柏 尾 川 (かしおがわ) 探 訪

 横浜市西部の丘陵地帯の水を集めて東海道線と並走し、戸塚・大船駅の横を流れて、藤沢市で境川と合流する
第2日目(2012年3月3日)
    戸塚駅
(横浜市戸塚区) 〜 源流(横浜市港南区) 

 前回、境川との合流地点から、戸塚駅まで遡上した柏尾川であるが、今日はその続きである。世間的にはひな祭りであるが、年中無休の放浪がポリシーであるこのサイト的には関係ない。しかし、小さな女の子がいる父親がこれをやったら、家庭が崩壊するおそれがあるのでオススメはしない。どちらにしても、青空が広っており、これだけは万人に平等だ。


  1 戸塚駅内鉄橋                 
  2 戸塚駅ホームから下流を望む
   

 戸塚駅のホーム、藤沢よりは、緑の鉄橋の上に作られている。その下を流れているのが、柏尾川である。



  3 戸塚駅東口                    4 吉倉橋から上流を望む
   

 戸塚駅の東口を出ると目の前が吉倉橋だ。東海道本線と柏尾川はX字を描いて交差しているが、その交点が吉倉橋から見える戸塚駅である。

  5 吉倉橋から下流を望む               6 
駒立橋
   



  7 駒立橋から下流を望む
   

 柏尾川左岸を北へ向かう。

 8 ミズキンバイ保存の標識


  9 吉田大橋
   

 吉田大橋をすぎると道が細くなる。

 10 親水公園


 団地やマンションが立ち並ぶ住宅街の中を流れていく。冬の芝生が目に優しい。

  11 マンション横の河畔道              12 プロムナード矢部
   



 周囲が住宅街から工業地帯に変わってきた。柏尾橋は、なんと一般人は通行不可で、まるでブリジストンの工場の中を柏尾川が流れている感じである。

  13 元町橋                     14 柏尾橋
   

  15 舞岡川合流地点                 16 右岸ブリジストン行き止り地点
   

 本当にブリジストンの工場内となり、行き止りになってしまったので、仕方なく左折して工業地帯特有の雰囲気が暗い歩道橋を渡る。柏尾川の先には鉄橋が見える。東海道本線だろう。

  17 上矢部人道橋                   
18 戸塚跨線橋と東海道線
   

 右岸側にわたり、道路沿いに上流へ向かうと、川が左右から合流しているのがを見えた。

  19 阿久和川・平戸永谷川合流地点          
20 合流地点を上流側から見る
   

 阿久和川と平戸永谷川の合流地点である。親水施設があり、孤独な少年が鳩に餌をやっていた。
 さて、下図により前回判明したとおり、公式にはここまでが柏尾川である。



 この図によると、やはり平戸永谷川が一番本流っぽいようだ。なにしろ、柏尾川の本流は決まっていないのだから、自分で決めるしかない。いや、独断で決めても構わないわけだからありがたいことである。なぜ、平戸永谷川を本流に決めたかというと、大した理由はないが、名前が気に入った。阿久和川という名前よりなんとなく品があるではないか。
 ちなみに少年が鳩に餌をやっているのは、合流地点の平戸永谷川側である。

  21 少年と鳩                    22 富士橋
   



 という訳で、東に針路をとり、平戸永谷川を遡る。まだ、東海道本線が並行していた。

  23 対岸を走る東海道本線              24 川鵜
 
  

 電車から見える紀文の工場はこんな所にあったのか。

  25 紀文食品横浜工場                26 赤関橋から上流を望む
 
  

 赤関橋に着いた。平戸永谷川と国道1号線は暗渠で交差している。

  27 赤関橋から下流を望む              28 上柏尾町付近の緑道
   

 左岸側の気持ちのよい緑道を歩く。

  29 海道橋付近                   30 上外郷橋
   



 左岸は、遊水池で行き止りになるので、上外郷橋で右岸に渡り、環状2号線まで歩く。

 
 31 上外郷橋から上流を望む             32 平戸永谷川遊水池
   

 下永谷1号橋、つまり平戸永谷川は、区境になっており、ここから港南区になる。

  33 下永谷1号橋と環状2号線高架橋         34 戸塚区・港南区境界
   

 ここは、また、芹谷川との合流地点でもある。平戸永谷川プロムナードであると青い標識が宣言していた。

  
35平戸永谷川・芹谷川合流地点            36 平戸永谷川プロムナード標識
   

 プロムナードというだけあって、花壇があったりして、散歩に丁度よい感じである。水量はかなり少なくなってきたようだ。

  37 永谷橋から上流を望む              38 河畔の花壇
   

  39 旧河川合流地点                 40 猫橋から上流を望む
   



 流路は直線的で明らかに改修されたものだが、右岸側がやや高くなっており、緑が多い。

  41 中川橋から上流を望む              42 殿山橋から上流を望む
   

 43 平戸永谷川プロムナード案内図


 平戸永谷川プロムナードの案内図があった。殿山橋から環状2号線までが、プロムナードの真骨頂らしい。

  44 神明橋から上流を望む              45 松神橋から上流を望む
   

 ちょっと自然ぽくなっているのが、プロムナードたる所以だろう。子供が遊ぶには丁度よい感じである

  46 
下永谷の親水施設 その1            47 親水施設 その2
   



  48 旧河川                   
  49 水田橋から上流を望む
   
 旧河川流路も残っている。     

  50 張り出したベランダ               51 旧河川
   

 写真50の民家のベランダは河川敷にはみ出しているように見える。もしそうならば、やったもん勝ちになるので早めに対処すべきだろう。
 旧流路とともに柳橋で環状2号線に突き当たる。

 
 52 柳橋                      53 柳橋から上流を望む
   

 柳橋の暗渠で道路の下に潜った川は、環状2号線の中央分離帯を流れるようになり、河畔を歩くことはできない。

  54 上流側から柳橋を見る              55 永谷天満宮陸橋
   



 写真56のように、プロムナードから一転して、川には誰も近づけなくなる。天満宮を過ぎると上永谷駅前、そして馬洗橋に着く。

  56 陸橋上から上流を望む              57 馬洗橋から上流を望む
   

 58 馬洗橋案内図


 馬洗橋には陶器の解説板があった。それによるとここから上流は馬洗川という名前になるらしい。平戸永谷川と馬洗川の関係はよくわからないが、単に平戸永谷川の上流のようにも思える。馬洗川の水は写真のとおりお世辞にも綺麗とはいえず、これでは馬のほうが嫌がるだろう。

  59 馬洗橋解説板                  60 上流側から馬洗橋暗渠を望む
  

  61 港南図書館付近                 62 永野新橋から上流を望む
   

 水の汚れをものともせず、馬洗川せせらぎ緑道という名前がついている。開発前は本当にせせらぎだっただろう。いまはそれを想像しながら緑道を歩く。

  63 段差         
             64 馬洗川せせらぎ緑道 その1
   



  65 馬洗川せせらぎ緑道 その2           66 馬洗川せせらぎ緑道 その3

   

 右岸側は高いコンクリートの壁になっている。ここからは見えないが、地下鉄の車庫があるらしい。

  67 湧水                      68
 馬洗川せせらぎ緑道 その4
   

 それでも、写真67のように地下水が少しではあるが流入しているようだ。

  69 馬洗川せせらぎ緑道 その5           70 バナナ?
   

 コンクリートの壁がおわると、今度は石組みの庭園風の川になる。水質といい、石とコンクリートに固められた河床といい、魚や水生生物が住む余地はあまりなさそうである。

  71 馬洗川せせらぎ緑道 その6           72 馬洗川せせらぎ緑道 その7
   



 左岸側が斜面になり、緑が復活した。左岸側に流入する流れがある。

  73 馬洗川せせらぎ緑道 その8           74 馬洗川せせらぎ緑道 その9
   

 小さな橋があるので渡ってみると、写真75のように、湧水があった....が、なんとなく不自然である。後背の丘はそれほど高くないのに、湧水の勢いが強すぎる。ちょっとあやしい。その下にも湧水口があったので覗いてみると、空気が入ってぼこぼこと音がしている。自然の湧水であれば、静かにしんしんと湧いているはずである。手を入れてみたが、冬なので水温ではわからない。

  75 馬洗川せせらぎ緑道 その10          76 湧水?
   

 通りがかった地元の人に聞いてみると、「ああ、これは上の方から引いているんだよ。」と、あっけなく答えてくれた。しかし、本当の水源が何かは知らないようだった。とにかく、騙されてはいけないのだ。

  77 馬洗川せせらぎ緑道 その11          78 ひまわり歩道橋から下流を望む
   



 やがて川の流れは消えて、大きな荒地のような場所に出る。向こう側には大きな建物がある。現在は使われていないようで、明らかに荒れている。旧野庭高校である。看板によるとここは雨水調整池があるようなので、ここに溜まった水を先程の偽湧水池に流しているのかもしれない。

  79 雨水調整池解説板                80 旧野庭高校
  

  81 神奈川県警察野庭分庁舎             82 新政所橋から上流を望む
   

 警察庁舎を過ぎると、再び馬洗川が姿を現した。谷戸の風景がまだ残っているのんびりしたところをコンクリートに固められて惨めな姿になった馬洗川源流が細々と流れている。

  83 名称不詳橋から上流を望む            84 谷戸の風景
   



  85 野庭神社                    86 前田橋から上流を望む
   

 古そうな神社や農家が残っており、ここだけが開発から取り残され、昔の面影を残しているようだ。横浜の原風景である。

  87 野庭町付近の細流                88 農家?
   

 左岸の道は細くなり、やや高台に登る。ここからは写真89のように下を蛇行して流れる馬洗川、すなわち柏尾川源流がよく見える。源流は谷戸の北側の淵に沿って流れた後、写真90の地点に至る。

  89 蛇行する源流                  90 源流の突き当り
   



 下に降りて源流を確認すると、写真92のように、谷戸の最深部で暗渠になっていた。その上は、区画整理された住宅地になっている。本来はこの谷戸の奥の湧水が源流だったのだろうが、現在はその谷戸の上が開発されてしまい、住宅地の雨水管が水源となっているようだ。しかし、谷戸の中は住宅開発から免れ、源流域の地形がかろうじて原型をとどめていた。
 開発前は、多摩丘陵によく見られる典型的な谷戸の源流だったことが容易に想像できる。

 平成24年3月3日15時10分、柏尾川の始まりを確認し、無事今日の目的を果たすことが出来た。

  91 源流暗渠を上から見る              92 源流暗渠
   

 谷戸を埋め、丘を削って作られたどこまでも続く住宅地を抜けて、港南台駅に着いた。

  93 源流上の日野南住宅地              94 港南台駅前
   

 GPSによる本日の歩行経路 (時間:3h33m 距離:17.1km)


 多摩丘陵から三浦半島に続く丘陵の中にある、野庭の谷戸を源流とする馬洗川の流れは、馬洗橋で左に折れ、平戸永谷川と名前を変えて戸塚の谷に流れ込み、阿久和川と合流して柏尾川となることを、この目で確かめることが出来た。昭和40年代に周囲が急速に開発されたため、清流は失われ、コンクリートで固められている。都会でも田舎でもない典型的な横浜郊外の川の姿だ。もはや、原型を留めないほど改変されているが、所々に残る昔の姿を元に、横浜の原風景を想像しながら歩いてみるとなかなか楽しい。

 
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