葛川(くずかわ) 探訪

 中井町北部の渋沢丘陵南面を源流とし、厳島湿生公園からの流れを併せて二宮町を経て、大磯ロングビーチ横から海へ
2011年9月24日  河口(大磯町国府本郷) 〜 源流(中井町井ノ口)

 久々に訪れた海は輝いていた。

 西に箱根連山を望む大磯の海に今、こうして立っている。
空と海と川の青色は、微妙に異なる色合いとコントラストで水平線を境に分かれている。

 1 河口から西の箱根を望む




 今日は葛川の探訪である。知名度の低い川だが、大磯ロングビーチの横で相模湾に流れ込む川なので、見たことのある人は多いだろう。全長は7.6kmと短い。

 2 河口                       3 河口から上流を望む
   

 河口は両岸ともに人家がなく、岩場があったりしてなかなか良い雰囲気である。水はやや濁っている。

  4 西湘バイパス入口の橋と不動川合流地点       5 西湘バイパス入口の橋から下流を望む
   

 不動川と合流する地点から上流の葛川は、西から東に向かって流れている。海に向かって南下した後、海岸砂丘に阻まれ、流路を東向きに変えて海に注いでいるのだ。その海岸砂丘には、現在、大磯プリンスホテルが建っている。

  6 西湘バイパス入口の橋から不動川を望む      
 7 西湘バイパス入口の橋から上流を望む
   

  8 中河原橋から上流を望む              9 以外に澄んだ流れ
   

 10 大磯プリンスホテル前の親水施設



 ロングビーチ橋というそのまんまの名前の橋を渡って、ホテルの建つ海岸砂丘に登ってみることにした。

  11 ロングビーチ橋から上流を望む          12 名称不明の鉄橋から上流を望む
   

 夏にはたくさんの人で賑わうプールも、秋にはこうして静かに次の夏を待っているかのようだ。

  13 大磯ロングビーチ その1


 
14 大磯ロングビーチ その2


 誰もいないプールの向こうに見える海が、リゾートっぽくていい。

  15 大磯プリンスホテル              
 16 大磯プリンスホテルテニスコート
   

 ホテルの西側はテニスコートになっている。その前の松の木は台風のお陰でポッキリと折れていた。

 
 17 台風で折れた松                 18 大磯プリンスホテルゴルフコース
   

 ゴルフ場から、再び葛川に復帰する。

  19 下堰橋                   
  20 下堰橋から下流を望む
   

 海岸の近くにもかかわらず農地が広がる田園風景の中を葛川は流れていく。

  21 下堰橋から上流を望む              22 大磯町国府本郷付近
   



 このあたりから、二宮町に入る。

 
 23 新宿橋から下流を望む               24 二宮町へ
   

 下浜橋から上流の右岸を遡っていく。緑が殊の外多くて、散歩には良さそうな河畔の道である。

  25 下浜橋から上流を望む               26 下川久保遊園地
   

 国道1号線が見えてきた。この橋は遠海橋という。二宮町の中心部である。

  27 遠海橋(国道1号線)               28 遠海橋から上流を望む
   

 国道1号線を右折して、葛川とともに北へ進路を換える。

  29 こゆるぎ橋から上流を望む            30 川窪橋と東海道線
   

 東海道線の南側にある川窪橋の下、葛川の真上には歩道のようなものが見えたので降りてみる。

 31 川窪橋から下る                  32 長寿橋 その1
   

 この橋は長寿橋というが、葛川の流れと平行に架かっている。こんな橋は初めてである。川を渡ると言うよりも、東海道線の下を渡るために、川の上に橋を作ったという感じである。

  33 長寿橋 その2                 34 長寿橋からみる新原田橋(わんぱく橋)
   

 長寿橋は、東海道線の北側に架かっている新原田橋の歩道であるわんぱく橋につながっていた。

  35 わんぱく橋から見る長寿橋            36 新田橋
   



 なぜか、ゴーヤらしきものが生っていた。

  37 河畔の棚                    38 棚になるゴーヤ?
   

 二宮町の住宅地の中を流れるこのあたりの葛川にはたくさんの橋が架かっている。

  39 大応寺橋から上流を望む             40 萬年橋から下流を望む
   



 萬年橋に出た。ここから上流の右岸側は緑が多い。山が迫っているせいだろうか。

  41 萬年堰跡                    42 二宮町中里付近 その1
   

  43 二宮町中里付近 その2           
  44 貝ヶ窪橋から下流を望む
   

  45 東海道新幹線                  
46 新幹線下
   

 東海道新幹線に突き当たった。まるで軍事施設のような鉄の壁が張り巡らされている。防音のためだろうか。ちょっと異様な姿だ。
 スーパーの裏手は桜並木になっており、のんびりと歩くには最高だ。

  47 桜並木 その1                 48 桜並木 その2
   

  49 小田原厚木道路                 50 堰の管理小屋
   

 小田原厚木道路の下を葛川はのんびりと流れている。



 清水橋を過ぎると、葛川の流れを彩る周囲の緑がひときわ美しくなった。周りはありふれた市街地であるが、何故かここだけは別世界のような風景が広がっている。

 51 二宮町百合が丘3丁目付近 その1


 親子連れが河畔で楽しそうに寛いでいた。桃源郷とでも言ったらよいのだろうか、現実離れした空間に迷い込んだような不思議な美しさである。

 52 二宮町百合が丘3丁目付近 その2


 川の水は、周りの景色にあわせて心なしか澄んでいるような気がする。右岸側には町営住宅のような建物が並んでいるが、その白い建物も、規則正しく並んだオブジェのように、青い空の下にすまして佇んでいる。

 53 二宮町百合が丘3丁目付近 その3



 二宮町の住宅街をすぎて、景色が田園風景になってきた。

  54 西谷戸橋から下流を望む             55 上北根橋から上流を望む
   

 河畔には白く眩しいコンクリートの遊歩道が整備され、厳島神社/厳島湿生公園の案内板が現れた。

  56 河畔遊歩道                   57 五分一橋から上流を望む
   



 左右を丘陵に挟まれた川沿いには田圃が広がり、正面にはピラミッド型の端正な大山の姿がみえる。

  58 正面に見える大山                59 台風でいたんだ田
   

  60 中津橋から上流を望む              61 如意輪観音案内板
   

 珍しい観音様に寄り道をしよう。

  62 如意輪観音 その1               63 如意輪観音 その2
   

 歯痛止の神様らしく、右手を頬に当てている。人々の歯の痛みを代わって引き受けてくれる神様らしい。

  64 大磯丘陵をかすめる
               65 中井町上水道井ノ口北窪取水場
   

 地形的にみても地下水が豊富なのだろう。中井町の水道の水源があった。

  66 取水場から上流方面               67 厳島湿生公園南端
   



 整備された遊歩道を歩くと、右岸側に広い公園が広がっていた。人がたくさんいる。

 68 厳島湿生公園 その1


 厳島湿生公園である。

  69 厳島湿生公園 その2            
  70 厳島湿生公園 その3
   

 崖下からは湧水が湧き出ている。葛川の水源のひとつだ。ホタルもいるらしい。

  71 厳島湿生公園 その4              72 厳島湿生公園 その5
   

 公園は大きな湧水池を中心に広がっているが、その池の中央の島には赤い鳥居が印象的な神社がある。厳島神社である。

 73 厳島神社


 湧水が作り出した、素晴らしい光景だ。わざわざ見に来る価値が十分あると思う。

 74 厳島湿生公園 その6


 75 厳島湿生公園周辺案内


 こののどかな風景の中を汽車が走っていたそうだ。

      76 厳島湿生公園解説板
      

 この湿地帯はてっきり自然のものかと思ったが、昔は田圃として利用され、その後放置されていたところを公園にしたとは意外であった。もちろん大昔は一体が湿地帯だったのだろうが....アマゾンのジャングルの例を見てもわかるように、実は、自然を最も破壊する人間の活動は農業である事がよく分かる事例である。三浦半島の小網代の森も田圃が放棄されて出来た自然であったことを思い出した。

  77 厳島湿生公園 その7              78 上中橋から上流を望む
   

 79 厳島湿生公園周辺案内図




 名残惜しいが、後ろ髪を引かれながら美しい厳島湿生公園を後にして、さらに上流に向かう。

  80 宮向橋から上流を望む              81 台風で傾いた植木
   

 厳島湿生公園とは対照的に、源流に近い葛川は、残念ながらコンクリートで固められた醜い姿になっていた。かなりの急流で、昔は美しい渓流だったのではないか、と思わせる。

  82 宮上橋から上流を望む              83 宮原橋から上流を望む
   

 写真84のバス通りで、葛川源流は突然暗渠になってしまった。

  84 開口部上端の県道(旧道)             85 84の地点から下流を望む
   



 歩道が不自然に広く、葛川源流の暗渠がその下にあることが想像できる。

  86 暗渠 その1                  87 暗渠 その2
   

 二宮と秦野を結ぶ広い県道を渡る。

  88 県道(新道)を渡る                89 暗渠 その3
   

 暗渠の上部が鉄の網になっていたので、隙間にカメラのレンズを入れて撮影してみたのが、写真90である。まだ水は流れているようだ。

  90 89の隙間から見た源流             91 湧水池からの流出口
   

 道を挟んで遊水池があった。ここも水源の一つになっているようだ。その上部は写真93のようにさらに斜面が続いており、この工業団地の雨水排水管が集まって暗渠になっているのではないかと想像した。すっかり破壊されてしまった葛川源流をこれ以上辿るのは難しそうだ。地形図によるとこのあたりの標高は約100mである。

  92 源流付近の遊水池                93 源流の痕跡
   

 GPS歩行記録


 GPS高度記録


 高度記録を見ると、葛川は標高100m付近の源流から海抜0mまで、なだらかに下っていることがわかる。

 葛川は、地元の人以外には知名度がない小さな川かもしれないが、失礼ながら思わぬ掘り出し物といってよいだろう。見どころは3つ。
 1つめは、岩場と砂浜の海に流れ出す河口の素朴な風景、2つめは百合が丘付近の美しい川岸の緑、3つめは源流の厳島湿生公園である。どれをとっても湘南の明るい雰囲気に溶け込んだ葛川が心に残る風景だ。

 (本日の歩数:27550歩)
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