相 模 川 探 訪
山中湖を源流として相模平野を潤し相模湾に注ぐ神奈川県を代表する一級河川
◆第2日目(2007年9月17日)
相模三川公園(海老名市上郷)〜小倉橋(城山町川尻)
神奈川県の母なる川 「相模川」の2日目 である。厚木駅を降りて、相模三川公園を目指す。ここが今日の出発点だ。
1 相模三川公園から新相模大橋を望む 2 新相模大橋下のバーベキュー
3 上流側から新相模大橋を望む 4 上今泉付近の舟溜まり
新相模大橋から先、写真4から5の間は、明確な道がとぎれるが、やがて座架依橋が見えてくる。このあたりから両岸の河岸段丘が明確になってくる。
5 座架依橋遠景 6 座架依橋
座架依橋に近づくにしたがって大きな音がしてくる。橋の下で若者たちが大音量で踊っていた。発電器やPAを持ち込みかなり本格的である。橋の上からの眺めは最高である。
7 座架依橋下の踊る若者 8 座架依橋から下流を望む
舟が浮かんでいたので、白黒写真にして雰囲気を出してみた。漁をしているのだろうか。
9 座架依橋近くの川舟
座架依橋の少し下流側から川沿いに並木と遊歩道が整備されている。なかなか良い雰囲気である。
10 座架依橋から上流を望む 11 座架依橋北の河畔遊歩道
途中に芝桜が植えられていたり、ベンチやきれいなトイレが設けられたりしている。トイレといえば、相模川は河口から要所要所にきれいなトイレが整備されており、歩いていて不便を感じることはなかった。中小の河川だとこういったことは無いので、これは素晴らしいことだ。
12 新戸付近の河畔遊歩道 13 新戸付近から磯部頭首工方面を望む
気分の良い道をのんびり歩いていると、やがて磯部頭首工が見えてくる。頭首工とは農業用水の取り入れ施設のことである。
この磯部頭首工は大変規模が大きく、おそらく神奈川県でも最大ではないだろうか。相模平野の広い範囲を潤しているらしい。説明によると、戦前にできたそうだが、ちょっと信じられない規模だ。
まず、写真19の堰で水を堰き止め、写真20の取水口から水を大量に取り入れる。そのうちこちら側、すなわち左岸側はそのまま東に導水されるが、一部は写真17の取水口から地下の水路(伏越というらしい)で右岸側の厚木市に導水する。その施設が写真14である。写真16によると太い水管が2本埋め込まれているらしい。
14 磯部頭首工相模川伏越全景 15 磯部頭首工全景
16 磯部頭首工相模川伏越モニュメント 17 磯部頭首工相模川伏越取水口
18 磯部頭首工相模川伏越導水路 19 磯部頭首工取水堰
20 磯部頭首工取水口 21 磯部頭首工取水堰上流
それにしても農業用水というにはずいぶんと大がかりな施設である。堰の上流側は写真21のように、ちょっとした湖のような雰囲気だ。取水口付近は公園になっているので、散歩の休憩にもちょうど良い。
釣り人がたくさんいる入り江をすぎると、中世の土累の遺構があるらしいが、どれがそうなのかよくわからなかった。
22 磯部頭首工上流の釣り場 23 上磯部の土累解説板
やがて、下溝駅の真下、八景の棚に出る。ここは河岸段丘が多段になっており、川も相模川に流入するときに三段の滝になるというわけだ。昔からの景勝地らしいが、公園として整備されていて、美しい橋が架かっている。地形図でも川の両岸に崖があるのがよくわかるが、川は標高約30m、一段目の芝生広場(河川敷)が約35m、下溝駅のある二段目の台地は約60m、その上の台地は70m以上あるようだ。
24 三段の滝からみた三段の滝橋 25 三段の滝
26 鳩川分水路合流地点 27 三段の滝
三段の滝は残念ながら、コンクリートの滝でがっかりである。昔は自然の滝だったのだろうか、それとも放水路なのでもともと滝はなかったのだろうか。
28 三段の滝からみた上流昭和橋方面 29 三段の滝芝生広場
このあたりまでは川は南に流れていたが、ここから上流は北西から南東向きに流れるようになる。西から流れてきた川が八景の棚の崖にぶつかって南向きに流れを変えるといった方がよいかもしれない。このため、川は大きくカーブしている。
30 八景からからみた上流昭和橋方面を望む 31 昭和橋
平塚と八王子を結ぶ新旧国道129号線の昭和、新昭和橋を通過する。
32 新昭和橋遠景 33 新昭和橋
34 新昭和橋上流の水道橋 35 上流側からみた新昭和橋上流の水道橋遠景
美しいアーチを描く水道橋をすぎると川沿いの道はなくなり、台地上に上がると、できたばかりの遺跡公園があった。以下、解説付きで紹介しよう。
36 史跡田名向原遺跡公園竪穴住居解説板 37 竪穴住居
38 住居状遺構解説板 39 住居状遺構
40 谷原12号墳解説板 41 谷原12号墳
ここから、こちら側は崖になり、川沿いの道はなくなるが、河岸段丘上に遊歩道が整備されている。写真43だけをみると、道の左側にいきなり30mほどの大きな崖があり、下には相模川が蕩々と流れているとは信じにくい。
42 田名河岸段丘上の遊歩道 その1 43 田名河岸段丘上の遊歩道 その2
たまに木立の間から緑豊かな川が見える。
44 田名河岸段丘上から相模川を望む 45 田名河岸段丘上の遊歩道 その3
途中で道は崖を降りていき、望地弁天という場所に出る。弁天と林の中のキャンプ場と湧水のある風景は、歴史を感じるとても良い雰囲気の場所だ。思わずのんびり休憩したくなるが、まだ先は長い。飲み物を一口飲み、後ろ髪を引かれる思いで出発だ。
46 望地弁天解説板 47 望地弁天
48 望地弁天キャンプ場 49 望地弁天キャンプ場の湧水
50 望地弁天上流 51 望地弁天上流の釣り場
52 河岸段丘の崖 53 望地弁天上流で合流する小河川(名称調査中)
川沿いをしばらく歩くと、高層マンションが唐突に立っている、高田橋に着く。公園があり、広々としていて車が入れるため、バーベキューのメッカでもある。
54 高田橋遠景 55 高田橋から下流を望む
ここから上流は水郷田名とも呼ばれているらしいが、その詳細はいつものとおり、リアル解説板を呼んでいただいた方が話が早い。
56 高田橋から上流を望む その1 57 高田橋から上流を望むその2
58 水郷田名の歴史解説板
59 高田橋横の久所の渡しの碑と鮎供養塔 60 高田橋上流の河畔遊歩道
この農業用水施設をすぎると水郷のにぎわいが無くなり、人がほとんどいなくなる。
61 小沢頭首工遠景 62 小沢頭首工
63 小沢頭首工上流の河畔の小径 64 滝の渡し跡付近
写真65は白黒にして、雰囲気を出してみた。その景色は、渡し舟が通っていたころと、あまり変わっていないのではと錯覚を覚えるほどだ。
65 河畔の小径から対岸の葉山島を望む
66 大島付近の河岸段丘上の遊歩道 67 大島付近の河岸段丘上から相模川を望む
途中から河原へ降りる道があったのでそのまま下る。お寺があり、独特の隠れ里のような雰囲気。バイクの練習場をすぎていくと、やがて道が行き止まりになり、ホームレスのおじさんの邸宅に着く。おじさんに聞くとこの先は大島には抜けられないそうだ。恐るべき崖である。
68 神澤不動尊 69 神沢河原のトライアル練習場
袋小路なのにこんなりっぱな集落があるとは、相模川も懐が深い。のんきなことをいっているが、結構時間をロスしてしまった。暗くなる前に目的地に着くか不安になり、重い足を引き吊り、坂を登り返す。写真70の場所が分岐点だが、上流に行く人は、決してここを下ってはいけない。
70 神沢河原分岐点(神沢坂) 71 相模原市大島付近
田舎のどこかのんびりした集落をすぎると、老人ホームがあり、その先に公園の入り口と書いてあった。今度は大丈夫だろうと下っていく。
地形図によると中州の田圃は標高69m、台地は標高134mとあるので、その差は65mもある。当然、崖は結構な高さだが、素晴らしい景色に何度か立ち止まりながら降りていくと、相模川自然の村公園に到着する。
72 相模川自然の村公園入り口から対岸を望む 73 相模川自然の村公園展望台から下流を望む
74 相模川自然の村公園への階段 75 相模川自然の村公園 その1
写真はわざと人を写していないが、実際はこの公園は、その環境と景色の良さから人気があるらしく、夕方だというのにたくさんの人がいた。キャンプ場には若者も大勢いる。河畔の松林が美しい。
76 相模川自然の村公園 その2 77 相模川自然の村公園 その3
78 諏訪森下橋から下流を望む 79 諏訪森下橋から上流を望む
中州にわたる諏訪森下橋から舗装道路をしばらく行くと、左手に今日の目的地でもある、優美なアーチを描く小倉橋がその美しい姿を現した。
80 諏訪森下橋から小倉橋への道 81 小倉橋で相模川に流れ込む谷津川
橋と橋の上から見る景色は写真では十分に伝えきれないが、大きめの写真で雰囲気をお楽しみいただきたい。
82 小倉橋(手前下)と新小倉橋
83 小倉橋からみた下流の夕景(パノラマ)
小倉橋の幅はせまく、車が通るので、写真を撮るときは緊張した。小倉橋付近は昔は舟遊びのできる景勝地として有名であったらしく、写真左端に写っているように茶店らしき建物があったが、営業はしていないようだ。小倉橋から橋本駅までバスに乗り、帰途についた。
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