相 模 川 探 訪            

  山中湖を源流として相模平野を潤し相模湾に注ぐ神奈川県を代表する一級河川
◆第5日目(2007年11月23日)     四方津(山梨県上野原市)〜大月(大月駅)


 「相模川」の5日目となった。前回、山梨県に入ったので、もう「相模川」ではなく「桂川」と呼んだ方がいいかもしれないが、統一性を持たせるために、とりあえず「相模川」 でいこうと思う。 
 八王子駅から中央線の河口湖行きホリデー快速1号に乗る。前回相模湖まで乗ったのは3号で、赤とクリーム色の古典的な特急色だが、今回乗車した1号はブルー基調の「あずさ」色である。個人的には昔ながらの3号の色が好きだ。
 まあ、そんなことはともかく、1号はえらく混んでいた。天気の良い3連休の初日ということもあるが、新宿発というのも大きいだろう。仕方なく立ったまま四方津に到着する。早速、駅の改札口の反対側の川合橋に向かう。



  1 四方津駅                        2 川合橋から上流をのぞむ
   



 ここも、相模川が深い峡谷を刻んでいる。上野原から上流は、広い河原はなくずっとこんな感じだ。

  3 川合橋から下流を望む                 4 川合橋からコモア四方津を望む
   

 川合の集落は、静かな山村といった雰囲気だが、一つ特徴があることに気づく。どこの家でも軒下に柿を干しているのだ。中でも一番たくさんぶら下げていたのが写真6の家である。壮観だ。そのほかに大根を埋めている家庭が多い。冬の準備だろう。ここでの暮らしはどんなものだろうか。八王子あたりまでは通えないこともないだろう。
 見かけたのは老人ばかりであったのが気がかりである。

  5 川合の集落の柿の木                  6 干し柿の風景
   

 新倉橋は2つあって、鉄のアングル橋と吊り橋である。吊り橋では、車の往来が心許ないので後から写真7の橋を架けたのだろうか。

  7 新倉橋                        8 新倉橋(吊り橋)
   

 橋からの眺めは、美しいが、どの橋からの景色も似ているので、写真だけでは区別が付かない。それにしても川が、ここまで浸食するのに何万年かかったのだろうか。

  9 新倉橋から下流を望む                 10 新倉橋から上流を望む
   



 11 金畑橋入口                     12 金畑橋から下流を望む
   

 金畑橋は最近架け替えられたようで、大変立派な橋である。その先には、桂川清流センターという下水処理場がある。相模川の下流域は下水道が整備されているが、上流の山梨県側は未整備の地域が多く、神奈川県民の飲料水となる相模川の水質を悪化させてきた。その一つの解決策となるだろう。しかし、この人口密度と地形では、費用対効果には疑問が残る気がした。下水道管を通すのも並大抵ではあるまい。

 13 金畑橋から上流を望む                14 桂川清流センター遠景
   

  15 塩瀬大橋                      16 塩瀬大橋から下流を望む 
   

 塩瀬大橋を渡ると、神社があった。創設は700年前という小松神社である。

 17 塩瀬大橋から上流を望む               18 小松神社
   

 駅に近いためか、若い人が多いのか、ほかの集落と違って、このあたりの住宅街は明らかに今風の家が多い。
 甲州街道に抜ける前に学校があった。二宮金次郎の像の横の碑を何気なく見ると「梁川中学校跡地」とあるではないか。改めて校舎をみるとたしかに、使われていない雰囲気である。調べてみると HPが残っており、2006年3月で閉校になったようだ。廃校になってまだ1年8ヶ月である。最後の生徒は16名だったそうだ。

 このあたりの集落は、相模川の両岸にある狭い斜面と河岸段丘にへばりつくように点在している。耕地も狭く相模川の漁労とあわせて何とか生活していたのだろう(梁川という地名も鮎漁から来ている)。現在のような立派な橋がない時代、丸木橋がしばしば流されたそうだが、その時代の苦労が忍ばれる。

  19 梁川中学校跡地の碑                 20 旧梁川中学校舎
   

 梁川駅はログハウス風の無人駅である。

  21 梁川駅                       22 梁川大橋
   

  23 梁川大橋から下流を望む               24 梁川大橋から上流を望む
   

 梁川大橋の向こうは道がないのでやむを得ず国道20号線を歩く。写真25のとおり、歩道もなく大型トラックにおびえながら歩く。道端に犠牲者に向けた花が活けてあったりするのは、この恐怖が根拠のないものではないことを証明している。

  25 梁川・鳥沢間の国道20号線             26 下畑橋
   



 国道から、下畑橋へ降りる。橋からの景色は、もはや見慣れた渓谷である。

  27 下畑橋から上流を望む                28 下畑橋直下
   

 下畑の集落も写真30のとおり、時が止まったかのようなどこか懐かしい、日本の原風景である。住人はどうやって生計をたてているのか。20年後に集落が存続しているのか心配になる。

  29 下畑橋から下流を望む                30 下畑の里の風景
   

  31 虹吹橋から下流を望む                32 虹吹橋から上流を望む 
   

 鳥沢駅に着く。ここは甲州街道の宿場町であるが、街並みに当時の雰囲気を色濃く残している。

  33 鳥沢駅                       34 鳥沢宿の面影をのこす建物
   

 鳥沢駅を出て、しばらくすると国道から体育館方面に左折する道がある。降りたところが曙橋だ。ここは峡谷ではなく、久しぶりに広々とした河川敷に耕地が広がる。ここにそびえるのが中央本線の最長鉄橋である曙鉄橋である。ちょうど橋脚の耐震補強工事をしていた。曙橋は平行して川を渡る。

  35 曙橋とJR中央線曙鉄橋               36 曙橋から下流を望む
   

 橋を渡ると県道へ連絡する道路が河岸段丘の斜面を登っていく。この坂の途中、写真38の撮影地点は鉄橋がよく見える。ここは鉄道写真の撮影ポイントになっているらしく、車で来た人がカメラを構えていた。

  37 曙橋から上流を望む                38 曙鉄橋を渡る中央線特急列車
   



 四季の丘という新興住宅地と伊良原という集落を抜けると、あの有名な猿橋である。猿橋の両側には新猿橋という同名の橋がある。一つは国道20号線、もう一つは県道らしい。

  39 新猿橋から下流を望む               40 新猿橋から上流の猿橋を望む
   

  41 猿橋入口                     42 東京電力八つ橋発電所水路橋
   

 猿橋については、解説を読んでいただいた方が良いだろう。日本三大奇橋だそうだ。

  43 猿橋解説板
 

 44 猿橋から下流の水路を望む                 45 猿橋から下流を望む 
   

 観光地であり、人がたくさんいて撮影に苦労した。確かに美しいところである。特に、写真47は幻想的で気に入った。しかし、相模川は岩をどのように浸食したのだろうか。

 45 猿橋から新猿橋を望む                46 猿橋と紅葉
   

  47 新猿橋から峡谷を望む
   

  48 新猿橋から下流を望む               49 新猿橋から猿橋を望む  
   

  50 猿橋                       51 猿橋を見上げる
   



  52 猿橋展望台から上流を望む             53 猿橋展望台から上流を望む
   

  54 展望台下の魚群                  55 猿橋からの遊歩道
   

 上流の猿橋公園まで、遊歩道が整備されているが、ここからの景色も紅葉と併せて素晴らしいものであった。

 56 猿橋公園から上流を望む 

  57 猿橋公園から新猿橋を望む
     

 猿橋公園からの風景(動画)

  58 東京電力八ツ沢橋発電所水路             59 宮下橋
   

  60 宮下橋からみた中央高速               61 宮下橋から下流を望む
   

  62 宮下橋から下流を望む                63 猿橋駅
   

 猿橋駅に着いた。写真63の駅舎を見て連想するものがある。この多層構造は、...もちろん実際の猿橋をモチーフとしたデザインである。



 駅の南側には、以前に紹介した「コモアしおつ」と同じコンセプトの住宅地「パストラルびゅう桂台」がある。山の上への交通手段は、コモアしおつのエレベーターと違って、小型のゴンドラ式の、「シャトル桂台」である。磁石ベルト式輸送システムというものらしい。早速乗りに行く。 ...が、休止中であった。残念!!。
 原因不明のトラブルが続き、ついに休止したらしい。シャトルバスかタクシーを利用をするよう張り紙がしてあった。パストラルびゅう桂台の分譲も中止しているらしい。新しいものにはトラブルがつき物であるが、経済的な損害は相当ありそうだ。担当者も大変だろうな、とよけいなことを考えながら、気を取り直して先に進む。駅の向こうは水が流れる轟音が響いていた。

  64 シャトル桂台駅前ステーション            65 八ツ沢発電所取水堰 
   

 ここのすぐ上流に駒橋発電所があるが、その放流水?(あるいは相模川の水をあわせて?)が地下水路に吸い込まれていく。この後、写真42の水路を通って「コモアしおつ」の西側にある大野貯水池にいったん貯められる。その後、地下水路で上野原にある八ッ沢発電所に送られ、発電に利用された後、最後に松留発電所から相模川に放流される。ずいぶん大仕掛けである。

  66 八ツ沢発電所取水堰沈砂池 
     

 取水口制水門の流れ(動画)

  67 取水口制水門                   68 東京電力駒橋発電所導水鉄管
   

 都留市の川茂発電所で取水、利用された水は、延々と水路を流れて、この駒橋発電所に着く。この発電所の開設は明治40年と古く、東京へ遠距離送電された初めての水力発電所だそうだ。写真70の滝は、水路の余剰水を放流しているらしい。水量が多くなかなか迫力のある人工の滝である。

  69 駒橋発電所                    70 強瀬橋横の滝
   

  71 強瀬橋から上流を望む  
     

 強瀬橋横の滝(動画)

 やがて、正面に丸いドーム型の岩が特徴的な山が見えてくる。岩殿山である。岩殿城祉でもあり、武田氏の家臣である小山田氏の居城だったそうだ。

  72 強瀬橋から下流を望む               73 岩殿山
   



 もちろん山へは登らずに、高月橋から大月市街地へ入る。上流の河原には写真75のとおり、巨石が転がっている。駅からの徒歩圏内とはとても思えない光景である。

  74 高月橋から下流を望む               75 高月橋から上流を望む
   

 市街地の北西の浅利橋へ足を延ばす。ここは浅利川との合流地点でもある。

  76 浅利橋と中央高速                 77 浅利橋から上流を望む
   

  78 浅利橋から下流を望む               79 浅利橋
   

  80 浅利川合流地点                  81 大月駅
   

 大月駅へ戻るとホリデー快速にちょうど間に合う時間であった。

   

 写真83のようにゆったりした座席でくつろぎながら、駅で買った地酒のワンカップとつまみを手に車窓を眺める。一日中歩いたせいか、疲労感と充実感が心地よい。

  82 ホリデー快速河口湖4号             83 快速列車車内
   

  84 曙鉄橋を渡る列車の車窓から見た相模川(下流方面)
     

 上の写真は曙鉄橋を渡る電車から撮った相模川である。

 今日は美しい渓谷と景勝猿橋を堪能することができた。次回はついに上流域へ入り、南下して富士山に迫る。

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