神奈川県一周              
      記念すべき第一歩 湘南海岸を東へ    
第1日目(2006年3月25日)湘南ひらつかビーチパーク平塚駅)〜 江ノ島(小田急江ノ島駅)

 

 JR平塚駅の南口に降りると、このように駅前のロータリーの向こうに一直線の道路が続いている。実はこの道は私のお気に入りの一つである。ちなみに、「なぎさプロムナード」といういまいちセンスのない役所的なネーミングが付けられてはいるが.....。
 この道路、まるで私の心のようにとにかく広くてまっすぐである。邪魔な電線もなく、空も歩道もあきれるほど伸び伸びしているのだ。

 1 平塚駅南口から南を望む             2 海岸へ続く道路 
   



 途中にはおしゃれなお店や教会があったりする。

 3 道沿いのショップ      4 教会             5 海岸から平塚駅への直線道路
 

 さて、迷いようのないこの道を15分ほど歩くと、左側に湘南海岸公園があり、車の場合はここの駐車場が利用できる。ここの市営プールには子供の頃良く通った。息を吸い込むと苦しいほど泳ぎ疲れて、駅まで歩いたものである。
 この後、夏場の渋滞と暴走族で有名な国道134号線を歩道橋で越える。歩道橋の上から見た景色は写真5のとおりで、気持ちのよいほど真北への直線で平塚駅に突き当たっている。
 防砂林をぬけて海岸に出るとそこが湘南ひらつかビーチパークだ。

 6 ビーチパーク                 7 平塚海岸から東を望む
   

 湘南ひらつかビーチパークは、1991年に誕生した。海水浴場、ボードウォーク、売店、トイレ、シャワーがあり、平塚市民の憩いの場になっている。ご覧のとおりビーチバレーコートで若者が楽しそうにボールを追っている。
 海水浴場の開設は平塚市の長年の悲願だった。昭和初期には平塚海岸に海水浴場があったらしいが、現在の平塚海岸は海が急に深くなっていて海水浴には適さずその後廃止されたらしい。そのため、湘南地方で唯一海水浴場がなく肩身が狭かったのだが、県がテトラポッドや砂を入れてたりして許可を得たらしい。
 湘南ひらつかビーチパークから西を望むと写真8のような感じで、富士山、箱根がみえる絵葉書の図柄となるはずだが、今日はかすんでいて無理なようだ。無事に一周できればいつか向こう側からここにたどり着くはずであるが、いつになることやら。
 しかし、とにもかくにも記念すべき第1歩として、湘南ひらつかビーチパークから東へ向かって砂浜を歩き出した。時は、2006年3月25日 10時40分。先に見えるのは、平塚新港の防波堤だ。

 8 平塚海岸から西を望む               9 平塚新港
   

 10分ほどで平塚新港に到着する。この港は、相模川の下流にある平塚漁港の代替として作られたらしいが、ごらんのように係留されている船はほとんどなく寂しいものである。貴重な砂浜の環境を破壊し、多額の税金を注いで建設されたものだと思うが、何か利用しにくい理由があるのだろうか。
 このあたりをふくめて湘南海岸の砂は色が黒っぽく、初めて見た人は砂が汚れていると勘違いするらしい。もちろん地質的な理由であるはずだが、残念ながら私にはその知識の持ち合わせがない。
ちなみに、高校生が調査したものがあったので参考に挙げておく。 湘南海岸の砂の構成粒子
 平塚新港をこえると、相模川河口である。相模川は下流では馬入川といい、源頼朝が馬から落ちたことからこの名前が付いたといわれている。相模川は、神奈川県の中央部を流れる県下最大の河川であり、最大の水源でもある。重要であるが故に、いくつものダムがあり途中で水道や農業用水として大量に取水されることでも有名である。河口部は海岸から湘南大橋に登り横断する。



 10 湘南大橋                  11 茅ヶ崎市境界
   

 川をわたると茅ヶ崎市である。ゴルフ練習場の脇から、海岸にでる道をたどる。
 左にあるのが巨大な相模川左岸下水処理場である。ちなみに奥のコンビナートのような施設は汚泥の焼却施設らしい。河口の左岸であるこちら側には、小さな干潟があり、鳥たちの楽園になっている。

 12 相模川左岸下水処理場            13 河口から湘南平を望む
   

 海岸には下水処理場の2本の放流水路があり、ものすごい勢いで直接海に流れ込んでいる。おそらく100万人以上の処理をしているはずなのでそれも当然である。
 このあたりは、サーフポイントの一つでこの日ももちろんサーファーがいた。まるで、下水処理水の中に浸かっているようなものだ。この先は、砂浜ではなく人工の護岸が続く。このあたりを柳島というが、湘南海岸の中でも最も海岸の浸食が激しい場所で、工事が続けられている。

 14 下水放流口                 15 砂浜工事
   



 ここから砂浜を歩くことにする。かなり浸食が進んでおり、右側はかなりの急斜面である。正面には茅ヶ崎漁港の防波堤がみえる。20分ほど歩くと休憩にちょうどよい広場がある。
 ここで、ボーイスカウトの少年たちとすれ違う。柳島のキャンプ場までいくのだろうか。実は私も子供の頃ボーイスカウトに入っていたので、あの制服にはノスタルジーを感じる。

 16 サザンビーチ茅ヶ崎             17 ボーイスカウト
   

 ここはサザンビーチと名付けられている。安易なネーミングだがわかりやすい事は確かだ。正面には、桑田佳祐も歌った烏帽子岩が見える。酔っぱらって日本中のおじさんが夜な夜なカラオケで歌っている「えーぼーしー いわがとおくにみえるぅー」の歌詞そのままの景色である。烏帽子岩といえば加山雄三が子供の頃に手作りの筏だかボートだかで渡ったそうだ。戦後は米軍の砲撃訓練の標的にされたという悲しい過去もあるらしい。

 18 烏帽子岩                  19 海岸のコンビニ
   

 この海岸のすぐ上にコンビニがあり、飲み物や食べ物の補給基地としてよく利用させてもらっている。
ちなみに今日のランチは380円ののり弁当であるが、海岸を眺めながら食べれば日頃の貧乏暮らしなど苦にならないくらい気分爽快である。
 柳島から鵠沼まではサイクリング道路があり、歩きやすい。休日ともなれば、犬連れ、ジョギング、サーファー、散歩、バーベキュー、カップル、原チャリ暴走族と様々な人種で大にぎわいである。おそらく日本一メジャーな海岸サイクリング道路であろう。



 20 ボードウォークとサイクリング道路      21 ヘッドランド
   

 しばらく歩くとヘッドランドである。砂浜の浸食対策で作られたらしく、市民の憩いの場所であるが、見た目の穏やかさと裏腹に、強い潮流のため海にはいるのは大変危険で、確か犠牲者もでているはずである。

 22 ヘッドランド掲示板             23 下水処理場排水口
   



 ここまでくると、江ノ島もかなり近い。 ここで大きな水路に突き当たり大量の水が流れているが、おそらく辻堂の下水処理場の放流水だろう。それにしても柳島といい、此処といい人間はずいぶんたくさんの水を使っているものである。相模川や境川へ放流している処理場も多いので、もしかすると自然の河川水よりも下水処理水の方が相模湾への流入量は多いかもしれない。もちろん、未処理の水よりもずっとましだが..。この放流渠の上の細いコンクリート橋をおそるおそるわたる自分の足を撮ってみた。落ちても死ぬことはないが、やはり下水処理水の中に落ちたくはない。

 24 排水口を渡る                25 辻堂海浜公園入り口
   

 ここで辻堂海浜公園に寄り道をしてみることにした。南国ムードあふれる海から公園へのアプローチである。
 ちなみに此処は人工の丘になっており、下を国道がトンネルで抜けているという何とも贅沢な作りになっている。人工の丘を下ると広々とした公園で交通公園やプールもあり、小さな子供を遊ばせるのにもってこいである。しばし休憩の後、また砂浜に戻るとひからびた小さなヒトデを見つけた。

 26 辻堂海浜公園                27 貝とヒトデ
   

 さらに歩くとやがてサイクリングロードも終わり引地川である。ちょっと前にある企業の廃水が原因でダイオキシン汚染騒ぎがあった川であるが、もちろんみただけでは平和な湘南の風景である。

 28 江ノ島を望む                29 引地川河口
   



 川を渡ると、境川河口まで、134号線とビーチの間に湘南海岸公園という大きな公園がある。マリンスポーツの拠点となっているサーフビレッジや新江ノ島水族館、ビーチバレーコートがあり、古くから東洋のマイアミビーチといわれている。しかし、残念ながら私は本当のマイアミには行ったことがないので、はたしてこの古くさいキャッチコピーが的を射ているかどうか判断がつきかねるのが寂しい。

 30 湘南海岸公園                 31 江ノ島水族館裏
   

 ビーチには写真33のようなおしゃれなレストランもあるのでまあ、湘南海岸の代表的なポイントであることは間違いない。

 32 江ノ島                   33 ビーチのレストラン
   

 境川の河口は漁港にもなっており、江ノ島への橋の袂の屋台で観光客がサザエの壺焼きを食べているのが、私の子供の頃からの変わらぬ風景である。 ここからは遊覧船もでている。

 34 境川河口                 35 江ノ島大橋の屋台
   

 橋を渡っていよいよ江ノ島の島内に入る。江ノ島は皆さんよくご存じの通り、江戸時代からのメジャーな観光地であるが、地元の人はお遠くから客さんが来たときくらいしか行かない。江ノ島神社の鳥居をくぐるとどこにでもありそうな土産物屋が続く風景である。
 江ノ島は上部が台地状になっており、階段を上るのがいやな人のためにエスカーという有料のエスカレーターがついている。ちなみに私が知る限りでは、日本広しといえども、お金を払ってのるエスカレーターは此処しか知らない。しかし、今日は島内を一周するのが目的(神奈川県を一周するのだから当たり前である。)なのでエスカーには乗らず、土産物屋のならぶ参道を右にそれて坂道を上る。突き当たりを右折すると、江ノ島神社である。



 36 観光船                   37 江ノ島弁財天への道
   

 江ノ島神社は結構歴史があるらしいが、説明文をカメラに納めるのを忘れたため、由緒について興味があれば各自で調べてほしい(無責任な筆者である)。さらに行くとやがて下りになり島の裏側にでる。
 ここには江ノ島弁財天があり、歩道が整備されている。以前にみたがどんなものかは全く記憶にない。有料だが興味のある人はのぞいてみてほしい。残念ながら裏の岩場からは島内一周できないので、元来た道を引き返すと、やがて江ノ島植物園である。ここの展望台は灯台も兼ねているらしいが興味のある人はのぞいてみてほしい(三度、無責任な筆者である)。

 38 江ノ島南側の海岸              39 江ノ島神社
   

 そのまま今度は島の東部に回り込んでみると、眼下に埋め立て地に作られたかながわ女性センターと東京オリンピックの時に作られたヨットハーバーがひろがっている。ちなみにこのヨットハーバーにはもちろん空きはなく、ヨットを置くのに100年くらい順番を待ちそうだ。(そのころにはもう死んでいるが..)

 40 島の頂上から見るヨットハーバーと七里ヶ浜 

 橋の袂、土産物屋街に帰ってくると、静岡県あたりで作られたあじの干物だとも知らずにおみやげを買う家族連れ、江ノ島でもモナコでも関係ない二人だけの世界に浸っていれば幸せなカップル、そして日本人の女の子をねらうあやしいサングラスの外人といった様々な人たちが人生のひとときを過ごしているのを目の当たりにする(もちろん全部フィクションです)。

 41 ヨットハーバーへの道            42 土産物屋
   

 橋をわたり本土に戻るとそこは竜宮城、ではなく今日の終着である小田急江ノ島駅である。

 43 小田急線江ノ島駅
  


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