黒目川(くろめがわ) 探訪      

 武蔵野台地から発して東久留米市を流れ、落合川と合流して埼玉県内を潤す湧水豊富な新河岸川の支流
第1日目(2011年4月15日)
       新河岸川合流地点(埼玉県朝霞市)〜神宝大橋(東京都東久留米市・埼玉県新座市 都県境


 新河岸川を歩いた時の最大の難所は、荒川から別れ、幸魂大橋を過ぎた後の黒目川との合流地点であった。左岸側は遊水池が広がり、右岸側は黒目川により川沿いの道は途切れていた。一旦黒目川を遡り、東橋まで迂回したことを思い出す。その時の豊かな流量が印象に残っている。

     

 今回の黒目川探索の理由は、その時のインパクトの他にもう一つある。それは、読者の方に落合川を紹介されたことだ。そのメールには、東京近郊でも有数の湧水を誇る川だとあり、写真も添えられていた。
しかし、落合川は黒目川の支流であり、先に新河岸川の支流である黒目川を探索することが、このサイトのポリシーに適うものになるだろう。

 黒目川という名前の由来は、東久留米市の久留米と同じ語源らしい。余談だが、東久留米市は元々は久留米町という地名であったが、九州の久留米市と区別するために、東がついたという。

 というわけで、池袋から東武東上線に乗り、朝霞駅からバスを乗り継いで、10ヶ月ぶりに新河岸川と黒目川の合流点を訪れた。合流点では、偶然、同じ場所の写真を撮っていたので、10ヶ月前と比べてみた。季節が2ヶ月違うからだろうか、緑の量が違う。

  1 新河岸川合流地点                  1−2 1と同地点(2010.6.12)
 
  



  2 東橋
      

 東橋に着いた。新河岸川を遡るときに渡った橋である。その時の写真と比べると親水公園の整備が進みつつあることがわかる。右岸側の木はたった2ヶ月の違いでこうも変わるのかと思えるほどだ。

  3 東橋から下流を望む                 3−2 3と同地点(2010.6.12)
   

  4  笹橋から下流を望む
     

 東橋の上流を歩いて行くとすぐに笹橋に着く。

  5 笹橋右岸から上流を望む               6 花の木橋から上流を望む
   

 いかにも埼玉県の郊外というのんびりした雰囲気。

  7 健康増進センター                  8 岡橋から上流を望む
   

 1週間遅かったが、満開と葉桜のちょうど端境期にあたる桜並木が続く。

  9 岡橋袂の桜並木                  10 水道橋
   

 驚いたことに、こんな小さな川にも漁業権が設定されている。

  11 鮎漁獲禁止の警告                12 水道橋から上流を望む
   



 大きくカーブを描く目黒川に、印象的な近代橋が見えてきた。浜崎黒目橋である。

  13 浜崎黒目橋                   14 浜崎黒目橋から上流を望む
   

 東武線を過ぎて、素晴らしい桜並木が広がる。河原のカップルが微笑ましい。

  15 東武東上線ガード下               16 桜並木 その1
   

 17 菜の花畑


 
 18 桜並木 その2                 19 東林橋から下流を望む
   

 ここは、朝霞台駅、北朝霞駅に近く、歩く人も多い。残念ながら桜まつりが震災の影響で中止になったことを告げる掲示が貼ってあった。
 余談だが、朝霞台駅と北朝霞駅は地図上では乗り換えができるほど近いのになぜ同じ駅名にしなかったのだろうか。初めての人にはわかりにくい気がする。



  20 東林橋から上流を望む            
  21 新高橋から下流を望む
   

  22 新高橋から上流を望む       
       23 溝沼池田橋
   

 学校の横に架かるアーチ橋が見えてきた。橋の向こう側はグラウンドがあり子供たちが大勢いる。この学校は黒目川を挟んで校舎と運動場が分かれているのだろうか。子供たちが体育の授業の度にこの橋を渡っているのかもしれない。だとしたら子供たちにとってこの無骨な鉄のアーチ橋は生涯忘れられないふるさとの橋として記憶に残るだろう。ある意味で幸せな橋である。生徒達が作った橋の銘板によると、この橋は別名さくら橋とも呼ばれているらしい。

  24 溝沼池田橋上                  25 溝沼池田から上流を望む
   

 対岸に高層マンションをみながら進むと、川沿いに高さ7−8mの怪しい築山があった。頂上に小屋が建っている。どう見ても山の中身は産業廃棄物にしか見えないのだが。

  26 溝沼黒目橋から上流を望む          
  27 怪しい山
   

  28 泉橋から下流を望む
               29 泉橋から上流を望む
   

  30 黒目橋から上流右岸              
 31 黒目川橋から上流を望む
   

 黒目橋、黒目川橋とこの川を代表する名前の橋が続く。



 黒目川は、なんとなく殺風景な周囲の環境を反映して護岸もやや荒れた感じになってくる。

  32 大橋から下流を望む 
              33 大橋から上流を望む
   

 幹線道路らしい大きな橋が見えてきた。国道254号線、新座大橋である。

  34
 新座大橋                    35 新座大橋上流右岸
   

 住宅地の中を直線化された黒目川が続く。護岸は醜いが、水質は見た目はそれほど悪くないようだ。ホタル公園があったが、さすがにホタルが住むほどの清流だとは思えない。

  36 ラウンドワン横を歩く              37 畑中黒目川(ホタル)公園
   

  38 千代田橋から上流を望む           
  39 新座市馬場2丁目付近
   

 左岸を歩いていると、緑が多くなってきた。桜並木が両岸に広がり、少し雰囲気が変わってきたようだ。対岸の緑の丘は市営墓地らしい。

  40 山川橋から上流を望む             
 41 新座市営墓地付近
   



 坂になった大きな橋が見えた。市場坂橋というその名のとおり、左岸から右岸にかけてかなりの角度で登っている。川を歩いていると、様々な橋に出会うが、その橋ごとに歴史や住民の思いが感じられるのは気のせいだろうか。江戸時代の人たちは橋をかけるのに苦労しただけに、そんな思いが供養塔となって現在も各地に残っているのだろう。

  42 市場坂橋                    43 お地蔵様と板橋供養塔
   

 44 市場坂橋から下流を望む


 市場坂橋を過ぎて左岸側を歩いていると、写真45のように対岸に水が流れ込んでいるのが見えた。コンクリートで固められた排水口なので、最初は生活排水の流入かと思ったが、やけに水量が多くしかもきれいな水である。さらに行くと、なにやら解説板のようなものが立っているではないか。これは、調査が必要だろう。ということで市場坂橋まで戻って対岸に行ってみたのが写真46以降である。

  45 妙音沢(大沢)合流点               46 妙音沢(小沢)
   

 右岸側に行ってみるとまさしく湧水であった。「妙音沢」である。その名前の由来はここに書いてある伝説によると琵琶の音色のことらしい。
 さてその妙音沢だが、いきなり崖から水が流れ出している。結構インパクトのある湧水だ。湧水は2箇所あり、下流側が小沢、上流側が大沢という名前がついている。
 小沢は十数メートル奥の崖の下から湧いていた。その崖は金網に石が詰めてあるブロックで固められており、なんだかなあ、という感じであるが、コンクリートで固められていないだけマシというべきかもしれない。水量も結構ある。崖の上は普通の宅地のようなので、こんな所からいきなり大量の湧水が出るのも不思議な感じだが、台地上の開発が進むと湧水も枯渇するかもしれない。

  47 妙音沢(小沢)湧出地点              48 妙音沢看板
   

 上流側は大沢であるが、こちらはその名のとおり小沢よりも格段に水量が多い。緑の中を清水が流れている光景は、素晴らしいものがある。開発されずによく残ったものだ。

  49 妙音沢(大沢)その1               50 妙音沢(大沢)その2
   

  51 妙音沢(大沢)その2               
52 妙音沢(大沢)湧出地点 その1
   

 崖からの湧水地は横に広がっており、写真52のメインの湧水の他、写真53のように広い範囲から湧出しているのがわかる。倒れた石塔は、信仰の跡だろうか。推測だが、地形や湿地だという条件の他に、古くから信仰の場であったことが開発からこの湧水を守った理由の一つだろう。

  53 妙音沢(大沢)湧出地点 その2        
  54 信仰の跡
   

    55 妙音沢解説板 その1
   

 56 妙音沢解説板 その2


 上の解説板をよく読むと「滝見の茶屋があった」と書いてある。この沢が滝になって黒目川に流れ込んでいたのだろう。今はコンクリートの無残な姿になってしまっているが、その美しかったであろう滝を見てみたかった。

  57 妙音沢から市場坂橋を望む          
  58 大橋標識
   



 大橋を過ぎると前方に関越道が見えた。

  59 
大橋から上流を望む               60 関越自動車道
   

  61 新座市堀之内1丁目付近             62 樋の橋から上流を望む
   

 関越道を過ぎると、左岸には見事なピンク色と黄色の楽園が続いている。

 63 見事な枝垂れ桜

  64 堀之内橋遠景                  65 堀之内橋から上流を望む
   

 堀之内橋から上流の左岸側は、崖になっている。黒目川は緩やかに蛇行しながら上流へと続いている。

  66 
馬喰橋から上流を望む              67 新座市石神2丁目付近
   



  68 貝沼橋から上流を望む            
  69 石神橋
   

 石神橋の右岸側には桜の一種だろうか、見事な赤い花が満開になってその存在を主張している。

  70 
石神橋から上流を望む              71 石神橋袂の見事な桜
   

 両岸には道が続いているが、公園があったりしてのんびりとした雰囲気である。住宅街もどこかユルい雰囲気で、川岸も都内の川のように過度に整備していないことが返ってリラックス出来る感じである。

  72 栗原橋                   
  73 栗原橋から上流を望む
   

  74 神宝大橋遠景

     

 神宝大橋が見えてきた。



 神宝大橋は、その名とは異なり、実際は大橋というほどの橋ではないが、地理上は重要な橋である。なぜならここから東京都に入るからだ。「神宝」という名も時代がかっている。昔の街道の橋だからこんな名前がついたのだろうか、と思って検索してみると、戦国時代に関東管領としてこの地を支配していた上杉氏が作った「深大寺道」という古道の橋らしい。

 75 神宝大橋から落合川との合流点を望む


 この橋を架けたであろう上杉氏は、その後関東地方の支配者としての地位を小田原北条氏に奪われていく。その上杉氏ゆかりの神宝大橋から上流をみると、きれいなYの字になって二股に分かれている川筋がみえる。下流から見て右側が黒目川本流、左側が支流の落合川である。戦国時代のこの橋からはどんな景色が見えたのだろうか。川の水量はもっと豊かだったことだろう。

 76 合流地点の白いアクセント


 橋の袂に咲く白い花に癒されながら、今日の黒目川探訪はここ、神宝大橋までにする。時間はまだ12時を少し回ったところだが、ここで終りにするのは、この後、本流をそれて落合川を遡る予定だからである。
 その落合川については、黒目川の支流に当たるので稿を改めたいと思う。もちろん、後日、黒目川のさらに上流も探索する予定である。

 (本日の歩数:36597歩)          

 
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