金目川探訪
丹沢山地を源流として、自然豊かな秦野市を流れ、平塚市と大磯町の境で相模湾へ
◆
中・下流編(2007年4月1日)
金目川橋(秦野市寺山)〜金目川河口(平塚市)
金目川の後半である。前回の探索は、丹沢から流れ出した金目川が市街地に出る前に雨で中断してしまった。今回は山里から秦野盆地にでた金目川が相模平野を潤し、湘南海岸に注ぐまでをレポートしたい。時季はちょうど桜の季節、金目川は、下流では花水川と呼ばれているほどの桜の名所でもある。
まず、秦野駅から寺山までバスに乗っていき、金目川の旅を再開した。
バス停を降りて、少し山側に戻る。金目川の崖の上にあるのが波多野城址である。過去何回かの発掘調査では居舘跡は出てこなかったようで、伝承とされているようだ。地形的にはそれらしい雰囲気はある。
1 寺山の波多野城址近くから丹沢を望む
2
波多野城址
3 丹沢を背景に城址に咲く桜
4 金目原橋から下流を望む 5 河川改修中の金目川
金目原橋から下っていくとやがて工事中の場所に出た。工事現場を強引に突破すると珍しくコンクリートに固められていない自然のままの川が現れた。写真6、7のとおり、川の浸食もみられるなかなかワイルドな川である。このあたりは両側が山で民家もなく、無粋な工事を免れたのだろう。しかし、工事の現況をみるとこの風景もやがてみられなくなるのかもしれない。
余談になるが、いままでいくつかの川をみてきたけれども、実はそのほとんどは生態系を無視した無惨なコンクリートの排水路と化している。丹沢の山奥でさえ、コンクリートの砂防ダムばかりである。治水の重要性は認めるとしても、全てをコンクリートで固める必要があるのだろうか。例えば、写真6のような両側が竹林の山で民家も耕地もない場所でその必要性をどう説明するのだろうか。
6 河川改修を免れている金目川の原風景 7 金目川の原風景 その2
8 川沿いの竹林 9 田原ふるさと公園遠景
10
秦野市落合付近 その1
11
秦野市落合付近 その2
この辺りでは金目川が丹沢の麓の丘陵地を浸食している。明確な道はなく、人もいないためちょっとした探検気分で、時に迂回しながら進む。夏であれば川の中を歩いた方が早いかもしれない。無機質なコンクリート護岸のほとんどない川は蛇行しつつ、自然本来の生き生きとした姿を見せている。
12 山を浸食する金目川 13 河畔の果樹園
14
竹林と護岸のない金目川
15 耕作放棄地の緑の絨毯
このワイルドな流れは、写真16の東田原から流れてくる沢との合流地点で終わる。道がないので、声をかけて私有地を通らせてもらう。ここから先は写真17のとおり、その私有地に至る道路がついている。
16 二ツ沢 合流地点 17 秦野市落合付近 その3
ここまで、ほとんど人に会わなかったが、落合橋で国道に出て急ににぎやかになる。秦野盆地に入ったのだ。
18 秦野市落合付近 その4 19
落合橋(国道246号線)
20 いりふね一本橋 21
秦野市入船町付近
22
下落合橋
23 入船橋
24 入船橋袂の石塔群 25
入船橋から下流を望む
末広小学校あたりでは河畔に見事な桜がみられる。
26
末広小学校付近の河畔の桜 その1
27 末広小学校付近の河畔の桜 その2
28 末広小学校付近の河畔の桜 その3 29 十代橋から上流、水源の丹沢を望む
30 天王下橋
31
天王下橋から上流、丹沢を望む
32 天王下橋から下流、弘法山を望む 33 秦野市曽野付近の桜並木 その1
34 秦野市曽野付近の桜並木 その2 35
弘法橋
36 弘法橋から下流を望む 37 加茂川 合流地点
このあたりは秦野盆地の出口にあたる。秦野盆地の水を集めた室川が合流して水量もだいぶ増えてきた。
38
室川橋
39 室川合流地点
40 中野橋 41
蓬莱橋
写真43には下水処理場の排水口が見える。この下水道により金目川の水もずいぶん綺麗になった。
42 秦才橋(県道平塚秦野線)遠景 43 小田急線、東名高速遠景
44 小田急線鉄橋と桜 45
中里橋
写真46は狭い秦野盆地の出口から、両岸の河岸段丘を望んだものである。氾濫原は農地になっている。
46 秦野市下大槻から両側の河岸段丘を望む 47 南平橋
48 欠ノ上人道橋から下流を望む 49 土屋橋から下流を望む
50 座禅川合流地点 51 平塚市南金目付近から大山を望む
52 金目川水道橋遠景 53 平塚市南金目付近の花畑 その1
54 野菜を洗う農家の御夫婦 55 平塚市南金目付近の花畑 その2
前河原橋は最近架け替えられたらしい。木の橋でなかなか風情がある。
56 前河原橋遠景 57 前河原橋
金目観音は桜の名所で川と桜と観音様が見事に調和した風景だ。
58 観音橋 59 金目観音堂
60 観音橋から前河原橋と桜並木を望む 61 金目観音堂と桜並木遠景
62 平塚市南金目付近の桜並木 63 平塚市南金目付近の河畔並木
64 吾妻橋 (県道相模原大磯線) 65 片岡橋(小田原厚木道路)
66 平塚市広川付近の河畔並木 67 飯島堰(金目川堰)
このあたりは広い農地が広がっている。歩いていても大変気持ちの良い河畔だ。田植え期は金目川の水は飯島堰で全部取水されてしまい、金目川に水が流れなくなるそうだ。
68 金旭中通学橋 69 平塚市入野付近の桜並木
70 平塚市入野付近の河畔の小径 71 水神橋
72 平塚市入野付近から大山を望む 73 新幹線橋梁
新幹線橋梁を過ぎると、田園から住宅地に変わる。
74 霞橋 75 平塚市長持付近の桜
金目川は農業用水の水源として重要であったが、昔から水害が頻発することでも有名だった。堤防が決壊したときに被害の拡大を防ぐため控え土手というものを作ったらしい。洪水を再び本流に戻すための堤防である。纏緑道は江戸時代からほぼそのままで残る大規模な控え土手だという説明板がある。写真76にみえる排水溝で洪水を金目川に戻したのである。
76 纏緑道(控え土手)その1 77 纏緑道(控え土手)その2
78 平塚市纏付近の桜 79 工事中の東雲橋
80 平塚市徳延付近から高麗山を望む 81 平塚市徳延付近
やがてこんもりと盛り上がった高麗山が見えてくる。このあたりは花水川と呼ばれるが桜並木が最もすばらしいところである。この日もたくさんの人が川沿いの道を歩いていた。川と山と桜の3要素が揃った景色が見事である。
82 平塚大橋 83 山下サイクリング橋からみる桜並木
84 河内川沿いの桜並木 その1 85 河内川沿いの桜並木 その2
86 河内川沿いの桜並木 その3 87 河内川沿いの桜並木 その4
88 河内川沿いの桜並木 その5
89 高麗大橋 90 川の中州(島)に残された柳
桜並木を過ぎると川はいよいよ東海道を横切る。
91 花水橋(国道1号線) 92 東海道線橋梁
小桜川は花水川が以前に蛇行していた名残である。江戸時代に直線的に改修されたらしい。
93 小桜川水門 94 花水川橋(国道134号線)遠景
高麗山を仰ぎながら、いよいよ河口に近づいてきた。花水川橋(国道134号線)をこえると目の前に海と砂丘が広がる。
95 平塚市唐ヶ原から上流の下花水橋と高麗山を望む 96 花水川橋(国道134号線)近景
97 金目川(花水川)河口と相模湾 98 河口から花水川橋を望む
丹沢の山奥からついに相模湾までたどり着いた。金目川は上流を除けば、河畔に道がついており、とても歩きやすい。自然もまだまだ豊かで美しい川である。特に今回はちょうど桜の時季にあたり、十分に堪能できた。花と自然、そして雄大な景色は他ではみられないすばらしいものがあり、皆さんにも是非訪れていただきたい川である。
◆
水源地・上流編(2007年3月24日)水源(秦野市蓑毛)〜金目川橋(秦野市東田原)
ご意見・ご感想はこちらまで