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海岸線をどこまでも 本州一周 (になるかもしれない旅) 大洗から茨城県北部の海岸を北上する |
◆ 第12+34日目(2012年5月26日) 日立駅 〜 高萩駅
奥多摩の山に行っていたが、約1ヶ月ぶりに茨城県北部の海岸線に転戦である。雲取山に行った翌日テニスをしたりして体を酷使していたら、腰を痛めてしまった。今日はリハビリも兼ねた海岸行である。
毎度おなじみの上野7時発のスーパーひたち3号に乗り込む。前の席がうるさい...いや、賑やかである。服も化粧も派手でバブリーな30~40代の女性4人組で、ゴルフに行くようだ。
車内ではついウトウトと寝てしまった。何度も乗るうちにすっかりこの列車の常連さんになった気分であるが、最初に乗った時の新鮮さが薄れつつあるのは仕方が無いだろう。今日は茨城県北部の中心都市である日立からさらに海岸を北上する。
1 日立駅改札から海岸口を望む 2 海岸口のSEA・BIRDS・CAFE入口
スーパークリスタルビューシーサイドステーション日立駅には8時34分に着いた。時間も早いことだし、放浪者としてはやはり前回気になった例のカフェに入っておかなくては人生を後悔するだろう。というわけで、全国の駅構内にあるカフェの中でも日本一素晴らしいシーサイドビューを誇る(と当サイトで公式に認定された)
SEA・BIRDS・CAFE に入る。
3 SEA・BIRDS・CAFEにて 4 本日の優雅な朝食
景色の雄大さにつられて、気が大きくなってしまい、アメリカンクラブハウスとカフェオレを注文してしまった。値段は忘れたが、1500円くらいだっただろうか。パンケーキが看板らしいが、甘いものは食べたくないし、モーニングは平日だけである。カレーパンをかじるいつものスタイルと比べると、ホームレスがニューオータニで食事をするような贅沢である。テーブルにはおしゃれな洋書などが置いてあるのだが、なぜかローカル紙の茨城新聞があったので読みながら、朝日に輝く日立の海を眺める。
駅でのんびりしたおかげで、渚橋に着いたのは、9時20分を回っていた。
5 渚橋 6 浜の宮ロードパーク
海岸のバイパスには歩道はないが、写真7の標識を見つけた。これを読むと、反対方向の北側は歩いてもいいということだろうと勝手に解釈して歩き始める。駐車場があるので人はいる。
7 歩行者通行止標識 8 滝の上川高架橋
海の上の道路には歩道はなく、危険であるが、引き返せないので行けるところまで行くことにしよう。このあたりの海岸独特のやや赤みがかった砂浜であるが、ここでもテトラポッドにより、美しい海岸線は寸断されている。
9 滝の上川高架橋から海を望む 10 滑川高架橋から北を望む
小さな神社を過ぎるとバイパスは内陸部にカーブし、海岸方面に右折する道が現れる。そこで、親子連れが水を汲んでいた。地元の湧水かと思ったらなんと温泉である。しかも無料だ。
11 津明神神社 12 日立滑川温泉スタンド
13 日立滑川温泉スタンド標識
週末は、ポリタンク持参でここに来て、家庭で温泉を楽しむのも悪くなさそうである。
14 東滑川海浜緑地
その先には、東滑川海浜緑地という標識があった。
15 ヒカリモ解説板
緑地の遊歩道を行くとヒカリモの穴があった。黄色く輝いている。
16 ヒカリモ 17 グミ島
海岸に出ると右手に美しい海岸と小さな島が見えた。グミ島というらしい。
さらに丘をこえると、松が見事な海岸に出た。裸島である。風光明媚という言葉がピッタリだ。
18 裸島
19 海岸の松
ハマヒルガオが咲いている。温泉旅館もあるようだ。
20 裸島側から鵜の島温泉と南方面を望む
海岸沿いには進めないので、一度内陸部に入り、再び丘を越えると田尻浜である。
21 丘を越えて田尻浜へ 22 田尻浜のベンチ
お年寄りが海を眺めていそうなベンチというかソファが並んでいる。日高漁港という標識はあるが、漁船はない。使われていないボートがあるだけなので、すでに漁港としては機能していないようだ。
23 田尻浜 24 日高漁港
地図では田尻浜から海岸沿いに破線の道が描かれているが、実際には廃道になっているようで歩けなかった。再び、内陸部の丘を行く。
25 田尻浜から南を望む 26 クローバーと海
住宅街のようなリゾートのような海岸線の道を歩く。地図で高磯と書かれた眺めのよさそうな岬に神社のマークがあったので、そこで休憩しよう。
27 海岸の黄色いアクセント 28 塩釜神社鳥居
と思ったら、神社は木に覆われていた。おまけに神社そのものは写真29のような小さなもので、眺めの良い休憩場所というわけではなかった。
29 塩釜神社 30 失われた海岸
休憩するなら、こちらの公園のほうが良いだろう。
31 南静公園 32 小木津浜へ
海岸の道がいい感じで続いていたので、小木津浜も美しい砂浜だろう、と期待したが、残念ながらすでに「浜」ではなくなっていた。コンクリート護岸の元「浜」である。ここには墓地があり、その殺風景さがより増しているような残念な光景である。
33 小木津浜 34 小木津浜共同墓地
35 東連津橋から東連津川河口を望む 36 断崖から見下ろす
37 折笠海岸へ 38 折笠海岸 その1
折笠海岸は白い砂浜だった。釣り人が数人いる。
39 折笠海岸 その2 40 海へ続くトンネル
トンネルのある小さな川を渡ると川尻漁港である。
41 川尻漁協 42 川尻漁港
港を越えると、明るく広々とした砂浜が広がる川尻海岸だ。夏は海水浴場である。
43 川尻海岸 その1
海岸を見ながら休憩する。断崖絶壁の岬には白い灯台が見えた。
44 川尻海岸 その2 45 川尻十文字バス停
休憩を終えて、歩き始めようと立ち上がるが、腰が重い。ギックリ腰の予後は、まだ完全ではないようだ。リハビリ中で無理をすることもないので、このままバスに乗って日立駅まで戻ることにする。川尻町は結構大きな街なので、どこかにバス停があるだろうと探すが見当たらない。自転車に乗った中学生に聞くが、地元ではないのでわからない、と言われた。うろうろしていると、先ほどの中学生が戻ってきて、バス停がありました、とわざわざ教えてくれた。親切な男の子である。お礼を言ってバス停に行く。
時刻表をみると、一日数本、今の時間帯だと夕方までバスが来ない。がっかりして、もう一度よく見ると、間違えて平日ダイヤを見ていた。今日は土曜日である。隣の時刻表を見ると、なんと平日以外は、バスは来ないのであった。いままでかなりあちこちのバスに乗ってきたが、これは初めてである。人が沢山住んでいるのに、休日はバスが来ない、この事実は衝撃的だ。打ちのめされて、しばらくバス停の横でへたり込んでしまった。腰が悪いのに、さらに腰が抜けた感じである。
バス停にはタクシー会社の電話番号が書いてあった。
まあ、タクシーはいつでも呼べるので、とりあえず歩き始める。橋から美しい小川が見えたので、写真を撮った。
46 美しい小川 47 蚕養神社
地図によると、ここには、海岸線沿いに破線があるので、長屋を抜けていくと、遊歩道に突き当たった。蚕養神社から続いているようだ。
48 海岸へ 49 海岸遊歩道
50 小貝浜解説板
解説板と碑があり、木々の隙間からみる川尻海岸は、さすがに茨城100景である。このあたりの海岸が赤いのは、なんと貝殻のせいだというのは驚きだ。
51 茨城百景川尻海岸の碑 52 川尻海岸を見下ろす
ジャングルのような森を灯台目指して進んでいく。途中で、浪切不動尊という表示があったので寄ってみた。この正面は、写真54のとおり断崖絶壁になっている。
53 浪切不動尊 54 浪切不動尊の崖
森の一角に灯台が見えた。たいてい、灯台の周囲は開けていて、見晴らしが良いのであるが、ここは、車道もなく、木々に囲まれたひっそりとした一角に、灯台が静かに佇んでいる。
55 川尻灯台 その1 56 川尻灯台 その2
57 小貝浜 その1
12時50分、小貝浜に着いた。静かで明るい海辺の集落である。
58 アーチ橋を渡る 59 小貝浜集落
60 小貝浜緑地案内図
61 海鵜渡来地解説板
地図にある海鵜渡来地へ行く歩道は、残念ながら、がけ崩れのために通行止めになっていた。地震の影響だろうか。
62 海鵜渡来地への道 63 小貝浜 その2
内陸部の住宅地の丘を登っていく。海岸に出られるかもしれないと思い、右折して畑の中を行く。畑を歩くおじさんに伊師浜海岸方面に抜けられるか聞くと、国民宿舎の横を通って抜けられるそうだ。お礼を言って、森の中へ入っていく。
64 小貝浜団地 65 畑から海岸へ
歩道の先には、大きな建物と美しい海岸に面したテラスがあった。碁石浦である。
66 愛と絆の鐘 67 碁石浦
国民宿舎は想像するよりもずっと大きく豪華であった。観光客が散策している。
68 国民宿舎鵜の岬 その1 69 津波到達点解説板
碁石浦では、なんと津波到達点が表示されていた。建物の直前、階段の上まで津波は来たようだ。あと2m高かったら被害が出ただろう。
70 津波到達点 71 国民宿舎鵜の岬 その2
72 鵜の岬付近案内図
73 伊師浜付近案内図
国民宿舎は高台にあるので、伊師浜が見下ろせる。ここの砂は赤みが少なく、白に近い色である。沖合のテトラポッドにより、弧を描く造形は失われて、凸凹になっているが、それでも十分美しい砂浜である。
74 国民宿舎から伊師浜を望む
75 伊師浜から国民宿舎を振り返る 76 伊師浜 その1
どこまでも続く白い砂浜に佇む小さな女の子は、何を思うのか。
77 伊師浜 その2
78 伊師浜 その3 79 伊師浜 その4
80 海岸植物 81 伊師浜 その5
伊師浜は途中からコンクリート護岸になってしまった。
82 伊師浜 その6 83 小石川河口
砂浜は小石川に突き当たる。水量が多く渡れないので、内陸の橋まで迂回する。
84 小石川護岸被害 85 小石川橋
対岸は下水処理場になっており、その先でふたたび海岸への道を行く。
86 伊師浄化センター 87 海岸へ
88 小貝浜方面を振り返る 89 いぶき山方面を望む
前方に小高い山が見える。多分あれがいぶき山だろうと近づいていくと、やはりそうであった。
90 いぶき山 91 イブキ
92 いぶき山イブキ樹叢解説板
93 いぶき山から高萩方面を望む 94 いぶき山を振り返る
いぶき山を過ぎると、長かった日立市の海岸に別れを告げ、高萩市に入る。さらに砂浜を北上すると、再び川があった。
95 花貫川河口 96 市営花貫住宅付近
川を渡って、住宅街を右折して海岸に復帰する。ここまで来ると、今日のゴールである高萩駅は近い。腰も何とか大丈夫だったようだ。
97 高浜海岸 その1 98 高浜海岸 その2
高萩駅の東に広がる有明海岸に入ってきた。さほど高くない堤防の内側は、低地に住宅が散在している。ここまで、いくつかの廃屋があったので、津波の被害があったのだろうか。ちょうど、おばあさんがいたので聞いてみた。以外なことに、津波は、この海岸堤防を越えなかったそうだ。海岸が直線的で、湾になっていなかったのが幸いしたらしい。よかったですね〜、といったら話しが止まらなくなった。沖にあるテトラの防波堤は市長が国に何度もお願いしてできたもので、そのおかげで高萩は津波の被害を免れたという。おばあさんそれはちょっと違うでしょ、と言いたかったが、話が無限ループに入ったので、お礼を言って、何とかお別れする。そのままお相手し続けると今日中に帰れなくなりそうだ。
それでも、砂浜には津波に流されたらしいボートが放置されていた。
99 有明海岸 その1 100 有明海岸 その2
101 津波浸水想定区域図
津波想定図は、現在地を知るのにちょうど良い。高萩駅へ向かう道が一目瞭然であった。
102 高萩駅へ 103 セクシーな鉄蓋
道端の妙にセクシーな排水口の蓋を見ながら駅に向かう。
広々とした駅の東側に着いたが、東口はないようだ。跨線橋があったので西側に向かう。
104 高萩駅東側 105 高萩駅西側へ
15時20分、可愛らしい駅舎の高萩駅に着いた。時間的にちょうど良い特急はなかったが、高萩発の普通列車が途中で特急に接続するらしいので乗り込んだ。女子高生が多い。
高萩は日立よりも小さな街だが、なんだか好感が持てる街並みである。調べてみると人口は3万人ほどで、日立市と比べるのは無理であるが、その分ローカルでのんびりしている。
106 高萩駅 107 高萩駅発水戸行き普通列車
日立駅で乗り換えたスーパーひたちは、東京に向けて鉄路をひた走る。
GPSによる本日の歩行経路 (時間:6h00m
距離:25.6km)
今日は、日立市北部の美しい海岸線を歩いた。写真のとおり、風光明媚なところで、久々の観光地といってもいいかもしれない。そして、ついに日立市から高萩市に入った。長かった茨城県の海岸も、残すところ高萩市と北茨城市だけになったのである。その先は、もう関東地方ではなく東北地方だ。
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