な感じになってきた。古そうな神社が向かい合わせになっている。

 41 浜田付近の海岸              42 船越鉈切神社
   

 43 海南刀切神社                 44 かっこ舞説明板
   

 45 松庵                   46 松林
   

 47 大房岬を望む                48 見物海岸
   



 49 休暇村館山                 50 休暇村館山敷地
   

 休暇村は、いかにも、といった大衆的な感じのリゾート施設だが、なぜか、外観は館山市ご指定の南欧風ではない。

 51 休暇村館山の椰子と空    


 その代わりといっては何だが、トイレやバス停はちゃんとスペインテイストである。

 52 水中観光船『たてやま号』         53 名郷浦バス停
   

 写真54のとおり、建て売り住宅も南欧風だが、その上にあるホテルは、市の方針に逆らって尖っている。

 54 南欧風建て売り住宅             55 大六海岸
   

 海岸は、素朴だが美しく波も穏やかである。

 56 波佐間海岸 その1             57 波佐間海岸 その2 
   

      

 58 坂田付近の別荘               59 58の別荘下のプライベートビーチ
   

 写真60のここは、頼朝の上陸地点だということだ。しかし、何かおかしい。勝山海岸にも碑があったはずだ。史実としては、こちらは不利らしいが、頼朝が矢尻で自らこの地を一突きするや滾々と湧き出たのがこの矢尻の井戸であるということだ。真偽のほどはともかく、古い井戸があることは事実であった。

 60 矢尻の井戸                 61 風の抄
   

 沖ノ島でずいぶんと時間を使ってしまったが、やっと州崎灯台が見えてきた。早速灯台への坂道を上る。一応観光地らしいが、寂れていてかえって好ましい雰囲気だ。

 62 州崎灯台遠景                63 灯台への入り口
   

 64 灯台解説板                    65 州崎灯台 
       

 灯台の解説板にもあるように、ここ州崎はこの旅のターニングポイントである。なぜなら、剱崎以来、ずっと東京湾の沿岸部を歩いてきたわけであるが、ここから、海は再び太平洋になるのである。太平洋...なんと雄大な響きであろうか(自己陶酔....)。とにかく、あの穏やかな東京湾に別れを告げて、これからは太平洋の荒波に立ち向かっていかなければならないのだ???(自分でも何を言いたいのかよくわからなくなってきた....)

 66 灯台から州崎を望む             67 州崎の赤い別荘
   

   

 68 州崎の空


 東京湾と太平洋を分ける州崎の空は、写真68のように雄大で、両者の境界線を示すように幾筋かの雲のラインが伸びていた。

 69 州崎の民家                 70 州崎西漁港
   

 71 漁港横の公園                72 州崎神社
   

 73 州崎神社解説板 その1           74 その2
   

 75 ダイビングショップ              76 ホテルの送迎バスと西川名バス停
   



 77 西川名漁港                78 西川名付近の住宅
   

 写真79は、これぞ南国リゾートという、いかにもな写真であるが、現実には、日本にはこういう風景はなかなかないものだ。絵はがきにして、売り出したいくらいである。

 79 椰子の木と夕景   

 80 ホテル?                  81 高級別荘?その1
   

 椰子の木と別荘が建ち並び、すっかりリゾート風景になってきた。

 82 高級別荘? その2
  

 写真83の道路などは、映画で旅立ちのシーンに使えそうなロケーションである。この辺は伊戸(いと)というらしいが、看板や派手な広告のない広々としたいいところである。

 83 伊戸漁港への海辺の道


 84 海沿いのカフェ?              85 平砂浦ビーチホテル
   



 86 海岸近くの畑とおばあさん           87 平砂浦西端
   

 そして、やっと平砂浦についた。もう空は暮れかけているが、高い空は以外と力強い青で、最後の輝きを放っている。 

 88 平砂浦夕空 その1


 89 別荘?                   90 平砂浦の岩場
   

 平砂浦は長い海岸でビーチホテルが建つこのあたりが、西端になる。海岸沿いには遊歩道が続いている。

 91 北の空                  92 海岸沿いの遊歩道
   

 93 平砂浦夕空 その2

 94 海側から見たビーチホテル          95 チャペル
   

 96 岩場から布良方面を望む           97 平砂浦の砂浜
   

 浜は非常に広く、いわゆる砂丘であるが、砂の上には葦がたくさん生えており、草原になっている部分もある。

 98 海岸の草原とビーチホテル夕景        99 草原とリゾート施設
   

 写真101の看板のとおり、夕焼けはすばらしい。看板の文字も何ともいえないいい味を出している。もう少し古くなると、もっと味が出てくるだろう。

 100 ホテル?                101 サンセットビーチへの道標
   

 102 平砂浦夕空 その3


 空が綺麗なので、何枚も写真を撮ってしまった。

   本日の気象衛星写真 (日本気象協会 tenki.jp)
    



 103 ザ・リンクス               104 ホテル・アクシオン館山エントランス
   

 この旅ではなかなか夕焼けを見ることはない。家に帰らなければならないからである。さすがに真っ暗になってからは、見知らぬ土地で行動するのは避けたいものだ。
 しかし、今日は余裕である。泊まるところを確保したからだ。房総半島南端部は鉄道がなく、不便なため、泊まりを前提とした予定を組まざるを得ないという事情もあって、ネットでホテルを探していると、先ほどのビーチホテルとアクシオン館山というこのホテルがヒットした。決め手は建物の外観である。館山市のリゾート建築コンセプトをそのまま具現化した、この南欧風のホテルにしたわけである。新しいわけではないが、なんと言ってもこのホテルの売りはスペイン風のこの外観らしい。確かに非日常的なリゾート気分にはなれる。
 やっとたどり着いたホテルの玄関では、ウェディングドレスの花嫁さんがいて、ザックを背負った薄汚いおじさんがホテルに入っていくのは憚られるような気がしたが、フロントで追い返されることはなかった。一人で泊まるのは何となく後ろめたいものだ。

 105 ホテルのロビー             106 ロビーから客室棟へ
   

 107 ホテル中庭から その1          108 ホテル中庭から その2
   

 109 ホテル中庭から その3          110 ホテル中庭から その4 
   

 111 ホテル中庭から その5          112 ホテル中庭から その6
   

 113 ホテル中庭から その7          114 ホテル中庭から その8
   

 このホテルは、館山という土地によく似合っている。温泉付き和風旅館でなければダメという人以外は、まあ、外観とロケーションは気に入るだろう。

 115 ホテル中庭から その9          116 ホテル中庭から その10
   

 117 ホテル中庭から その11         118 ホテル中庭から その12
   

 119 ホテル・アクシオン館山からみた夕空


 オレンジの空と屋根、雲のラインと椰子の木のシルエットが重なって、なかなか絵になっている。

 120 ホテル中庭から その13         121 ホテル中庭から その14
   

 122 ホテル内のパティオ            123 ホテルの部屋
   

 疲れ切った体を家まで連れて帰る必要がないのはありがたい。露天風呂に入ってから、ビールを飲み、ホテルの広いベッドでぐっすりと眠ることができた。極楽浄土である。体は疲れているが、心は解放されて、生きていて良かったと感じる瞬間だ。(単純な男だと思われるだろうが、まあ、たいていの人はそんなもんだろう。) 室内はスペイン風というわけではなく、ごく普通のリゾートホテルであった。
 今日は、南房総の核心、館山の中でももっともリゾートらしい地域を歩くことができた。写真でもわかるように、素朴で寂しいほどの海岸だが、すばらしい自然とリゾート施設が点在する天国のようなところである。
 そして、州崎からは東京湾に別れを告げて、いよいよ太平洋岸を歩くことになった記念すべき日である。明日は、平砂浦の後半部分を経て、房総最南端を目指そう。

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