海岸線をどこまでも
本州一周 (になるかもしれない旅) 千葉県九十九里浜を踏破中
◆第12+22日目(2009年12月29日)
片貝
〜
野栄
5月から半年ぶりの九十九里浜からの再開である。東金駅につくが、生憎の曇り空だ。昨日の天気予報がはずれてしまい残念だが、今日は無理をして来てしまった。その理由は後ほど明らかになる。
本日の気象衛星写真 (日本気象協会 tenki.jp)
それにしても、東金駅前は何も無い。コンビニで昼食を仕入れようとしたが、無理だった。
1 東金駅 2 片貝海岸方面行きのバス
3 海岸のバス停 4 九十九里橋から上流を望む
海岸らしい、錆びたバス停で降り、九十九里橋にむかう。途中にコンビニがあってホッとした。
5 九十九里橋から下流方面を望む 6 作田川左岸から河口方面を望む
曇り空の下で、寒風が突き刺さる。ふと自分のしていることにかすかな疑問をいだくが、すぐに打ち消して前へ進む。海岸へ行く途中に飼料工場があった。豊富に採れるイワシを原料とするのだろうか。
7 飼料工場 8 海岸への道
そして、作田海岸に出た。半年ぶりの九十九里浜は、曇り空にも関わらずその雄大な姿を目の前に見せてくれた。
9 作田海岸から南東方向 10 作田海岸から北東方向
不思議なことに、海岸に大量の魚が打ち上げられている。イワシらしい。なぜこんなことになっているのか謎である。
11 打ち上げられたイワシ 12 作田海岸のサーファー達
本須賀海岸は、写真13のとおり、美しい砂浜で、波打ち際には海鳥が大量にいた。近づいてもなかなか逃げない。
13 本須賀海岸 14 海鳥の群れ
15 木戸川河口 その1 16 木戸川河口 その2
木戸川の河口に差しかかった。橋をわたるために、川沿いを上流に向かって歩く。川面は曇り空のためどんよりしているが、それでも空を見上げると少し青空が広がってきたような気がする。
17 緑海橋から上流を望む 18 緑海橋から下流方面を望む
このあたりは、人が少なく、海鳥の格好のコロニーになっているようだ。
19 対岸の老人ホーム 20 木戸川河口付近
海岸に戻ると、またもや大量のイワシである。数日は経っているのだろうか。すでに匂いも干物状態になっており、ダシをとるのに丁度良い感じだ。この謎の現象について調べてみると、どうもクリスマスに発生したニュースに関係があるらしい。ネット記事を下に抜粋したが、九十九里浜全体でいったいどれだけのイワシが打ち上げられたのか、おそらく想像もつかない量だろう。海鳥が海岸にたむろしているのも、このことに関係しているのかもしれないと思った。
21 大量のイワシの干物 22 謎の棒
九十九里に大量のカタクチイワシ 浜埋め尽くす数十万匹
千葉県大網白里町の九十九里浜で25日までに、大量のカタクチイワシが打ち上げられているのが見つかった。
同町の白里海岸を管理している県山武地域整備センターによると、イワシは24日の時点で海岸線約600メートルで波打ち際を埋め尽くした。体長10〜15センチのイワシが数十万匹はいたという。23日午前に110番があった。
同センターは「イワシの群れに大型魚が来ると、イワシが逃げ惑って海岸に打ち上がるとの話もある」としているが、詳しい原因は分からないという。
大量の死骸で悪臭が立ち込め、住民から苦情もあり、同センターは25日朝、イワシを海岸の土中に埋める作業を始めた。
九十九里浜の海岸に打ち上げられた大量のイワシ=25日午前、千葉県大網白里
2009/12/25 11:03 【共同通信】
23 ゴルフの練習をするおじさん 24 流木のベンチ
頭上をかなりの低高度で旅客機が内陸に向かって飛んでいる。
地図
をみるとわかるように、成田空港の滑走路をそのまま南に延長する線を引くと、ちょうどここの頭上を通るのである。海外から帰る人たちにはおなじみの海岸線だということになる。その下では、おじさんが何かを採っているが、カニだろうか、それとも蛤だろうか。
25 蟹漁? 26 成田に進入する飛行機
このあたりの砂浜は広く、砂粒も美しい。
27 きれいな砂浜 28 蓮沼海岸から北東方向を望む
すでに何度かお目にかかった、ガス会社の天然ガス採取後の地下水排水口である。
29 ガス会社排水口 30 海岸から栗山川河口方面を望む
寂しい海岸を歩いてきたが、ここで少し人がいる場所についた。とはいっても、こんな時期にいる人種は一種類であるが。
さて、ここはマリンピアという公園になっており、砂丘の上に設けられた展望台からの眺めはなかなか素晴らしい。夏は賑わいそうな公園だ。
31 砂浜の駐車場 32 マリンピアくりやまがわ その1
33 マリンピアくりやまがわ その2
34 マリンピアくりやまがわ その3 35 栗山川河口
栗山川に突き当たり、遡っていくと漁港が現れた。釣人が多い。太平洋側のサケの回帰の南限の川としても有名だそうだ。
36 栗山川漁港から栗山川上流を望む 37 栗山川漁港
38 東部排水機場 その1 39 東部排水機場 その2
ここまでの海岸線に沿って、蓮沼海浜公園という大きな公園がある。名前のとおり、おそらく昔は海岸線にそった大きな沼地だったのだろう。この湿地帯からの水を排水するため、大きなポンプ場が作られていた。大きな展望塔があるが、遠くから見たときは、公園の観光用展望台だと思ったほどで、この建物は、用途からみてちょっとお金をかけすぎだろう。
40 排水機場から蓮沼海浜公園方面 41 栗山川右岸から河口方面を望む
栗山川を遡って橋を渡る。大きな川では仕方が無いのだが、実際に歩く距離は、これによって結構延びる。
42 屋形橋 43 屋形橋から下流を望む
44 屋形橋から上流を望む 45 謎の生物の死体
屋形橋から海岸へ出る途中の道端で、写真45のような謎の動物の死体を見つけた。猫ではないし、小型の犬だろうかと思ってよくみるが、犬だとしたら飼い主が片付けないのもヘンである。それに、横腹からお尻にかけて、皮膚の様子がおかしい。毛色から見てもこれはおそらくタヌキであろう。そして、死因はズバリ、
アカラス
だと思う。
46 地蔵堂 47 木戸浜
48 化学工場排水管 49 刑部岬方面を望む
ここで、写真49のとおり、初めて九十九里浜の向こうが見えた。刑部岬である。果てしなく遠いが、いつかはあの岬の根元に行き着いて、九十九里浜の終わりをみることができるはずだ。
50 水門(名称調査中) 51 成田山上陸地の鳥居
あの成田山のルーツがこんなところにあったとは、驚きである。
52 成田山上陸地解説版 53 水門を上流側からみる
54 コンクリート護岸 55 砂浜の侵食
このあたりは、侵食が激しいようだ。
56 破壊された護岸 57 イカ
美味しそうな小さいイカが落ちていた。そして、砂浜の中にロープで囲まれた一角がある。建前のようだが、こんなところに家を作るのだろうか。
58 堀川浜 59 謎の区画
その謎は、風で今にも吹き飛ばされそうな写真60の紙をみて、解決した。
しかし、このまま砂浜の侵食が続けば、コンクリートで固められた海岸にウミガメが産卵に来ることはなくなるだろう。そして、それはそう遠くない日であるような気がした。
60 区画の解説版 61 海岸侵食
写真62は、ウミガメの子供かと思ったが残念ながら日本中で大繁殖している外来種の淡水ガメであった。
62 ミドリガメ? 63 貝がら
64 砂丘の風景 65 南東方向を振り返る
午後3時半を過ぎて、だいぶ陽が傾いてきた。
66 新堀川排水機場 67 突堤
筆者が子供の頃に比べて、最近の野鳥はあまり人を恐れなくなったことは嬉しい。
68 野鳥の群れ 69 夕日に照らされる海岸
美しい海岸風景に、夕陽に照らされた建物がアクセントになっている。朝の曇り空が嘘のように、まっ青な空が少しずつ茜色に染まっていくようだ。それにしても、こんな時間まで海岸にいて果たして今日中に家に帰れるのか?という疑問を持つ人はたぶん読者の中にはいないと思うので、自分で書いておく。
70 野出浜
この長大な九十九里浜を徒歩で縦断しようとする場合、ネックはなんといっても交通の便が悪いことである。九十九里浜沿いの交通機関は、総武線と東金線であるが、残念ながら海岸線からずっと山側の内陸部を走っている。白子から外房線まではバスの本数が割合多いため、帰りに利用できた。しかし前回、片貝から東金駅までバスで帰ろうとしてエラい目にあってしまったのだ。一日に数本のバスしかないので、仕方なく9kmの道のりを歩いたのである。
今回は、さらに北上するので、ますます交通が不便になるのを免れないだろう。また、運良くバスで帰れたとしても、次回早朝に自宅を出発して同じ地点までたどり着くころには、かなり遅い時間になってしまい、ただでさえ短い冬の行動時間がさらに制限されてしまう。
このような理由から、九十九里浜後半戦は、途中で一泊して、一気に踏破してしまおうというのが今回の目論見である。そして、写真70で見えてきた夕陽に染まる煉瓦色の建物が、今日の宿泊施設なのだ。のんきに夕陽がどうのと言っていられるのもこのためである。
まるで海岸線を歩くこの企画のために作られたような施設は「
のさか望洋荘
」という国民宿舎である。ネットで見つけたのだが、この施設のポイントは、立地条件のほかに、なんといってもその料金の安さにある。一人で個室に泊まって、2食付きでなんと6930円である。デフレの時代でもとんでもなくお得である。
71 のさか望洋荘 72 客室
もちろん、建物は近くで見ると古くて、客室もそれなりだが、今回の目的にはなんの支障もない宿である。贅沢を言わなければ、海水浴、サーフィン、釣り、観光に最適である、と宣伝しておこう。
73 客室からみる海岸 その1
部屋は、全室オーシャンビューであるのもうれしい。
74 客室からみる海岸 その2
時間の経過とともに変化する海と空を撮ってみた。写真74で見えたサーファー達も写真75ではさすがにいなくなっている。
75 客室からみる海岸 その3
そして、空は最後のオレンジ色の輝きを失いながら、逆に濃い紫色の面積を少しずつ確実に増やしていく。
76 客室からみる海岸 その4
夜は、風呂も食事も満足した。そして、食堂にあった、これまたものすごくうまい地元の生酒を部屋で飲んで寝た。
今日は、九十九里浜の後半戦を充実して歩くことができた。やはり、泊まりで来ると旅をしている気分がいっそう盛り上がる。単調だと思われた九十九里浜も歩いてみると結構変化があって楽しいものだ。明日も、九十九里浜の旅は続くが、果たしてどこまで行けるだろうか。
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