玉 川 (たまがわ) 探 訪

 大山東山麓に端を発し、七沢を経て厚木市内を東へ横断し、相模川に注ぐ、数奇な運命をたどった川
第2日目(2013年3月16日) 金井橋 〜 源流 

 玉川は、それほど長くない川であるが、洪水と流路変更の謎に係ってすでに3日間を費やしてしまった。やっとその解明も終り、今日はいよいよ玉川の源流を目指そう。
 木製に見えるコンクリート製の橋の名はなぜか金井橋であるが、ここが今日の出発地点である。相模平野を遡ってきたが、ここからは山岳地帯、本来の自然流路が復活する上流域である。


  1 金井橋                      2 金井橋から下流を望む
   

 金井橋の上流は右手左岸側に丘陵が迫り、正面には大山東麓の山の姿が見える。源流域の山々である。流れは、写真のとおり清らかだ。

 3 金井橋から上流を望む




 4 玉川小学校付近

 玉川は小学校の横をかすめるように流れていく。学校の名前は、玉川小学校、そのものずばりである。

  5 澄んだ水                     6 奨学橋
   

 学校へ行く橋は奨学橋という名がついており、その橋の上流で写真8のように玉川と日向川が合流している。

  7 奨学橋から下流を望む               8 奨学橋から上流を望む
   

 水量は明らかに日向川のほうが多い。玉川本流の方はここから七沢川という名前になるらしい。七沢川と日向川は日向山のある尾根を挟んでいる。

  9 西川橋から下流を望む               10 西川橋から上流を望む
   



 川沿いの道が無くなったので、県道を歩く。いかにも補助金で建てました、というような無駄に立派な木材販促センターを過ぎ、県道を右折して大川橋に向かう。

  11 県産材あつぎ販売促進センター          12 巨大なオーディオ装置
   

 その途中に巨大なオーディオセットがあって仰天した。これを鳴らしたらすごい迫力だろう。実際は倉庫のようだが、やはり持ち主はオーディオマニアなのだろうか。

  13 大川橋から上流を望む
      

 14 七沢城址の概要


 七沢城という幻の城があったとは知らなかった。



  15 中沢橋から上流を望む              16 川沿いの小さな社
   

 中沢橋を渡るとすぐに左折し、県道に別れを告げる。残念ながら七沢の集落内を流れる七沢川はコンクリートの垂直護岸で、せっかくの山里の雰囲気を壊している。



 道は大山を目指してゆるやかに登っていく。写真はないが、ZUND-BARという奇妙な看板を見つけた。こんな山の中にBARがあるのだろうか。だいたい、車じゃなければ来られないので飲めないだろう。しかし、予想に反して駐車場は広く、店にはお客さんがたくさんいた。あとで調べてみると、有名なラーメン屋さんらしい。 残念ながらこのサイトは、食に関しては単なるエネルギー源としてしか見ていないので、取材対象外である。

  17 川久保橋から下流を望む             18 源流の山を望む
   

  19 七沢荘源泉                   20 里の春
   

 広沢寺に着いた。

  21 広沢寺入口                   22 七沢マイクロ水力発電所
   

  23 七沢マイクロ水力発電所解説           24 二の橋から上流を望む
  

 25 森林セラピーロードマップ


 駐車場、温泉旅館、養魚場などがあるが、いかにも野生動物が出てきそうな雰囲気になってきた。

  26 クマ出没注意書き                27 養魚場
   



  28 七沢の里山                   29 茶畑
   

 人家が途切れ、やっと丹沢山麓の山里らしい風景になってきた。

 30 里山を流れる玉川上流


  31 林道分岐                    32 無名の橋から上流を望む
   

 林道の分岐で、右の七沢川を確認した後、左の林道を登っていく。水量は、もう小さな沢である。



  33 ロッククライミング               34 大釜弁財天 その1
   

 ロッククライミングの練習岩壁を過ぎると、大釜弁財天に着いた。

  35 大釜弁財天 その2               36 大釜弁財天 その3
   

 この弁財天は、写真のとおり、まさに七沢川の流れの中にあった。写真36の奥に自然岩に囲まれた祠がある。その中は写真37であるが、なんとこの中に岩肌を伝って川の水が勢い良く流れ込んでいるのである。これはすごい。初めて見た。鎌倉の銭洗弁財天のように湧水が流れ込んでいるのはあるだろうが、これは沢そのものである。昔の人がこの空洞を見つけて、ここに神様がいると祭ったに違いない。大雨で流されないのもすごいことだ。

  37 大釜弁財天 その4               38 大釜弁財天 その5
   

 39 大釜弁財天 その6


  40 林道を奥へ                   41 日向薬師への登山道入口
   



  42 車両止                     43 弁天の森キャンプ場入口
   

 キャンプ場だ。とはいっても、現在は休止中らしい。ゴミ置き場は、写真のようにものすごく頑丈である。もちろん、クマ対策だろう。

  44 弁天の森キャンプ場ゴミ置き場           45 川へ降りる階段
   

 誰もいない忘れ去られたキャンプ場の広場の横を七沢川源流は流れている。そのまま飲めそうな感じだ。

  46 キャンプ場内の源流               47 キャンプ場から奥へ続く登山道
   



  48 緑の石 その1                 49 緑の石 その2
   

 キャンプ場を後にしてさらに上流に分け入っていく。川の中には礫岩の中に鮮やかな緑がある石が転がっていた。なんという岩石だろう。調べてみるとセラドン石というらしい。詳しくはここに書いてあるが、この綺麗な石はなんと昔、勾玉に使われたという。玉川の名もそこから来ているというのだから驚いた。なんとこんなところに玉川の由来があったとは...
 そして、七沢のこの石が、一人の少年を博物館の学芸員にしたというのだから、わからないものである。

  50 キャンプ場上の源流地帯へ            51 源流 その1
   

 登山道には「初心者の方はご遠慮ください」という注意看板が立っている。恐ろしい。

  52 登山道案内板                  53 源流 その2
   

 源流は所々で淵になって透明で清冽な水をたたえている。流れはだいぶ細くなってきた。

  54 源流 その3                  55 源流 その4
   



  56 ひょうたん広場分岐               57 源流 その5
   

 貯水タンクがあった。キャンプ場の水源施設だろう。

  58 水源                      59 五段の滝案内板
   

 60 五段の滝


 五段の滝に着いた。滝は北から流れ込む支流だが、写真60のように水はほとんど枯れていた。本流は、写真61のようにまだ続いているが、この先で登山道は急斜面を巻いており、沢から離れるようだ。しかも、「初心者お断り」の道である。玉川源流の旅はここまでとしよう。

  61 五段の滝付近の源流
        

 GPSによる本日の歩行経路




 玉川は歴史的にも地理的にも予想外に深いものを持った川だった。平野部を流れる相模川合流地点までの新玉川は、相模野の農村風景が残るのどかな川筋で散歩している人も多く、のんびり歩ける川である。七沢から上流は、大山東斜面の沢の一つで自然が残っている。旧玉川跡は、歴史的興味で歩いてみると発見があって面白い。小さな川であるが、三者三様の面を持つ実に興味深い川であった。

 
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特別編 ◆旧玉川(2013年2月11日)金井橋 〜 渋田川・笠張川合流地点

     ◆旧玉川追加調査(2013年3月16日)厚木市小野地区

 関連サイト ◆
相模川 第1日目(2007年9月16日) 相模川河口〜相模三川公園(海老名市上郷)

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