神田川探訪
 
  井の頭公園を源流として、淀橋、お茶の水、秋葉原などの都心を経て隅田川と合流
第2日目・前半(2008年1月26日) 高田馬場駅(新宿区高田馬場)から源流(三鷹市井の頭池


 神田川といえば、歌になっていることは前編でも書いたが、さらに映画にもなっている。草刈正雄と関根恵子主演であるが、そのジャケットの背景に昔の神田川が写っている。本人たちの美しさに比べて、背景の川や街並みははっきり言って汚い。現在は、当時より、水も街並みも綺麗になったことだけは確かである。
 冒頭から話が脱線したが、今日は、神田川の2日めである。今までは山手線内の都心を歩いてきたが、今日は山手線の外側、武蔵野へむけて遡っていくことになる。
 出発点は都の西北、高田馬場だ。

 1 高田馬場駅                    2 清水川橋から下流を望む
   

   

 こんな目立たないところに、川を挟んで大学があった。すこしごみごみした感じの街並みである。

 3 田島橋から上流(東京富士大学)を望む       4 宮田橋から上流を望む
   

 5 瀧澤橋から上流を望む               6 高田馬場分水路流入口
   

 高戸橋近く、1日目の写真86に続く分水路の入口が写真6である。つまり、この分水路は、増水時に高田馬場西側一帯を洪水から守っていることになる。
 ここで、川は少しずつ向きを変えて、南から北へ向かうようになる。すなわち、南へ向かって遡っていくことになる。

 7 久保前橋から下流を望む              8 亀齢橋から上流を望む
   

 このあたりは、右岸に川沿いの公園があり、歩くのには快適である。公園の名前どおり、神田上水が流れていたのだろうか。そして、川は中央線を横切る。川のすぐ横には高層マンションが建っている。東中野の駅に近い。

 9 神田上水公園                   10 万亀橋から下流、中央線を望む
   

 11 中野区東中野付近の河畔遊歩道          12 柏橋から下流を望む
   

 13 末広橋                     14 末広橋から下流を望む
   



 青梅街道が神田川を渡る橋が淀橋である。淀橋といえば、浄水場の跡地が高層ビルの林立する新宿副都心になったことで有名である。ヨドバシカメラもここが発祥の地らしい。そんな有名な「淀橋」という地名の由来が、この神田川を渡る橋だったとは知らなかった。
 写真16がその偉大な淀橋である。もちろん自転車でこの橋を渡っているお兄さんは、そんなことは眼中にないだろうが。周囲は、近代的なビルが建ち並んでいる。なぜか、開放感があると思ったら、電柱が無いからであった。

 15 栄橋から下流を望む               16 淀橋
   

 淀橋をすぎると、川沿いの道が途切れる。仕方なく、路地を入ったら、写真17のように地上げもされず、昭和にタイムスリップしたような街並みの向こうに高層ビルが見えた。不思議な光景である。

 17 新宿区西新宿の過去と未来            18 相生橋から下流を望む
   

 このあたりは、一戸建ての住宅街でもなく、高層ビルでもなく、何となく中途半端な小綺麗な街である。この辺の橋は新しくて綺麗で、河川改修か再開発がされた感じがした。川のコンクリート壁もまだ新しい。それにしても、もうすこし環境や緑、親水に考慮した施工を工夫出来なかったのだろうか。?
 写真19の正面には、新宿の高層ビル群がそびえ立っている。

 19 皐月橋から下流、新宿の高層ビル群を望む     20 寿橋から下流を望む
   

 地下鉄の駅があった。丸の内線がこんなところにまで延びているのは知らなかった。

 21 中野富士見町駅                 22 富士見橋から上流を望む
   

 写真23が善福寺川との合流地点である。両方ともコンクリートに固められ、何とも味気ない合流ポイントである。しかし、この上流で初めて野鳥?かどうかわからないが、カモの姿を見た。初めての野生生物の確認である。何を食べているのだろうか。ここでは、身を隠す植生もない。

 23 善福寺川合流地点                24 初めてみたカモ
   

 25 角田橋から下流を望む              26 泉南緑地で遊ぶ親子
   



 ここで、環七を横切る。地下には写真27の巨大な地下の遊水池が設けられているが、地上は写真26のように一部公園になっており、ほほえましい光景が見られた。都市化が進み、雨水が地下に浸透しなくなったため、過去には、神田川は洪水を起こしやすくなっていた。現在はこういった人工的な遊水池や分水路によって、洪水が無くなったことは、地域住民にとってはありがたいことだろう。

 27 環状7号線地下調整地              28 番屋橋から下流を望む
   

 29 中井橋から下流を望む              30 杉並区和泉付近の河畔
   

 31 栄泉橋から下流を望む              32 神泉橋から上流、井の頭線を望む
   

 井の頭線を過ぎると、少し緑も増えて、静かな住宅街になってきた。

 33 杉並区永福付近の河畔 その1          34 ひまわり橋から下流を望む
   

 写真36のように、鯉が群れていた。水もやや透明度を増しているようだ。

 35 杉並区永福付近の河畔 その2          36 下高井戸運動場付近の鯉
   

 緑のある、気持ちの良い河畔の道を歩く。

 37 幸福橋                     38 杉並区浜田山付近の河畔
   



 39 鎌倉橋から下流を望む              40 塚山公園
   

 塚山公園は名前や周囲の雰囲気から見て、歴史がありそうだと思い調べてみると、やはり縄文時代の遺跡があったそうだ。そういえば、塚山橋も何となく風格がある橋である。

 41 塚山橋                      42 塚山橋から上流を望む
   

 写真43はクレソンか何かだろうか。都心のコンクリートだけの神田川と比較すると、かなり様子が異なってきた。

 43 杉並区高井戸東付近の水辺の植物         44 杉並区高井戸東付近の畑
   

 このあたりから上流は、井の頭線と平行して流れている。

 45 池袋橋から下流を望む              46 杉並清掃工場付近の河畔
   



 47 高井戸近くの河畔                48 高井戸駅
   

 高井戸駅近くでついに水草を発見した。水がかなり綺麗になってる証拠だろうか。

 49 高井戸駅付近の水草               50 睦橋から下流を望む 
   

 久我山駅付近ではついに小規模ながら芦原を発見。上流域に近づき、確実に自然を取り戻しつつある神田川である。

 51 井の頭線検車区付近の河畔            52 久我山駅付近の芦原
   



 写真54では、わざと蛇行させるなど、河川管理にも余裕が出てきたようだ。

 53 宮下橋から下流を望む              54 みすぎ橋から上流を望む
   

 なんだか、落ち着いた建物があると思ったら、立教女学院であった。校門から、女の子と両親が興奮さめやらぬといった感じで、話しながら出てきた。中学入試の面接日だったらしい。それにしても、さすがに都内屈指のお嬢様学校を受験するだけあって、この家族にも気品と余裕が感じられた。たぶん、お嬢さんは合格して、今頃は、このおしゃれな校舎に通っていることだろう。

 55 杉並区久我山付近の河畔             56 立教女学院
   

 57 三鷹台駅                    58 丸山橋から上流を望む
   

 写真60のあたりから、前方に緑の森が見えて、井の頭公園が近くなったことを予感させる。周囲の住宅街の雰囲気も落ち着いてきた。

 59 三鷹台駅近くの親水施設             60 三鷹市井の頭付近の河畔
   

 ついに、井の頭公園の敷地に入った。写真62の地点で、コンクリート壁はなくなり、いよいよ源流域といっても良いだろう。

 61 神田上水橋から井の頭公園方面を望む       62 夕やけ橋から下流を望む
   

 写真63、64はもちろん人工的な改変を行ってはいるだろうが、いわゆるふるさとの小川という雰囲気を具現化している。心休まる癒しの風景だ。これで、野生のメダカでも生残していたら素晴らしいのだが。

 63 夕やけ橋上流 その1              64 夕やけ橋上流 その2
   



 65 上流側から見た夕やけ橋             66 井の頭線ガード
   

 井の頭線のガードを潜ると、少し川は続いているが、やがて、写真68のように石碑が現れ、井の頭池からの流出口になる。ここ水門橋からが最初の神田川といって良いだろう。流出量はそれほど多くないようだ。

 67 神田川最上流                  68 神田川の石標
   

 その上流は、井の頭池である。武蔵野台地の豊富な湧水を水源とする、江戸時代から観光地としても有名なこの池は、かつて、江戸市民の生活水でもあった。しかし、現在は、地下水位が下がり湧水がほとんど枯渇してしまったらしい。

 69 水門橋と流出口                 70 井の頭池その1 
   

 71 井の頭池その2                 72 井の頭池その3
   

 73 井の頭池その4                 74 食堂前の井戸
   

 昔ながらの茶屋と井戸は、一瞬時代を遡ったかのような錯覚を起こさせる。写真76が、徳川家康も茶をたてたといわれる御茶ノ水という湧出口である。現在は枯渇して、地下水を汲み上げて流しているらしい。他にも湧水があるのだろうが、いずれにせよ、水門の流出水量から見て、普段の湧水量は少ないと思われる。過去に、大雨が降って池の水が透明になったことがあるそうだ。
 井の頭池の水収支や水質について、詳しい調査結果があったので、興味のある方のためにリンクを張っておく。

 75 食堂                      76 御茶ノ水湧水口?
   

 77 湧水口前の橋                  78 井の頭池その5
   

 79 井の頭池の野鳥                 80 井の頭池その6
   

 81 井の頭池その7


 82 井の頭池その8                 83 井の頭池その9
   

  池の周囲を一周して、吉祥寺駅へ向かう。観光地へ向かう道のようなにぎやかな通りだ。
 写真84の階段の分の高低差が、湧水をもたらし、井の頭池をつくり、神田川の源となったのである。
 帰りは、せっかくなので、井の頭線に乗ってみた。 

 84 公園から吉祥寺駅方面への出口          85 京王吉祥寺駅    
   

 ある意味でとても有名な、神田川。その源流はよく知られているところであるが、こうして通しで歩いてみると、源流にたどり着いたときのホッとした気持ちが何とも言えない。
 水質は近年かなり良くなっていると言われているが、歩いてみてもそれを実感できた。しかし、水源となる湧水の枯渇、水質、治水などまだまだ問題も多い。
 都心をのぞけば、河畔の遊歩道も整備されており、ハイキングコースとしてもなかなか楽しい。都心では、御茶ノ水渓谷を中心とした、高速道路に上を塞がれていない部分は歩いても楽しいだろう。
 江戸時代から、市民の憩いの場であった井の頭公園は、紛れもなく今も神田川の源流であった。

第1日目・前半(2008年1月15日) 隅田川合流地点〜高田馬場駅

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