霞 ヶ 浦 探 訪
日本で第二位の面積を誇る関東平野を代表する湖
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第1日目(2013年6月1日)
土浦駅 〜 美浦村舟子
水の旅ではこれまで、川、人工水路の河口から源流までをあまねく訪ね歩いてきた。しかし、今回は新企画、すなわち初めての湖である。それは日本で第二位の面積を誇る霞ヶ浦だ。茨城県と福島県の海岸線にかよっている時に、土浦から桜川越しに見える霞ヶ浦の姿を見たのがずっと心に引っかかっていた。
地図で見てもバカでかいこの霞ヶ浦を一周したいと思うのは、誰でもが抱く自然な願望である。(どこが?)
さて、この霞ヶ浦、大きさもさる事ながら、何と西浦・北浦・外浪逆浦(そとなさかうら)および周辺の川の総称なんだそうだ。とは言っても霞ヶ浦と言えば、普通は最大の西浦のことを思い浮かべるだろう。とりあえず面積約172平方kmのこの西浦を歩いて一周してみようという企画である。
というわけで、上野駅8時半発のひたちに乗って土浦へ向かう。47分間の乗車で、いわきに比べれば嘘のように近い。
1 フレッシュひたち9号 2 土浦駅
土浦駅東口に降りて南に進んで水郷橋を渡る。水郷橋の上から桜川の先の霞ヶ浦がよく見える。
3 水郷橋 4 水郷橋から霞ヶ浦を望む
桜川の右岸を東に下っていく。
5 水郷橋から桜川下流へ 6 桜川右岸から水郷橋を振り返る
水門と港があった。霞ヶ浦河川事務所だ。何隻も浮かんでいるるのは、霞ヶ浦の管理用の船だろうか。
7 霞ヶ浦河川事務所土浦出張所 8 霞ポート水門
ここで桜川は終り、いよいよ霞ヶ浦である。
9 霞ポート水門から霞ヶ浦を望む 10 距離標識
距離が書かれた青い標識があった。西浦右岸48.5kmと書いてあるが、どこが起点だろう。しかし、歩く距離の目安にはなりそうである。
土浦駅からそれほど歩いていないが、すぐに景色はのんびりとしたものになる。湖水の水質は、度々問題になっているとおり、あまりよろしくない。人口が多く、農業も盛んなので肥料が多用される周辺環境、閉鎖水域で水深も浅いため仕方が無いのかもしれない。
11 蓮河原町付近の霞ヶ浦 12 白鳥
小さな漁港があった。舟溜りというらしい。やがて、霞ヶ浦を望む絶好のロケーションに教会風の建物が現れた。結婚式場だ。花が植えられて華やかな道である。
13 蓮河原舟溜り 14 アジュール土浦ウェディングハウス
写真16の大きな門構えの和風建築は、川魚料理屋だった。さすが霞ヶ浦である。乱獲により在来種の漁獲量が減り、外来種が増える状況では、魚の確保も大変だろう。
15 アジュール土浦前 16 川魚料理三浦柳
パンの耳を白鳥にやるおばさんがいる。
17 白鳥の餌付け 18 備前川水門から霞ヶ浦を望む
備前川を渡ると、緑の芝生が広がる霞ヶ浦総合公園である。
19 霞ヶ浦総合公園 その1
20 霞ヶ浦総合公園 その2 21 霞ヶ浦総合公園 その3
22 霞ヶ浦総合公園 その4 23 霞ヶ浦総合公園 その5
24 霞ヶ浦総合公園 その6
オランダのような風景が続く。と書いたが、風車があればオランダとは、安直なありきたりの表現で、なんだかもう少し気の利いた表現はないのか、と思うが文才の無さはそれを許さない。
25 霞ヶ浦総合公園 その7
26 霞ヶ浦総合公園 その8 27 陸上自衛隊土浦駐屯地へ その1
28 大岩田舟溜 29 陸上自衛隊土浦駐屯地へ その2
公園を後にして、湖岸を南下する。陸側は下水道処理施設のような感じだ。
30 予科練ゆかりのみち解説板
31 花室川に突き当たる 32 花室川河口
川に突き当たった。地図によると自衛隊の基地があり、湖岸の道が遮られるので、仕方なく迂回する。
33 花室川を遡る 34 凄い釣り船
花室川で釣りをしている人のボートが。まるでボートレースに出るような派手さだ。留まって釣りをしているのは、宝の持ち腐れのようにも見える。しかし、行き帰りはものすごいスピードで霞ヶ浦を疾走するのかもしれない。時間の節約にはなるだろう。
35 精進橋 36 精進橋から霞ヶ浦を望む
内陸側の橋を渡り、基地の正面を過ぎる。
37 陸上自衛隊土浦駐屯地入口 38 駐屯地横から霞ヶ浦へ
基地の横の斜めの路地を入ると、基地の横に芸術っぽい建物があった。予科練平和記念館である。とは言っても若い人たちには「予科練」の意味がわからないかもしれない。
「海軍飛行予科練習生」の略だが、要するに戦時パイロット養成過程である。
昭和14年に横須賀からここ霞ヶ浦に移転してきたので、当然戦死率が高く、特攻隊要員でもあったわけである。
39 予科練平和記念館
戦争末期になると、もう乗る飛行機がないため、人間魚雷の特攻に回された者もいたようである。その回天の模型が展示してあった。2006年に放映された
「俺たちの戦争」
の撮影で使用された模型だそうだ。
40 回天一型模型 41 蓮田
霞ヶ浦の周りには、レンコンを栽培している田んぼが多い。茨城県は蓮根の出荷量が日本一の一大産地なのだ。
42 阿見町大室付近 その1 43 砂利採取施設
桟橋のような施設が遠くから見えた。近寄っていくと、砂利の採取施設だ。先端で船から砂利を下ろすのだろうか。陸側では、写真44の砂利の選別洗浄施設が動いていた。
44 砂利選別施設 45 舟溜り(名称不明)
46 阿見町大室付近 その2 47 水神宮
48 阿見町解説板 49 水神宮付近
50 護岸工事解説板
51 釣り人 52 防衛省技術研究本部土浦試験場
写真52で再び湖岸の道が閉ざされる。これも防衛関連施設だ。また迂回である。先ほどの基地もそうだが、旧日本軍の施設をそのまま引き継いでいるのはわかるのだが、せめて歩く人のために、湖岸だけは専有せずに遊歩道を作ったらどうだろうか。土地使用の傲慢さまで旧軍から引き継ぐ必要はないだろう。
53 試験場正門 54 迂回して霞ヶ浦へ復帰する
迂回させられてブツブツ言いながらやっと湖畔に復帰する。舟溜りと芦原という景色が繰り返し出てくるような錯覚に陥る。
55 島津舟溜 56 湖畔の緑地
57 島津付近の霞ヶ浦 58 蓮田
59 葦原
60 右岸40km標識
40kmの節目の標識は、特別に大きい。歩き始めてすぐの標識は48.5kmだったので、9kmほど歩いたことになるが、基地を迂回したりしているので実距離はもう少し多いだろう。緯度経度も表示してあったのでGPSと比較してみよう。GPSは、東経140 16 32.47 北緯36 02 03.79だった。標識との差は東経が-11.53秒 北緯が+11.79秒である。ん? 誤差が大きすぎるような気がする。この辺りでは経度で1秒は約25mに相当するので、300m近くズレている。日本測地系と世界測地系の違いかと思って一応変換してみたがそうでもないようだ。しかも、標識はわざわざ修正した形跡がある。
では、国土交通省が立てたこの標識と小さなGPS受信機のどちらが正しいか、白黒つけようではないか。緯度経度を入力すると、地図上の地点を表示してくれる
便利なサイト
があるので使わせてもらう。
まずは、国土交通省の標識にある緯度経度の位置である。
次にGPSロガーの示す現在地である。
結果は一目瞭然、GPSロガーの圧勝、国土交通省の完敗である。民生テクノロジーも凄いものだ。税金を使っているのだから、国ももっとしっかりしてもらわなくては困る、などと、デレビに出てくるコメンテーターのように調子に乗って勝ち誇っていると痛い目にあいそうなので、先に進もう。
61 清明川 62 清明川河口その1
清明川を越える。
63 清明川河口 その2 64 舟子舟溜
65 美浦村舟子付近 66 砂利採取施設
下り坂という天気予報のとおり、風が強く、雲が厚くなってきた。この望洋とした霞ヶ浦湖岸をどこまでも歩き続けるのは、天候と気力的に辛くなったようだ。予定ではもう少し行けると思っていたが、今日はこのくらいにしよう。これ以上進むとバス通りが海岸線から離れてしまう。
67 バス停へ 68 山一団地前バス停
田んぼの中を右折して南へ向かう。突き当りにはバス停があった。ラッキーな事に、ちょうど土浦行きのバスが来る時間である。数分遅れたバスに乗って、土浦駅へ戻った。
69 土浦駅
GPSによる本日の歩行経路 (時間:3h24m 距離:16.4km)
霞ヶ浦は想像以上に大きい。この調子では何日かかるかわからないが、初めての湖に第一歩の足跡を残すことができた。
気が遠くなるほどの距離を残しているが、歩き続ければ、いつか一周して土浦に戻る日がかならず来るのである。
(本日の歩数:31639歩)
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第2日目(201?年?月?日)美浦村舟子 〜 ?
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