隅田川探訪

 都心を流れる東京、いや全国レベルの知名度を持つ有名な川だが、一体どこから流れだしているのか。
◆第2日目 (2010年2月14日) 南千住駅(東京都荒川区)〜 河口(東京都中央区)

 隅田川の2日目は、下町、南千住駅からの出発である。前回は、荒川から別れた隅田川の新旧のモザイクのような状況を見てきたが、ここからは良く知られた、東京都心を流れるあの隅田川である。
 駅を降りて、川へ向かうと隅田川の常磐線鉄橋にぶつかる。



  1 南千住駅                       2 常磐線鉄橋
   



 右折するとすぐに整備された隅田川が眼前に現れる。天気が良くて気持ちの良い朝だ。

  3 整備された河岸                   4 常磐線鉄橋を振り返る
   

 河辺に建つ高層マンションを引き立てているのが千住汐入大橋だ。

  5 千住汐入大橋                    6 千住汐入大橋から上流を望む
   

 大きく右にカーブしている隅田川のこちら側、つまり右岸側には、広々とした公園が続いている。汐入公園である。

  7 汐入公園                      8 対岸の下町風景
   

 対岸には、写真8のような昔ながらの場所もあるようだが、こちら側は赤い遊歩道が爽快な遊歩道だ。

  9 遊歩道と対岸荒川区のマンション群          10 水神大橋から上流を望む
   



  11 水神大橋から下流を望む              12 水神大橋上
   

  13 水神大橋から下流右岸を望む            14 瑞光橋から右岸遊歩道を振り返る
   

 写真15の入江は、隅田川駅へ続いていた運河の跡である。

  15 瑞光橋から汐入水門跡を望む            16 瑞光橋上流側から水神大橋を望む
   

 下の解説板を読むと昭和40年代までは、ここは工場地帯だったようだ。おそらくその頃の隅田川は汚れきっており、河畔には誰も近づけなかったはずである。それから40年後の今、川は再び都民の身近なものになったようだ。

  17 再開発整備の解説板

 白鬚橋に着いた。明治通りが隅田川を渡る橋だ。ちなみにヒゲの字は、「髭」(くちひげ)ではなく、「鬚」(あごひげ)だそうである。漢字は難しい。
 鉄のリベットが立派な橋であるが、例に漏れず関東大震災後、昭和6年の架橋である。

  18 白鬚橋                      19 白鬚橋から上流を望む 
   

  20 白鬚橋から下流を望む               21 白鬚橋から上流右岸を望む
   

  22 対鴎荘跡解説板                  23 右岸堤防
   

 ここからは堤防はカミソリだが、内側に歩道が出来ている。隅田川テラスということで、都が整備を進めているようだが、ここは、堤防で市街地と区画されているためか、ブルーテントが多い。したがって、歩いたりジョギングしている人もいない。

  23 右岸側から白髭橋を振り返る            24 ホームレスのテント
   



 ブルーテントには、もう住人はいないようで、都のお札が貼ってある。

  25 都の立ち入り禁止札                26 右岸遊歩道
   

 桜橋に着いた。水上バス乗り場があったが、冬場は使われていないらしい。

 27 桜橋水上バス乗り場案内板


  28 桜橋水上バス乗り場                29 桜橋
   

 桜橋は、X字の形をした、歩行者専用の贅沢な造りであるが、戦後につくられたため、他の橋のような重厚さはない。

  30 桜橋から上流を望む                31 桜橋から下流を望む
   

  32 言問橋から上流を望む               33 言問橋から下流を望む
   

 言問橋は、関東大震災後の昭和3年に出来た橋だが、今でも通用する広い橋だ。
 Wikiによると、この橋には悲しい歴史があるらしい。昭和20年3月の東京大空襲により、この橋で多くの人が焼け死んだり、隅田川に落ちて凍死した。そして、その時に橋の上で幾重にも重なっていた死体の脂の焼け跡が、親柱の黒ずみとして残っているというのである。たしかに、写真35をみるとその悲しいエピソードが事実であったことが実感でき、心が痛む。
 橋の向こうに目をやると、平和と未来の象徴のような、建設中の東京スカイツリーが見えた。

  34 言問橋から見る東京スカイツリー          35 言問橋の黒ずんだ柱
   



  36 言問橋から右岸上流を望む             37 隅田公園
   

 隅田公園には人が多い。しかし、堤防の向こうがわの遊歩道には、休日にも関わらず、写真39のようにたくさんの失業者がいて、誰も歩いていない。筆者も、彼らの冷たい視線を浴びながら、緊張して通り抜けた。
 これはなんとかしないといけない気がする。もちろん失業者が悪いわけではないが、せっかく整備したテラスも、このままでは都民が寄り付かないだろう。
 浅草に近いために外国人も多いのだが、なぜかこの河畔には降りてこない。

  38 右岸から言問橋を望む               39 失業者?の群れ その2
   

  40 右岸遊歩道の芦原                 41 東武伊勢崎線
   

 東武線を越えると、観光客で賑わう浅草の水上バス乗り場で遊歩道は途切れた。

  42 工事中の右岸遊歩道                43 浅草水上バス乗り場
   



 吾妻橋に出た。橋の向こうには、あの有名な金色に輝くビール会社のビルが見える。

  44 吾妻橋から上流を望む               45 アサヒビール本社ビル
   

 ついでなので、雷門を見に行くことにした。

  46 東武浅草駅                    47 神谷バー
   

 日光に行く時にお世話になる東武浅草駅、神谷バーを通って雷門に着いた。相変わらず人が多い。パリのセーヌ川のように、この人たちを隅田川に呼び寄せることができたら、浅草の街も、もっと国際的な観光地としての地位を確立するのではないだろうか。

  48 人力車                      49 雷門近景
   

  50 雷門遠景                     51 吾妻橋から下流を望む
   

  52 左岸から駒形橋を望む               53 駒形橋から上流を望む
   

 駒形橋は、昭和2年の竣工である。

  54 駒形堂                      55 駒形堂解説板
   



  56 右岸遊歩道                    57 右岸上流側から駒形橋を望む
   

 テラスで居眠りをするおじさんの横に青い本が置いてあったが、そのタイトルに衝撃を受けた。青と緑の表紙は、まさしくこの本であった。

  58 右岸から上流を振り返る              59 生活保護を受けようとするおじさん
   

  60 厩橋                       61 厩橋から上流を望む
   

 厩橋は昭和4年、蔵前橋は昭和2年の竣工である。関東大震災の復興には途方も無いお金がかかったことだろう。

  62 浅草御蔵跡碑                    63 蔵前橋から上流を望む
   

  64 蔵前橋から右岸下流を望む             65 右岸から蔵前橋を振り返る
   



  66 江戸時代河岸                   67 現在の河岸
   

  68 総武線鉄橋付近から上流を望む           69 神田川合流地点
   

 総武線の鉄橋を過ぎると、右岸遊歩道は、神田川によって行き止まりとなる。神田川探訪の出発点となった懐かしい柳橋を渡る。

  70 合流地点から総武線鉄橋を望む           71 神田川柳橋から隅田川を望む
   

  72 両国橋から上流を望む               73 右岸遊歩道
   

 神田川合流地点のすぐ下流側に架かっているのが両国橋である。

 74 両国橋、柳橋解説板




  75 首都高速橋梁                   76 観光船
   

  77 新大橋                      78 日本橋消防署の船
   

 79 隅田川のススキ


 昭和初期にかけられた多くの橋の中でも、ひときわ目をひく優美な姿をみせているのが、清洲橋である。

  80 清洲橋上                     81 清洲橋から小名木川萬年橋を望む
   

  82 清洲橋から上流を望む               83 清洲橋から下流を望む
   

  84 清洲橋近景

 85 清洲橋解説板



  86 隅田川大橋から上流を望む             87 隅田川大橋と観光船永代橋遠景
    

 味気ない隅田川大橋を過ぎると、永代橋が見えてくる。

  88 永代橋遠景                    89 豊海橋
   

 永代橋の手前には、これも美しい豊海橋が架かっている。日本橋川との合流地点である。

  90 豊海橋から日本橋川上流を望む           91 豊海橋から永代橋を望む
   

  92 豊海橋解説板
  

  93 永代橋近景                    94 永代橋全景
   



  95 右岸から大島川水門を望む             96 右岸から佃方面を望む
   

 永代橋を過ぎると、視界がさらに大きく開け、左右の水路の間にそびえ立つ高層ビル群がひときわ目立つようになる。隅田川は右側である。

  97 中央大橋から上流を望む              98 中央大橋上
   

 中央大橋を渡って、左岸側に移る。

  99 中央大橋から下流を望む              100 左岸から亀島川水門を望む
   

 バブルの象徴とも言われる中央大橋は、フランスの協力で作られたそうだ。

 101 中央大橋全景

 102 佃公園                      103 住吉水門
   

 104 佃島、住吉神社解説板


 佃島といえば佃煮の発祥地である。3件の佃煮屋さんを回ってみた。

  105 3軒の佃煮屋




 佃には、新しいものと古いものが共存している。

  106 佃島の家並み                  107 佃大橋から上流を望む
   

  108 佃大橋                     109 右岸から上流を望む
   

  110 川を遡る観光船                 111 河口から1kmの標識
   

 築地は、外国人居留区だったおかげで、今もなぜか異国風な河畔の風景である。もう、河口までたった1km だという標識が建っていた。

  112 レンガの堤防 その1              113 レンガの堤防 その2
   

  114 築地の歴史解説板




  115 レンガの堤防 その3              116 勝鬨橋
   

 117 勝鬨橋右岸側から上流を望む


 118 勝鬨橋から上流を望む

 勝鬨橋である。この橋は、真ん中が開いて船が通れるような構造になっているが、もう開けることはないらしい。そして、写真111の標識を信じるとすれば、隅田川最後の橋でもある。
 その橋の上で、モデルにカメラを向ける中年の集団と主催者らしい男がいた。別に違法ではないのだろうが、なんとなく気持ちの悪い感情を覚えた。
 橋をわたったところにある古そうなビルは、何と小学校であった。都会の小学校にはフェンスが無い。その辺のオフィスビルと何ら変わらないのには驚いた。

  119 勝鬨橋上                    120 月島第二小学校
   

  121 勝鬨橋左岸側から下流を望む           122 左岸下流側から見た勝鬨橋
   

 名残惜しい最後の橋に別れを告げ、河口へ向かう前に寄り道をすることにする。



 寄り道するのは、トリトンスクエアである。動く歩道のついたトリトンブリッジで朝潮運河を渡る。

  123 トリトンブリッジと黎明橋            124 トリトンブリッジ内部
   

  125 晴海トリトンスクエア その1          126 トリトンスクエア その2
   

 昼間もカラフルなトリトンスクエアであるが、夜景が綺麗なことでも有名だ。

  127 トリトンスクエア その3            128 トリトンスクエア その4
   

  129 トリトンスクエア その5            130 トリトンスクエア その6
   

  131 トリトンスクエアから月島川を望む        132 月島ふ頭
   

 トリトンスクエアから再び隅田川に戻る。月島ふ頭だ。



 ここ豊海町は別名水産ふ頭と呼ばれ、写真133のように水産卸会社が並んでいる。れっきとした公道なのだが、この先に橋はないので、トラック、貨物コンテナなどが我が物顔で道路を占領している。歩いていると、フォークリフトに轢かれそうになる。水産ふ頭の岸壁の反対側は浜離宮である。ここが隅田川の河口にあたる。

  133 豊海町付近                   134 対岸の浜離宮を望む
   

 河口左の方に目をやると、竹芝ふ頭、日の出ふ頭と続き、正面はレインボーブリッジに連なる大都会のビル群が見える。

  135 河口、レインボーブリッジ方面          136 対岸の竹芝ふ頭を望む 
   

 ここで、少し戻り、朝潮運河にかかる小さな橋を渡って、本日の最終目的地である晴海埠頭へ向かう。空は曇ってどんよりとしてきた。

  137 朝潮小橋から河口方面を望む           138 朝潮小橋から朝潮水門を望む
   

  139 朝潮小橋                    140 晴海ふ頭公園から見る河口
   



  141 晴海客船ターミナル前              142 ターミナルでのイベント
   

 晴海のターミナルに到着した。階段の上から写真を撮ろうと登っていくと、異様な雰囲気である。コスプレのイベントらしいが、アニメの世界から飛び出したような女の子たちが、派手な衣装に身を包んで、真剣な顔でポーズをとっている。明らかに場違いな異空間におじさんは迷い込んでしまったようだ。女の子と視線があうと、なぜか恥ずかしそうに目をそらしていた。

  143 ターミナルから見る河口方面           144 晴海客船ターミナル
   



 隅田川の後半、下流域は、かなり整備が進み、テレビでみられるおなじみの景色が続く。浅草をはじめとする下町の国際的観光資源として、あるいは、ジョギングやウォーキングスポットとしての素晴らしいポテンシャルを持っている。問題はホームレス対策であろう。
 2日間にわたる隅田川の旅は、東京の様々な面を直に感じられるエキサイティングな旅であった。

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