海岸線をどこまでも西へ
伊豆半島の東海岸の旅も伊東・城ヶ崎海岸を経て、さらに南へ
◆第5日目(2013年9月23日) 伊豆大川駅 〜 伊豆稲取駅
伊豆半島に入ってから、早いものでもう5日目である。複雑な地形や気力のなさであまり距離は伸びないが、伊豆半島は、いなくならない。いやそれどころか、日本列島にますます近づいて隆起しているのである。ゆっくり行くことにしよう。
現在地
今日の出発地は、伊豆急の駅の中でも静かな部類にはいるであろう伊豆大川駅である。しかし、こんな過疎の駅に二人も駅員さんがいるのには驚いた。しかも、明らかに正社員のように見える。伊豆急は、運賃が高いことで有名だが、観光路線であることの他にこんなところにもその理由があるのかもしれない。JRであれば間違いなく無人駅にしているだろう。
1 伊豆大川駅 2 旧道へ
伊豆大川駅を9時30分に出発する。前回、伊豆大川駅で終わりにしたのは、ルートの問題もある。ここから熱川までの国道は、地図では断崖と隧道の連続である。そこで、山の中腹を並行している道を歩こうと思ったのだ。駅から西に向かい、写真2の交差点を左折して南方面に向かう。下田と書いてあったので、間違いなさそうである。おそらく旧道だろう。
3 旧道を下田方面へ進む 4 旧道から見た伊豆大川の集落
どこの田舎にもあるような平凡なのんびりした道を歩く。
5 北川温泉へ その1 6 北川温泉へ その2
眼下遥か下の海岸沿いに、北川温泉の旅館街が見えた。
7 北川温泉へ その3 8 北川温泉を見下ろす
やがて、斜面が緩やかになり、集落が現れた。海岸へ行く道は地図にはないが、写真10のように階段で降りることはできるようだ。
9 北川の集落 10 海岸へ降りる道
11 北川集落を見下ろす 12 熱川へ
写真12のガードレールは石造りの古そうなもので、この道が幹線道路だった頃を彷彿とさせる。
13 北川集落と伊豆急行線
北川駅を経由して下の国道と連絡する唯一の道が写真14である。
14 北川駅への分岐 15 熱川ハイツ入口
そうこうしているうちにホテルの名前からも熱川地区に入ってきたようだ。
16 熱川ハイツ 17 熱川温泉さくらやまパーク入口
写真17の道は、降りようかどうしようか迷った道である。多分熱川の海岸にでる近道ではないかと思ったのだが、地図に記載がなく、抜けられるかどうか確証がなかったので、パスしてしまった。
18 熱川のマンション街 19 熱川駅へ左折する
マンションが立ち並ぶ中、写真19を左折して熱川駅に向かう。
20 マンションのある坂を下る 21 国道135号線と熱川プリンスホテル
国道135号線にでた。写真21のガードレール、プリンスホテルの横から駅方面に下る歩道があったことを知ったのは、後からで、この日は車道を大きく遠回りすることになる。
22 熱川駅へ 23 熱川バナナワニ園 その1
24 熱川バナナワニ園 その2 25 伊豆熱川駅
大きく迂回して、バナナワニ園の前を通ってようやく伊豆熱川駅に着いた。時刻は11時である。
駅の先には、写真21の国道から降りてくる道があり、その先には熱川さくらやまパークから降りてくる坂道があった。2回のショートカットのチャンスを見逃してしまった。失敗である。おそらく、1km近く遠回りしてしまっただろう。
この狭い斜面にひしめいている旅館やホテルはいかにも温泉街といった風情である。特に、川沿いの道は、日本の温泉街の典型のような雰囲気であるが、その狭苦しい道の先には、開放感にあふれる雄大な海が広がっているというところが、熱川の魅力だろう。
26 熱川海岸へ 27 熱川海岸 その1
28 熱川海岸から駅方面を振り返る 29 熱川海岸 その2
30 熱川海岸 その3 31 熱川海岸 その4
さすが熱川、海岸のすぐ近くまでお湯が吹き出していた。
32 島見の湯源泉
33 熱川海岸 その5
風が強く、海は白波が立つほどで荒れている。ホテルの並び立つ海岸線を片瀬白田に向かおう。ここからは、海岸線が歩けるはずである。
34 片瀬温泉へ 35 湯波さんぽ道 その1
高波注意の標識が立つ防波堤の上を歩いていく。風が強くて、かなりの難行である。右手に旅館の建物が現れると、歩道が石で綺麗に舗装されるようになった。片瀬温泉地区に入ったらしい。
36 廃プール 37 湯波さんぽ道 その2
38 湯波さんぽ道 その3 39 湯波さんぽ道 その4
湯波さんぽ道と名付けられた海沿いの遊歩道も今日は風が強すぎて誰も歩いていないが、近くの旅館に泊まって夏の夜に浴衣で海辺を散歩するにはちょうどよさそうだ。
40 片瀬白田へ その1 41 海防の松 その1
さらに歩いて行くと松林があった。
42 海防の松解説板
一番南、写真43の川に近いところにある大きな2本の松が江戸時代からの松だろう。
43 海防の松 その2 44 白田川としらなみ橋
45 しらなみ橋から上流を望む
46 しらなみ橋から海防の松と白田川河口を望む
橋をわたって、片瀬白田駅へ向かう。駅の待合で休憩していると、伊豆急全線ウォークというパンフレットが目に留まった。駅から駅へ歩くルートが設定されているらしい。これは参考になりそうである。ここ、片瀬白田駅から稲取駅までのルートを迷っていたからである。そのルートの地図が
こちら
である。それには重大なことが書いてあった。稲取に行く途中の国道の隧道は歩行者通行不可と書いてある。そうすると内陸部を行くしかない。この地図に書いてあったルートは、海岸の国道が危険であった場合のルートとして事前に考えておいたものと全く同じであった。この道は、峠を隧道で越えるが、それでも標高290mまで登っている。その後一気に山を降りて、黒根岬にでる。山越えルートと行って良いだろう。黒根岬からは一転して海岸線ギリギリを歩き、稲取に至るルートである。
47 片瀬白田駅南側 48 片瀬白田駅
国道に出て左折し、理科大研修所の看板を右に入り、写真50を右折して、農道を登っていく。
49 国道から山間の道へ 50 分岐を右折
51 片瀬白田の集落
52 東京理科大学東伊豆研修保養所 53 稲取細野高原を望む
お金持ちの別荘かと思ったら看板にあった大学の保養所だった。
54 みかん山とイノシシの檻 55 峠を越える
高度が上がるにつれて、景色も良くなってくる。
56 山間から見える相模湾
遠くに風力発電の風車が並んでいるのが見えた。一年を通して風が強いのだろうか。
57 風力発電所と稲取細野高原方面を望む
58 水道の中継場 59 相模湾を見下ろす
ほとんど車も通らない寂しい道を歩き続けると、ようやく峠の隧道に着いた。この隧道は、見た目は新しいのだが、電気代をケチっており、途中で真っ暗になってしまった。歩いて通る人などいないと思っているのだろう。足元が見えなくなってしまったので、ザックの中からライトを取り出す。実戦で使うのは初めてかもしれない。LEDの明かりを頼りに歩いていると、対向車がきて、何事かと焦っていた。まさか人が歩いているとは予想していなかったようだ。もし、この隧道を徒歩で抜ける時は、ライトは必需品である。
60 新白田隧道 61 隧道出口の峠
駅でもらった地図によると隧道の出口付近が今日の最高地点で290mだと書いてあった。時計を見ると300mである。結構高いところまで登ってきたことになる。
62 標高300m? 63 貯水タンク
さっき丘の上から見た風力発電所はここから上がっていくのか。
64 風力発電所案内板 65 稲取保育園
66 スポーツヴィラの合流地点を左折 67 JAみかんワイナリー
大きな道に出て左折し、海岸方面に向かう。やがて民家が立ち並ぶ住宅街を抜け、国道の下を潜った。
68 黒根岬方面を望む 69 国道の下を黒根岬へ
さらに坂道を下りていくと、久しぶりの海が見えた。ソテツの向こうから赤い車がゆっくりと登ってくる。
70 黒根岬 その1
道が右に回りこむと、断崖の下、左手に荒々しい稲取海岸が迫ってくる。
71 黒根岬 その2
正面には、稲取港が見えてきた。
72 黒根岬から稲取を望む
73 伊豆急行の洞門 74 伊豆急行線
右手に並走する伊豆急行、左手に潮騒を感じながら歩く海辺の道はいかにも伊豆らしい。
75 東伊豆有線テレビ 76 稲取港遠景
海沿いには、どうみても古い民家にしか見えないローカル放送局があったりして、潮っぽい雰囲気である。
13時56分、稲取港に着いた。もやい石が鎮座している。今日は、山越えもあり、疲れを覚えた。無理をせずに帰途につこう。
77 稲取港 78 もやい石 その1
79 もやい石解説板
80 もやい石 その2 81 伊豆稲取駅
14時5分に稲取駅に着いた。発車時刻を見ると次は15時3分である。前回に続いてまたもや1時間待ちである。
駅前には石の切り出しについての解説や展示物があった。
82 矢割り 83 矢割り解説板
84 石の輸送アトラクション 85 稲取駅の熱海行きリゾート21
待合室でビールを飲みながら高校生と一緒にテレビを見て時間をつぶす。特急列車が発車すると、次発の普通列車のアナウンスが有ったので、ベンチから腰を上げた。
GPSによる本日の歩行経路(時間:4h47m 距離:22.5km 累積標高:+846m -875m)
今日は
伊豆大川から熱川までが山越え、熱川から片瀬白田までが海岸線、片瀬白田から黒根岬までが山越え、黒根岬から稲取までが海岸線と、交互に歩く変化に飛んだルートだった。国道135号線をほとんど歩かないのは初めてかもしれない。そのせいか、静かな、ひなびた感じのする伊豆をタップリと楽しむことができた。
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