玉 川 上 水 探 訪
羽村堰で多摩川から取水し、四谷まで水を供給するために江戸時代に作られた上水道の水路で、現在でも都民の水道水源として利用されている
◆第2日目 (2009年12月13日)
玉川上水駅
(東京都立川市・東大和市)〜
鷹の橋
(東京都小平市)
玉川上水の2日目である。前回は、取水口のある羽村堰から出発して、下流へと河畔をたどってきた。今回はその名もズバリそのまま、玉川上水駅からの出発である。この駅は西武線だが、神奈川県南部からは行きにくい場所にある。今日は、小田急線で多摩センターまで行き、そこから多摩モノレールに乗ってたどり着いた。
1 玉川上水駅 2 清願院橋から下流を望む
前回と比べて、木々の緑が減り、赤く色づく木が現れたことがわかる。
3 清願院橋から上流を望む 4 紅葉
すぐに、小平監視所に着いた。水道用水として多摩川から取水された水は、ここで玉川上水を離れて東村山浄水場に送られる。スクリーンでゴミを取り除いた後、写真6から地下の導水管に入ってしまうのだ。水道施設としての現役玉川上水はここまでである。
5 小平監視所 その1 6 小平監視所 その2
その先の玉川上水には水が流れていないはずだが、緑道を降りて行った先に、写真8のような滝がある。下からも水が湧き出してくる。ここからは、わざわざ下水処理水を濾過した水を流しているのである。
つまり、水路は一旦途切れて、水道用原水から下水処理水へと、全く正反対の水が流れていることになる。同じ玉川上水とは言いながら、両者には、水系としても、機能としても、連続性は皆無である。そもそも、下水処理水を流しているのであれば、玉川「上水」ではなく、玉川「下水」である。
とはいえ、水を流すことによって、この水路が潤いのある、言わばどこまでもづづく水と緑と散策路のある公園になったと考えれば、本来の実用性はないにしてもそれなりに存在意義があるのかもしれない。
水質は、清流復活事業と銘打っているだけあって、下水処理水独特の匂いや色はない。砂ろ過をしているらしいが、かなり効果はありそうである。しかし、他の大多数の下水処理水はそのような処理をせずに放流されているところをみると、やはりコストがかかるのであろう。
7 上水小橋へ向かう小径 8 下水処理水による新水源
下水処理水の湧水口には、魚が群れていた。
9 下水処理水湧水口 10 清流復活事業記念解説板
11 清流復活事業起点から下流を望む 12 小平市中島町付近
13 玉川上水清流復活事業解説板
小平監視所から先の玉川上水は、コンクリートブロックの護岸ではなく、土の露出した崖面になっている。しかし、今までの水路と違って、水の安全衛生面の問題がないため、高いフェンスがなくなり、緑道がより歩きやすくなったのは歓迎である。
こもれびの足湯という処ではお年寄りが開門を待っていた。高い煙突があったので、ごみ焼却場の余熱を利用しているようだ。
14 崖面 15 こもれびの足湯
16 西中島橋 17 西中島橋から上流を望む
18 西中島橋から下流を望む 19 欄干に置かれたパン
木製の小橋があったりして、なかなか良い雰囲気。ただし、空が曇りがちで暗いのが残念だ。写真19のパンは、おばあさんが鳥たちのためにおいたもので、さっそく1羽来てついばんでいた。
20 小川分水解説板
21 小川橋から上流を望む 22 東小川橋から上流を望む
23 東小川橋から下流を望む 24 くぬぎ橋から上流を望む
水量は多くないが、護岸は土むき出しでワイルドな感じだ。
25 くぬぎ橋から下流を望む 26 寺橋から上流を望む
27 寺橋から下流を望む 28 朝鮮大学校
12月だが、まだ美しい紅葉が残っている。このあたりは学校が多く学園都市といった雰囲気だ。
29 いこい橋から上流を望む 30 いこい橋から下流を望む
31 河畔の紅葉 32 栄光橋
33 すいしゃ橋 34 すいしゃ橋から上流を望む
35 新小川橋から下流を望む 36 用水沿いのカフェ
用水沿いに建つカフェを過ぎると、鷹の橋である。鷹の台駅に近いから鷹の橋という安易なネーミングである。
37 鷹の橋解説板 38 鷹の橋から上流を望む
39 鷹の橋から下流を望む
鷹の台駅に着いた。三鷹あたりまで頑張って行こうと考えていたが、寒々とした曇り空のためか、意欲がわかない。今日の天気予報は晴れのち曇ということだったので、それを信じて無理してきたが、天気予報は見事に外れ、太陽は顔を出さない。こんな日は無理をする必要もないだろうと、西武線に乗った。
今日は、現役の水道用水路としての玉川上水に別れを告げ、流れの蘇った公園としての玉川上水を歩いた一日であった。
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