小 出 川 探 訪

     藤沢市遠藤の谷戸を源流として、寒川町、茅ヶ崎市を経て、相模川と河口近くで合流
第2日目(2008年4月20日) 慶應大学(藤沢市遠藤)〜源流(笹窪谷戸)

 
 前回は、相模川との合流点から、源流の琵琶島まで遡ったが、途中の暗渠に惑わされて、もう一つの源流である、笹窪谷戸の調査を行うことが出来なかった。
 今回は、追加調査ということで、笹窪谷戸を徹底的に探索することにした。
 というわけで、終点の慶應大学前でバスを降りる。藤沢市遠藤といえば、昔は交通が不便な農村地帯であったが、大学が出来てからずいぶん様変わりした。大学移転時の道路建設時に、小出川上流も改修されて、コンクリートの暗渠になってしまったのだろう。おかげで、前回は、上流への手がかりを失ってしまったようだ。
 今回は、事前調査に基づき、バス停から北、慶應大看護医療学部方面へ向かう。ここが笠窪谷戸の入口になる。

 1 慶應大学湘南藤沢キャンパス正門前         2 慶大看護医療学部方面
   



 早速、看護医療学部への道路左手に、水の流れを発見した。この流れは、写真3のところから暗渠になっているようだ。おそらく、道路の地下で琵琶島水源からの流れと合流しているのだろう。その上流は、人の手が入ってはいるが、コンクリートで固められてはいない。

 3 暗渠入口                     4 谷戸入口の流れ その1
   

 小出川は、谷戸の中に入り、もはや源流域といって良いだろう。水流は谷戸の西側、竹林になっている丘の縁の湿地帯を流れている。緑が多く、蛍がいてもおかしくないような、なかなか良い雰囲気である。

 5 谷戸入口の流れ その2              6 谷戸入口の流れ その3
   

 7 看護医療学部下の流れ その1           8 看護医療学部下のビオトープ
   

 キャンパスの下には、大学が設置したのだろうか、ビオトープがある。芝生が美しい。

 9 看護医療学部下の流れ その2           10 看護医療学部宮の下の流れ その3
   

 大学の建物は、ヨーロッパ風で美しい。休みの日なので芝生で家族連れがくつろいでいた。大学を過ぎると、源流の周囲の風景は、だんだんワイルドになってくる。

 11 看護医療学部キャンパス             12 谷戸を流れる源流 その1
   

 昔はおそらく湿地帯か田圃であったのだろう。現在は、写真14のとおり盛り土されて、空き地となっている。この様子ではおそらく、産業廃棄物が埋まっているはずだ。今すぐにでも建設資材置き場になりそうな谷戸の雰囲気である。ここまで自然が破壊されてしまうと、自然に戻すのは難しいだろう。

 13 源流 その2                  14 谷戸内の空き地
   

 さらに、谷戸を遡っていく。写真16のあたりは、休耕地がそのままになっているという感じであるが、不自然に平地なので、過去に埋め立てられたのかもしれない。源流はというと、谷戸の南側を直線的に流れているので、過去に産廃埋め立てか、耕地へと開発されて、流れを南側に押しやったと想像される。

 15 源流 その3                  16 谷戸の風景
   

 道標の解説によると、昔は谷戸に小さな集落があったらしい。

 17 道標の解説版                  18 源流 その4
   



 やがて谷戸の奥地にきて、ますます源流らしい流れになる。昔は田圃だったかもしれないが、現在はあまり人の手が入っていない感じである。水量は大分少なくなってきた。谷戸の途中での湧水がかなりあるということだろう。

 19 源流 その5                  20 源流 その6
   

 今日は、前に用事があったので普通のスニーカーで来てしまったがそのことを後悔するほどの湿地帯になってきた。写真21が最初の湧水点かと思ったが、まだ上があるようだ。

 21 源流 その7                  22 源流 その8
   

 写真23のところから上は傾斜がきつくなり、写真24のように半分滝のような流れになる。

 23 源流 その9                  24 源流 その10
   

 その最上部が写真25である。この奥が湧水地点かと思ったら、水は上から流れる、というよりも、したたり落ちるといった方が良いかもしれないが、上部に水源があるようだ。それが、写真26の地点である。もう足場は最悪である。

 25 源流 その11                 26 源流最上部
   

 写真26の奥の植物をかき分けて、斜面にへばりつき、やっとの思いで何とかカメラだけを中に入れて撮影したのが、写真27である。なんと、小出川の最初の一滴はビニールパイプから流れ出していたのだ!興ざめではあるが、最初の一滴としてはこれほどわかりやすい形もそうあるまい。たぶん、小出川の源流をここまではっきりと写真と記録に残したものは、本邦初公開ではないだろうか???(自画自賛)。
 写真28が離れたところから見た水源地の様子である。青い楕円のところが写真26,27の部分にあたる。

 27 源流の最初の一滴                28  谷戸上部から源流付近を望む
   

 写真29のように、上を見上げると、もう谷戸の頂上はすぐそこである。最初の湧水はかなり上部から湧いていることがわかる。谷戸を登り切ると、そこは写真30のとおり、土建屋さん風の民家と空き地がある、ごく普通の田舎の風景で、少し拍子抜けしてしまった。源流部のワイルドな行程からはとても想像がつかない、狐にだまされたような気持ちである。

 29 谷戸上部                    30 谷戸の上 
   

 改めて谷戸を見下ろすと、写真31のとおり緑が深い谷になっている。

 31 上からみた谷戸最深部全景
  

 最後に、この貴重な谷戸の航空写真を載せておこう。

  
              
 google mapより転載

 小出川の源流としては、ゴルフ練習場コンクリートの排水路と化している琵琶島よりも、距離が長く、自然が残っている笹窪谷戸がよりふさわしいだろう。
 谷戸の下部は、埋め立てや大学キャンパスの建設により自然が失われているが、上部は、かろうじて開発を免れている。といっても、このまま保全しようという感じでもないようだ。オオタカが生息しているというような情報もあるようだが、この源流地域が今後どのようになっていくのか、予断を許さない状況であると感じた。このサイトの記録が開発前の過去の貴重な記録にならないことを願うばかりである。
 谷戸の源流地域は、歩道も整備されていないので、気軽に歩くというわけにもいかないが、興味がある方は、自然が残された数少ない谷戸の源流として訪ねてみるのも良いかもしれない。


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