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日光白根山 標高2578m 登山開始地点標高2000m
自分の足で登らない山シリーズ第14弾 関東地方の最高標高を誇る幻の活火山 |
◆ 2013年8月19日
関東地方北部の地図を見ていると、高い山の西側に直線が引かれているのが目に止まった。山の名前は、「日光白根山」である。線は、ロープウェイらしい。これは、高いところまで運んでくれそうである。
以前に訪れた草津白根山は、他の白根山と区別するため、「草津」をつけているという。では、他の白根山とはどこか。代表的なのは、ここである。
この山の紹介を見てみると、たいてい判を押したように「関東以北で最高峰」と書いてある。ガイドブックがそう書いているのだろう。どういう意味だろうか。「関東」とは通常「関東地方」の意味で使うはずなので、関東地方以北ということになる。しかし、地図を見ればわかるように、関東地方の北側には、新潟県がある。新潟県は、中部地方にあたるので、関東地方が中部地方の北にあるとは言えないだろう。富士山をはじめ、日本の高い山の殆どは中部地方である。
おそらく、関東、東北、北海道地方では最も高い山ということを言いたいのだろう。Wikiでは、「関東地方の最高峰で、国内ではこれより北や東に日光白根山より高い山はない。」と正確に書いてあるのはさすがであるが、そのことにどんな意味があるのかはよくわからない。しかし、確かに意外ではある。北には鳥海山や大雪山など、もっと高い山がありそうだが。
とにかく、関東地方最高峰の険しく高い山に果敢に挑むのである。それも、自分の足ではなく、ロープウェイを使って......(どこが果敢なのか?)
ロープウェイは、群馬県側、尾瀬で有名な片品村の丸沼高原から登っており、日光白根山ロープウェイという、まんまの名前である。アクセスを調べてみると、車ならば日帰りができそうだが、それではあまりにも芸がなさすぎるので、反対側の栃木県日光側に降りることにした。したがって、公共交通機関利用と、1泊以上の行程が自動的に決まる。
8月18日の朝ゆっくり家を出て、高崎駅乗り換えで13時8分に沼田駅に着いた。13時15分発の尾瀬大清水行きのバスに乗る。関越交通の古びたバスに乗る時に、SUICAが使えないことに気がついた。まずい。財布には、小銭が1900円しかない。車内で5千円札を両替しようとしたが、ダメだった。丸沼高原へは途中の鎌田というところで乗り換えるのだが、地図によるとそこまでかなりの距離がある。30km以上はありそうだ。降りて両替をするにも、発車時刻が迫っている。
そんな心配をよそに、バスはそこそこの人を乗せて出発した。バス料金が思ったよりも高い。1900円以内は絶望的である。運転士さんに叱られる場面が目に浮かび、バス料金表と心拍数と冷や汗の数が同時にどんどん上がる。いざとなったら、他の乗客に両替してもらおうかと思っていたら、途中の老神温泉で殆どの人が降りてしまった。残っているのは、オジサン一人である。尾瀬に行こうとする人は、こんな時間のバスには乗らないのだろう。
バス料金表示は千円をとっくに過ぎたが、吹割の滝を越えて道が直線的になってからは、バスの速度が料金上昇スピードを上回り、あっけなく鎌田に着いた。料金表示は1600円であった。セーフである。危機を脱して、ニヤニヤしながらバスを降りた。渋滞した高速を走るバスの中でトイレを我慢しながら、やっとサービスエリアに着いた時と同じ安堵の開放感である。
14時23分、バスを降りると、先ほどのバスがUターンして停まった。時間調整のようだ。唯一同乗していたオジサンが降りてきて「尾瀬に行くんですか。」と尋ねてきた。違います、と答える。尾瀬に行くのに、ひとりきりになって、不安になったようだ。今度は、運転手さんに話しかけている。金ピカのチェーンネックレスをしているのに、見かけによらず寂しがり屋のオジサンである。
鎌田は片品村の中心地のようだ。ここから丸沼高原へは、宿泊者用の無料シャトルバスがでている。乗り込むと宿泊場所を聞かれ、14時50分定刻に、貸切状態でバスが発車した。鎌田から丸沼高原、そして日光に通じているこの道は、日本ロマンチック街道という、なんとも論評しようのない名前がついている。
1 鎌田バス停 2 丸沼高原行きシャトルバス
15時25分に、宿泊施設の玄関前に到着する。シャレー丸沼という施設だ。観光ホテルでも旅館でもない、ロッジという感じの簡易ホテルである。スキー客用だが、夏は登山客がほとんどだろう。宿泊はここの他には下のペンション村しかなく、立地的にここしか選択肢はない。ちなみに、予約の時にほとんど強制的に登山パックにされそうになったが、これは、往復のロープウェイ券と昼の弁当がセットになっているらしい。ここに戻ってくるのなら確かにお得だが、今回は必要ない。それにしても、殆どの人が登山パックにするということは、栃木県側に抜ける人はいないということである。なにか問題があるのか、少し不安になる。
露天風呂があるので夕食までの時間、ゆっくり浸かった。露天風呂の写真は、他のお客さんがいて撮影できなかったので、公式ホームページから転載させてもらおう。なかなかよい露天風呂である。座禅温泉と書いてあった。
3 シャレー丸沼 4 シャレー丸沼露天風呂(HPより転載)
部屋に冷房はついていないが、標高が1400mあり、涼しいのでぐっすり眠ることができた。朝食が7時、ロープウェイが7時30分からなので、早起きしても仕方がない。6時に起きる。快晴である。東の空は雲一つないが、残念ながらここから山頂は見えない。
朝食まで時間があるので露天風呂に入る。昼を食べなくてもすむようにご飯をお代わりしたら、食べ過ぎで気持ちが悪くなってしまった。
ロープウェイの駅は歩いて5分ほどだ。片道券を買おうとしたら、湯元か菅沼に抜けますか?と聞かれ、はい、と答える。ここでも、往復券を買う人がほとんどだということだ。向こう側に行く根性のある奴はいないのか?
5 シャレー丸沼の朝 6 日光白根山ロープウェイ山麓駅
7 ロープウェイからシャレー丸沼を見下ろす 8 ロープウェイ山頂駅
15分ほどで山頂駅に着く。ここの標高はすでに2000mである。白根山の標高は2578m、600mも登らないで、関東最高峰に登れるのだから、私のような初心者であふれるわけである。
9 ロックガーデン
ここで、初めて日光白根山が我々の前にその姿を見せる。この山は、日光側からも見えないらしい。奥深いところにある幻の山なのである。そのため、別名「奥白根山」ともいわれている。また、山頂は、冬を除いてほとんど雲か霧に覆われているらしい。今日も快晴の空なのに、すでに日光側から雲がせり出している。山頂はまだ見えるが、子供が描く富士山のように3つのコブが漫画のように並んでいて、なかなか印象的だ。朝なので、逆光なのが残念である。意外と遠く見えるが、今日はあそこまで登り、山を越えて向こう側の日光まで歩かなくてはならない。
10 山頂駅から日光白根山を望む
11 山頂駅案内地図
案内板の地図でルートを確認して、8時5分に出発である。ここで、GPSが衛星を捕捉していなかったが、まあいいだろうと見切り発車したのが後で後悔のもととなる。
13 登山道入口 14 二荒山神社
神社を過ぎ、鹿よけネット入口でクマ注意の書きこみを見てから、樹林帯に入る。
15 鹿よけネット入口 16 登山道へ
17 散策コース3番不動岩付近 18 3番現在地案内
美しい森林の中をゆるやかな勾配で進んでいく。快適な高原のハイキングコースである。しかし、森林が深いため、GPSが衛星を捕捉しない。樹林帯を抜けるまで無理なようだ。諦めてスイッチを切る。
19 散策コース4番血の池地獄分岐 20 4番現在地案内
21 大日如来へ 22 大日如来
23 大日如来解説板 24 七色平分岐へ
25 散策道5番七色平分岐 26 5番現在地案内
27 七色平分岐標識 28 白根山山頂へ その1
七色平分岐からは、やや勾配がきつくなり、いよいよ本格的な登山道になる。標高が高くなったせいか、森林の密度が減ったせいかわからないが、ここでやっとGPSが作動した。
29 白根山山頂へ その2 30 白根山山頂へ その3
突然目の前が開ける。森林帯を抜けたようだ。標高は約2400mである。
31 白根山山頂へ その4 32 白根山山頂へ その5
33 白根山山頂へ その6
34 白根山山頂へ その7
これぞ高山という素晴らしい登山道と景色である。やや雲が多いが、この季節と時間では、贅沢を言ってはいけないだろう。
35 白根山山頂へ その8
36 白根山山頂へ その9 37 白根山山頂へ その10
砂礫地に標識とロープがある。霧が深い時に下りでそのまま直進してしまうと、遭難しててしまうからだろう。
38 白根山山頂へ その11
砂礫地を登り切ると、緑の谷の地形が現れた。緑が無くなったので、そのまま山頂に着くのかと思いきや、なかなか、ドラマチックな展開である。霧が出てきて、神秘的な雰囲気になってきた。
39 白根山山頂へ その12
40 白根山山頂付近の噴火口跡? 41 白根山山頂へ その13
右手に噴火口跡らしき円形の窪地を見ながら登ると、小さな神社に着いた。五色沼方面の標識もある。ここが3つあった山頂のコブのうち、一番南側のピークだろう。
42 白根山山頂直下の社 43 五色沼方面分岐
44 白根山山頂を見上げる
山頂はなかなか険しい岩場である。真ん中のピークである。
45 白根山山頂直下
46 白根山山頂 その1 47 白根山山頂三角点
10時17分、山頂の三角点に到着した。ロープウェイ終点から、2時間10分かかっている。
48 白根山山頂標識 その1 49 白根山山頂へ その2
山頂は狭く、人が多いので、登山道に座り込むおばちゃんをよけながら進んでいく。
50 白根山山頂標識の温度計
温度計があった。これが正しいとすると、気温は22℃。30℃以上の下界からみると別天地である。
51 白根山山頂から五色沼を見下ろす
深い谷の下に五色沼の深いエメラルドブルーの湖水が見える。ジュラシックパークのワンシーンのようだ。
52 白根山山頂の登山者
山頂は混雑しているので、少し降りて休憩する。
53 白根山山頂北側
10時34分、出発である。日光側に降りるには、五色沼避難小屋を経由して前白根山に行くのが最短距離だが、どうしても弥陀ヶ池と五色沼をこの目で見たかったので、北斜面を降りてまず弥陀ヶ池を目指すことにする。
3つのコブのうち、北側のピークに登る。
54 白根山山頂北側へ 55 白根山山頂北側標識
56 白根山山頂北側から山頂を望む
少しだけ青空が出てきた。気持ちがいい。
57 弥陀ヶ池へ その1
58 弥陀ヶ池へ その2
59 弥陀ヶ池へ その3
60 弥陀ヶ池へ その4
61 弥陀ヶ池へ その5
62 弥陀ヶ池へ その6
結構急な岩場を下りていく。ストックをしまって、侍のように腰に挿す。トレッキングパンツの右腰にそれ用の紐がついているのを最近発見したのである。
63 弥陀ヶ池へ その7
64 弥陀ヶ池へ その8
65 弥陀ヶ池へ その9
眼下には弥陀ヶ池がよく見えるが、そこまでの道はかなりの急降下である。登ってくる年配者は結構苦労しているようだ。
66 弥陀ヶ池へ その10
67 山頂を見上げる
道がなだらかになり、ロープウェイ山頂駅方面からの道と合流する。
68 弥陀ヶ池へ その11 69 弥陀ヶ池への分岐
70 分岐の案内板 71 分岐から弥陀ヶ池へ
すぐ下に見える弥陀ヶ池へ向かおう。
72 弥陀ヶ池
11時32分、弥陀ヶ池に到着した。静かな池である。池の岸には菅沼方面への登山道が続いている。菅沼登山口はバスは無いようだが、車で来て登る人はいるようだ。
73 弥陀ヶ池のクマの糞 74 五色沼へ その1
クマも水を飲んでから、ゆっくりとしていったようだ。五色沼へ向かおう。
75 五色山分岐 76 群馬・栃木県境付近
五色山の分岐を過ぎる。五色山から湯元温泉に抜ける道もあるようだ。その先の鞍部、写真76は群馬・栃木県境である。五色沼への道は、予想外に急な坂道だった。後でその分登り返さなくてはならないのであまり標高を下げたくない。
77 五色沼へ その2 78 五色沼へ その3
79 五色沼 その1
11時57分、五色沼に到着である。何もない、人もいない静寂の美しい湖である。できればこの湖畔でのんびりと長い夏休みを過ごしたい、と思えるような素晴らしいロケーションだ。人の手が全く入っていないのが感動的である。ただし、朝夕は水を求めて現れるクマに会いそうな雰囲気だ。
80 五色沼 その2
81 五色沼 その3
82 五色沼湖畔から白根山を見上げる
83 五色沼 その4
五色沼から前白根山に直接登る道もあるが、避難小屋経由で行ってみよう。
84 五色沼から避難小屋への分岐 85 避難小屋へ その1
数人の登山者に会った。山頂で見かけた若いカップルもいる。
86 避難小屋へ その2 87 五色沼避難小屋
五色沼避難小屋に着いた。丹沢や奥多摩のように綺麗ではないが、2段になっているのが特徴である。
88 避難小屋前 89 避難小屋内部
ここでメインルートを外れて、前白根山に続く尾根に向かおう。分岐してすぐの森には、避難小屋利用者のものだと思われる排泄跡があって、足早に通過する。
90 前白根山へ その1 91 前白根山へ その2
尾根に出た。
92 尾根に出る 93 前白根山へ その3
尾根は木がなく、天気が良ければ素晴らしい展望だろう。高山植物の宝庫らしいが、黄色の花だけが目立つ。他の花はシカに食べられてしまったらしい。前方には、前白根山らしきドームが見える。
94 前白根山へ その4
帰りは、ここを歩きたいためにこのルートを選んだわけである。
95 前白根山へ その5
96 前白根山を望む
97 尾根の小径
98 五色沼への分岐
五色沼から登ってくる道との分岐から前白根山へ向かう途中からの展望は素晴らしい。これで晴れていたら、絶景だろう。
99 五色山を望む
100 前白根山を望む
101 白根山を振り返る
102 前白根山直下から白根山と五色沼を望む
103 白根山からの尾根道
石だけの斜面を登りきり、五色山への分岐を過ぎると、前白根山の山頂である。13時15分到着だ。
104 前白根山山頂五色山分岐標識 105 前白根山山頂標識
106 前白根山山頂から白根山を望む 107 山頂から東へ続く尾根
荒涼とした山頂で水分を補給するが、霧が濃くなってきた。避難小屋からここまで誰にも会っていない。マイナールートなのである。不安を覚えて、避難小屋方面に引き返そうかという考えが一瞬頭をよぎるが、この先は樹林帯になるため、慎重に行けば霧でルートを失うことは無いだろうと考えた。後は、人がいない寂しさと不安に耐えれば良いだけである。しかし、この霧では長居はできないので、すぐに出発する。次の目的地は、天狗平である。
108 天狗平へ その1 109 天狗平へ その2
110 天狗平へ その3 111 天狗平へ その4
天狗平に降りる途中で一人の登山者に会った。霧の状況を聞いてみる。視界は悪いが、道を失うほどではない、との簡潔かつ的確な答えに一安心だ。大企業の若手管理職といった感じの、頼りがいのありそうな体格の良い人だったので、その言葉に説得力があり安心感が倍増である。やはり、人間、見た目も大切である。
112 天狗平へ その5 113 天狗平
13時36分に天狗平着。次の目標は外山鞍部である。道は明瞭で問題はない。
114 外山鞍部へ その1 115 外山鞍部へ その2
14時ちょうど、外山鞍部に到着した。標高は約2150mだ。ここから、登山道は尾根道を左に外れて、標高約1650mの湯元スキー場まで、一気に500m下るのだが、その道の険しさは尋常では無いらしい。
116 外山鞍部 117 湯元へ その1
118 湯元へ その2 119 湯元へ その3
事前情報はあったものの、体験するとそれは想像以上のものであった。もう登山道とはいえないだろう。足元は不安定な石があり、急斜面の着地の足場を確保できないので、非常に体力を消耗した。着地の時に腕で体重を支えなければならない。木の根と1m近くの段差が、足の運びを邪魔する。最初は、体力任せで下っていたが、そのうち、体力が尽きて大腿部の筋肉が疲労すると、最悪の苦行となった。躓いたら、遭難である。人も通らないので、動けなくなったら一晩は覚悟しなければならない。そこで、高度計を見ながら標高100m降りる毎に、強制的に5分休憩することにした。時間はかかるが、怪我をするよりはマシである。こんな道が延々と続く。
120 湯元へ その4 121 湯元へ その5
急斜面は続くが、スキー場らしきものが見えて、下山の目処がわかったので、少し元気が出る。しかし、最後まで油断してはいけない。
122 白根沢へ合流 123 登山道モニュメント
15時30分、沢に合流して、登山道がやっとまともになった。外山鞍部からここまで、登山地図標準所要時間90分のところ、ちょうどピッタリの時間である。道はひどいが、登山道の石のモニュメントだけは立派である。
日光白根山という名前にもかかわらず、日光側からのルートが使われないワケを、まさに体で実感することができた。登りであれば、足場はもう少し楽だろうが、代わりに急斜面登りの体力消耗地獄が待っている。それに、湯元から日光白根山までの往復はかなりの標高差と距離があり、健脚でないと日帰りは難しいかもしれない。五色山経由の登山道も似たような状況らしい。
ロープウェイが一般的になった今、日光白根山は日光側からのアプローチの困難さから、群馬県の山となってしまったわけである。
124 登山道入口 125 湯元スキー場 その1
杖をついて足を引きずりながら歩いていると、さっき霧の状況を教えてくれた、避難小屋以東で出会った唯一の登山者が追い越していった。疲れていたのでどこまで行ったのか聞きそびれたが、日光白根山をあの時間で往復したのなら相当のエキスパートである。
126 湯元スキー場 その2 127 湯ノ湖が現れる
光る湖が見えた。下界に帰ってきたのだ。
128 湯元キャンプ場 129 湯元温泉
湯元温泉のメイン道路を渡るときに東武バスが通った。持参した時刻表をみると、湯元温泉発16時15分のバスがある。現在、16時12分なので、なんとか間に合いそうだ。さっきのは、観光バスだったのだろう。
しかし、バス停には15分発のバスはいない。ここが始発なのでおかしいな、と思ってバス停の時刻表をみると、発車時刻は16時10分であった。さっきのバスである。ネットから印刷した手元の時刻表は、平成24年版だったのである。次のバスは、....1時間後だ。
気を取り直して、旅館案内所に行ってみる。昨日のバス代の件があるので、財布を見てみると、千円札が1枚しか無い。ホテルで両替してもらえばよかったと後悔するが仕方がない。案内所の人に、ここから東武日光駅までいくらかかるか聞いてみると、親切に調べてくれた。1600円であるが、残念ながら案内所では両替できない。近所で両替してくれる店もなく、ホテルか旅館しか無いそうだ。ダメ元でSUICAが使えるかと聞いてみると、多分大丈夫だといわれる。
疲労で喉が渇く。ジュースを飲みながらあたりを見回すと、バス停の向こうに赤ちょうちんが光っていた。テントの屋台風飲食店が営業していた。早速5千円札を出して生ビールを頼む。両替完了である。アウトドアチェアに座って、のんびりとビールを飲む。極楽である。しかも涼しい。ここでも標高は1500mもある。バイトのお兄さんは群馬出身だが、やはり下は暑いと言っていた。
130 湯元温泉バス停 131 バス待ち
湯元温泉17時15分発のバスはSUICAに対応していた。さすがに東武である。途中で外人さんがたくさん乗って満員になったバスは、ゆっくりといろは坂を下って、東武日光駅に着いた。下今市駅でスペーシアに乗り換える。
132 東武日光線普通列車 133 下今市駅の特急きぬ
JRのグリーン車よりも快適なこの列車は、すっかり暗くなった関東平野を、一路東京へ向かってひた走る。
134 東武特急車内
GPSによる本日の歩行経路
今回のGPS記録は、最初の標高2000mのロープウェイ山頂駅から2250mまでの部分が欠落してしまった。
GPSによる今日の高度記録
日光白根山は、関東最高峰にふさわしい高山であったが、ロープウェイによって気軽に行ける山でもある。五色沼などの自然も素晴らしい。ただし、気軽というのは、ロープウェイ山頂駅に戻るコースに限ったことで、栃木県側はかなり険しく、一般的ではないようだ。1週間たった今もまだ太ももに筋肉痛が残っている。
安楽な登山という点では、予想外だったが、避暑を兼ねて温泉と白根山をのんびり楽しむことができた夏のひとときであった。SUICAが普及して忘れていたが、バスにのる時は千円札を多めに用意すべきという教訓を学んだ。
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