大岡川探訪            

横浜市内で3番目に高い円海山を源流として、横浜市南部、中心街を流れ、中区で東京湾へ
◆2007年2月25日     大岡川河口(みなとみらい)〜大岡川源流(横浜市磯子区円海山付近)


 水源シリーズ第3弾は「大岡川」である。下流が横浜のもっともメジャーな地区を流れる大岡川は全長14kmの典型的な都市型河川である。源流のある円海山は標高153m、磯子区峰町にあり、港南区・栄区・金沢区との境の緑地帯にある山だ。大岡川はこの円海山に端を発して横浜港に注ぐ中規模河川である。横浜の都会の超近代的な風景と横浜の最後の秘境?を結ぶ川、大岡川の姿を楽しんでいただきたい。みなと横浜に注ぐ川の最初の一滴ははたして。..



 みなとみらい駅(写真1)は、近未来の駅である。地下を走る電車が見える吹き抜けのエスカレーターが、明るい陽光の差すガラス張りのビルの1階まで一気に運んでくれる。海側に降りると優美な曲線をみせるインターコンチネンタルホテルがある。

 1 みなとみらい駅                      2 インターコンチネンタルホテル
   

 さらに行くと臨港パークで海岸線に出会う。右に回り込むとクラシカルな建物が印象的な写真3のぷかり桟橋だ。ここから対岸の万葉の湯までがちょうど大岡川の河口に当たる。

  3 ぷかり桟橋                   4 河口から上流のランドマークタワーを望む
   

 写真5がみなとみらい全景だ。横浜で最も人が集まるスポットの一つである。昔の貨物線は今はワールドポーターズに行く人の遊歩道としてにぎやかである。そのど真ん中を大岡川は悠々と流れている。桜木町の駅前にある北仲橋の河畔は写真6のようにデッキスタイルの歩道になっており、外国人がジョギングで追い抜いていった。

  5 北仲橋から下流の汽車道を望む            6 北仲橋から上流の弁天橋を望む
   



   7 桜木町駅南側の歩道橋                8 櫻川橋より上流を望む 
   

 都橋の上流には、写真10のとおり「都橋商店街」という川にはみ出した扇形の建物がある。ものすごくたくさんのお店(スナック?)があるようだ。入ってみる勇気はないが。 

  9 都橋より下流の櫻川橋と京浜東北線を望む        10 都橋より上流の宮川橋を望む  
   

 由緒ある橋が続く。銘によるとなぜか昭和初期に架けられたものが多い。おそらく関東大震災でそれまでの橋が落ちたか焼けたのであろう。川沿いは煉瓦の舗道と桜並木が美しい。

  11 長者橋                        12 旭橋
   
 
  13 旭橋近くの親水施設                  14 黄金橋
   



  15 末吉橋から京浜急行線黄金町駅方面         16 太田橋
   

  17 栄橋                        18 白金橋
   

   19 道慶橋                      20 山王橋  
   

 次第に周囲が繁華街から住宅・マンション街に変化しつつ、蒔田公園に着いた。ここは大岡川と中村川の分流地点になっている。つまり、こことみなとみらい、山下を結んだ3角形の地域は橋を渡らないと入れない、要するに中州であるといえるのだ。この地域は、県庁、市役所、裁判所、県警、検疫所、税関、大桟橋などがある横浜の心臓部、横浜の黄金のトライアングルと言っても良いところである。

  21 蒔田公園                       22 大岡川と中村川分流地点  
   

 空から大岡川と中村川に挟まれた地域を見てみよう。まさに、黄金のトライアングル地帯である。昔はこのあたりが海だったとは信じられない。江戸時代初期まではここは入り江だった。吉田勘兵衛という豪商が今の京浜東北線あたりまでを埋め立てたので、吉田新田というそうだ。その後、開港とともに現在の海岸線が埋め立てで段階的に形成されている。
 ちなみに、吉田勘兵衛は現在の長者橋(写真11)付近に住んでいたらしい。ということは長者とは吉田家のことか?


                         google mapより転載

 さて、また地上に戻り、旅を続けることにしよう。

  23 蒔田公園橋から上流を望む                24 清水橋
   

 井土ヶ谷まで来ても桜並木と煉瓦の遊歩道は続いている。桜の咲く時季はさぞ華やかなことだろう。

  25 井土ヶ谷橋遠景                    26 蒔田橋
   

  27 鶴巻橋                         28 カモメや鴨にエサをやるおじさん
   



  29 大井橋                         30 大橋町付近の白鳥
   

  31 弘岡橋                        32 弘明寺町付近の親水施設
   

 今までの大岡川は、水の流れは目に見えるものではなく、運河と言っても良いものであったが、写真33のように弘明寺付近で初めて段差のある流れを確認できた。
 地下鉄と京浜急行の弘明寺駅を結んでいるのが観音橋である。アーケードのあるどこか懐かしい賑やかな商店街で、橋もアーケードで覆われている。屋根の付いた橋と言うのも珍しい。

  33 初めての段差のある流れ                34 観音橋 
   



  35 観音橋から地下鉄弘明寺駅方面を望む          36 弘明寺付近の親水施設その1
   

 弘明寺付近には、河畔を歩くことのできる遊歩道があり、親子連れが楽しそうに歩いていた。

  37 弘明寺付近の親水施設その2          38 弘明寺付近の親水施設から花見橋を望む 
   

  39 中里橋                        40 向田橋
   

  41 向田橋から上流を望む                 42 越戸橋
   

 また、建物が高くなりはじめ、正面に高層ビルが見えてくる。上大岡である。地名の由来はおそらく川の名前から来ているのであろう。ここでは、河畔遊歩道が整備されており、都市を下から見ることができるのは非常に興味深い。

  43 河畔遊歩道の入り口                  44 河畔遊歩道から上流上大岡駅方面
   



 最戸下橋の下は荷物置き場になっている。だれかが公共の場所を勝手に使っているらしい。大胆なものだ。上からはいけないようなので荷物の出し入れは梯子を持ってくるしかないように見える。

 45 最戸下橋                       46 最戸下橋の荷物置き場?
   

 ここはもう上大岡副都心の核心部であるが、地上の喧噪が嘘のように誰も歩いていない。と言うよりも遊歩道のそのものの存在を知らない人の方が多いだろう。映画のロケで、銀行強盗の後の逃走ルートとか、麻薬の受け渡しのシーンを撮るのにちょうど良さそうな、妙な空間である。

  47 最戸橋直下                     48 京浜急行鉄橋
   

  49 排水路を渡る遊歩道                  50 大久保橋 
   

 上大岡の駅前には知られざる鳩の学校があった。先生が飛んでみせるのを生徒が仲良く並んでみている。

  51 鳩の学校                      52  久保橋
   

 やがて日野川の合流地点で遊歩道は終わる。写真54の左側が本流である。ここから流量は少なくなる。

  53 青木橋                       54 日野川合流地点
   



  55 笹下橋上流                      56 ふれあい公園の親水施設
   

 ちょっとした公園があり、親水施設の先は道が広々していると思ったら、いきなり少年院と刑務所が現れた。

   57 親水施設から上流を望む             58 横浜刑務所
   

  59 刑務所横の小さな神社?                 60 曙橋から上流を望む
   

 本物の刑務所の塀を初めて見た。

  61 刑務所の塀                      62 笹下付近の橋              
   

 大岡川流域の都市化が進むにつれて水害も起こりやすくなったので、下流の横浜中心部を守るために、ここから地下トンネルで磯子に水を逃がすのを目的に建設されたのが大岡川分水路である。かなり深く、のぞきこむと軽い恐怖を覚えるほどだ。

  63 大岡川水門                       64 大岡川分水路分岐点
   

  65 大岡川分水路入口                  66 笹下付近
   



  67 まがた橋                      68 新川橋 
   

   69 洋光台1丁目付近                 70 田中付近その1
   

  71 田中付近その2                   72 塩木戸橋から上流を望む
   

  73 根岸線橋梁                     74 栗木橋から上中里橋を望む
   

  75 上中里橋から上流を望む               76 神戸橋から上流を望む
   



 氷取沢町に入るとそろそろ上流域と言っても良く、景色が一転してのどかになる。横浜で唯一まとまった緑が残されている円海山を中心とした緑地帯に入ってきた。

  77 氷取沢神社付近                   78 氷取沢付近の田園風景
   

 これでもれっきとした横浜市内である。牧場まであるのは知らなかった。

  79 氷取沢付近                      80 氷取沢ファミリー牧場 
   

  81 氷取沢付近の畑の下を流れる大岡川          82 横浜横須賀道路直下
   



 横浜横須賀道路を過ぎると水量も小川と言って良いほどで、いよいよ源流域に入ってきた。大岡川源流アメニティとしてハイキングコースが整備されている。都会の喧噪から離れた水と緑の楽園といったところ。

  83 氷取沢市民の森の梅林                84 大岡川源流アメニティその1 
   

  85 大岡川源流アメニティその2             86 大岡川源流アメニティその3
   

  87 大岡川源流アメニティその4             88 大岡川源流アメニティその5
   

  89 大岡川源流アメニティその6             90 源流域その1
   

 やがて急傾斜地になり、沢といってもよい大岡川の源流。それをたどっていくと写真92のくぼみから水が湧いているのを発見。ここが最初の一滴だと思ったら道の反対側にも一筋の流れが。写真93では水が湧くと言うよりしみ出している感じである。この2つが大岡川の始まりである。もちろん谷筋がいくつかあるので唯一というわけではないが。それにしてもみなとみらいからこのような自然あふれる湧水まで、大岡川はずいぶん多彩な顔をもっているものだ。

  91 源流域その2                   92 源流湧水地点1 
   

  93 源流湧水地点2                    94 源流の上部の尾根 
   



 源流からは、港南台駅が一番近そうなので尾根づたいにしばらく歩く。電波塔があるくらいなので眺めは良く、写真99のようにランドマークタワーがよく見えた。川はあそこまで続いているわけである。

  95 尾根からの眺め                   96 電波塔
   

  97 尾根から栄区方面を望む           98 尾根から瀬上池と瀬上市民の森を望む
   

  99 環境センター裏からみなとみらい方面         100 港南台駅前
   

 横浜の中心部を流れる大岡川も、その源流は横浜市内とは思えないほどの野趣あふれる場所であった。大岡川の中でも特にこの源流域と上大岡の遊歩道、弘明寺より下流の桜並木、吉田新田からみなとみらいで海に注ぐ港町を流れる都会の風情といったところが印象深い。源流域を除けば交通の便も良い。

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