海岸線をどこまでも 本州一周(になるかもしれない旅) 千葉県房総半島外房を北上中 
◆第12+17日目(2008年11月30日)  安房天津駅 〜 勝浦駅


 前回の終着地である、安房天津駅からの帰り道は内房線経由で浜金谷駅、東京湾フェリー経由であったが、今日は、外房線経由で行くことにした。一応、内房線と外房線は、鴨川で分かれている。東京から電車で南房総方面に行く場合は、館山は内房線、安房鴨川は外房線の利用が一般的である。高速バスもある。
 神奈川県から安房天津まではどうだろうかと比較してみたが、結論からいうと、時間的には、東京経由で特急を使うのが一番早いようだ。
 というわけで、今日も早起きして、東京駅から「わかしお1号」に乗り込む。地下の京葉線ホームから出発なので乗り換えが大変だ。休日だが、時間が早いせいか、車内は写真2のように空いていて快適である。

 1 東京駅のわかしお1号             2 車内 
   

 乗客はゴルフ客が多いので、途中の大原までに、大半が降りてしまう。勝浦からは普通列車になるようだが、ほとんど乗ってくる客はいない。そして、快晴の安房天津駅に着く。本当に雰囲気がいい駅だ。前回夕日で撮った、例の中学校のドームを朝日でも撮影しておく。

 3 安房天津駅                  4 安房東中学校舎
   



 今日も海岸は、よそ者を優しく受け入れてくれた。浜では、地元の若者が集まって話をしている。防波堤を歩いていると通りがかりの中学生の男の子に挨拶された。このあたりでは、面識のない人にも挨拶するらしい。すばらしい土地ですばらしい教育をしていると思った。

 5 二夕間海岸 その1               6 二夕間海岸 その2
   

 漁港は、所々に漁師さんが集まっていて、こちらに好奇の視線を投げかけてくる。
 そんな中で、写真8のように、完全に公道にはみ出している漁船があった。赤い旗を掲げているから良いというものでもないと思うが、車は文句も言わずに反対車線に避けて通っている。さすがに漁師町である。

 7 天津漁港                    8 道路にはみ出した漁船
   

 9 漁港施設の傷んだ屋根             10 漁港の建物
   

 11 しらさぎ荘                 12 城崎海岸 その1
   



 13 神明川河口                14 別荘?
   

 15 海辺の公園                16 城崎海岸 その2
   

 白いホテルに椰子の木が似合っている。

 17 ホテルグリーンプラザ           18 ペンション?
   

 思わずバーベーキューをやりたくなるような海の見えるベンチがあった。

 19 海辺のベンチ                20 実入トンネル
   

 実入歩道トンネルは、別名トンネル水族館である。どんなものかは、写真を見ていただいた方が早い。

 21 実入歩道トンネル              22 トンネル内の絵
   

 23 トンネル水族館解説             24 寄浦漁港
   



 トンネルを抜けるとそこはもう内浦湾、すなわち鯛ノ浦で、早速解説板がある。ようするに、餌付けされた鯛と言うことらしい。

 25 鯛の浦解説板                26 内浦湾 その1
   

 安房小湊は、こぢんまりした海岸と、観光地らしい華やかさのある町である。観光案内所によって、少し休憩しながら情報収集をする。

 27 安房小湊観光案内所             28 城のような飲食店
   

 29 内浦湾 その2              30 鴨川ホテル三日月
   

 砂浜が終わると、やがて日蓮の名前が付いた橋や交差点を通り過ぎて、誕生寺に到着する。中は土産物屋が軒を連ねてにぎやかである。人も多く、典型的な歴史的観光地になっている。

 31 小湊漁港                  32 誕生寺入り口
   

 仁王門がもっとも古く、1706年の建立である。江戸時代だ。

 33 門前                    34 仁王門
   

 35 仁王門解説                 36 誕生寺解説
   

 37 誕生寺縁起


 38 鐘突堂                   39 日蓮の幼少像
   

 40 祖師堂                   41 境内
   

 42 仁王                    43 鯛ノ浦遊覧船
   

 ここから、鯛を見る遊覧船が出ている。ここの鯛は日蓮上人のおかげで神聖なものと崇められているらしい。回遊魚の鯛がなぜ浅い海に定住しているのかも謎だそうである。



 ここから、海沿いの遊歩道があり、大弁天、小弁天という島と五色砂が輝く蓮華ヶ渕という場所に行けるはずだが、残念ながら工事中で通行止めであった。行けないとなると余計見たくなるが、今日はあきらめるほかない。

 44 旧道内浦トンネル             45 トンネル出口
   

 この道は旧道で、誕生寺から上って写真44の峠のトンネルを抜けると写真47のごとく、断崖絶壁にへばりつくように続く道の向こうには、青い海が広がっている。

 46 旧道から入道ヶ崎を望む           47 断崖の中腹に作られた旧道
   

 48 おせんころがし方面を望む


 この道はすごい。絶景である。これだけの高さで歩ける海岸沿いの道というのは、房総半島、いや今まで歩いてきた神奈川県を含めても、初めてである。
 難点は、無理矢理開いた道らしく、路肩と落石が心配な点だが、一応車も通っているので大丈夫なのだろう。スリルというか、軽い恐怖感がクセになりそうだ。
 やがて正面崖下にこれも無理矢理作った漁港が見えてくる。大沢漁港だ。

 49 入道が崎を望む               50 大沢漁港
   



 漁港の先は道がないので、国道に出る。しかし、後で上の地図を見ると、「おせんころがし」まで点線の道が付いている。少し恐ろしいがいってみれば良かったと思う。
 さて、旧道は国道を横切り、山間をトンネルで貫通するので、当然旧道を選択する。トンネルの間には、思ったよりたくさんの家があった。

 51 旧道のトンネル               52 大沢の集落
   

 2つのトンネルを過ぎると、下に行川アイランド駅のホームが見えた。駅長のお薦めハイキングコースとして、今来た絶景断崖絶壁コースを経て安房小湊までの道が、看板に大きく書かれていた。
 駅の反対側には、広場のようなところがあるが、ここが「おせんころがし」の入り口らしい。ところで、「おせんころがし」とはなにか?実は予備知識なしでいったので、妙な名前が地図に載っているなと思いながら、とりあえず現地に行ってみたのである。未舗装の怪しげな道を進んでいくと、写真54の二股の分かれ道になり、左へ進む。 

 53 上から見た行川アイランド駅ホーム      54 おせんころがしへの分岐点
   

 やがて、供養塔のある小さな広場に突く。ここの解説板を見てはじめて「おせんころがし」の意味が分かった。「お仙(を)ころがし(た場所)」という意味らしい。その伝説は、いくつかある。市の公式ページは、「強欲非道な父親を改心させようと説得した。しかし、父親の心を改心させることは無理なことを悟り、この断崖から身を投げて、死をもって諫めた。」という説を採用しているが、異説もあるらしい。理由はともかく、お仙という娘がこの崖から落ちたという伝説は共通しているようだ。崖には現在転落防止の柵が儲けられている。恐る恐る撮った写真が56である。

 55 おせんの供養塔               56 おせんころがしの断崖
   

 何とも悲しい場所ではあるが、さらに衝撃的な事件がここで起こっていた。これは、昔話ではなく、過去の現実の出来事である。そんな、歴史を持つ「おせんころがし」は決して一人で行ってはいけない。特に夜は...

 57 断崖側から見たおせんころがしへの道     58 行川アイランド駅待合室
  
   

 行川アイランド駅に戻ると、綺麗なガラス張りの待合室があった。
 ところが、ゲートは荒廃している。ここで思い出した。行川アイランドは閉園したと報道されていたことを....

 59 行川アイランド駅ゲート跡          60 行川アイランド跡正面
   

 61 入場券売り場跡               62 場内へのトンネル
   

 強者どもが夢の後.....という感じである。結局、これまでの人生で有名なフラミンゴのダンスを生で見ることはなかった。しかし、インターネットに不可能はない。廃園後の様子を見ることが出来るところがあった。すばらしいとしかいいようがない。

 63 行川アイランド跡から上総興津方面へ続く国道 64 浜行川漁港
   



 もう滅多に見ることの出来なくなった、放し飼いの犬の出迎えを受けて、興津海浜公園に着いた。

 65 公園の入り口で出迎えの犬          66 興津港海浜公園 その1
   

 67 興津港海浜公園 その2           68 興津港海浜公園 その3
   

 興津海岸の砂と海の色はすばらしい。そして住んでいる人がうらやましい。

 69 興津海岸 その1              70 興津海岸 その2
   

 歴史がありそうな端正な旅館を後に、興津海岸をはなれて、トンネルをくぐる。

 71 興津館                   72 興津トンネル
   

 次は、守谷海岸である。このところ、ビーチ....トンネル...ビーチという繰り返しである。それぞれの海岸が独立していて、微妙に雰囲気が異なるのが興味深い。

 73 守谷海岸 その1              74 守谷海岸のカップル
   

 ここでは、外国人の男性と日本人の女性が仲良く海を見ていた。沖合には、鳥居がある小さな島がある。海岸から少し離れた空き地に、母と子の像がある。だれも注目していない場所でかわいそうな気がした。

 75 守谷海岸 その2             76 母と子の像
   



 なぜか、この一角には広大な空き地や屋敷が多い。

 77 跡地?                   78 豪邸
   

 そしてトンネルをくぐると、次は鵜原海岸である。海岸から西側の崖に不思議な二つの洞窟を発見した。これは行くしかないだろう。

 79 鵜原海岸にある2つの謎の洞窟        80 右側洞窟
   

 右側の大きな洞窟は、写真80のとおり、中に入れないが、何が入っているのだろうか。そして、左側の洞窟は、写真81のような、落ちそうな階段を上っていくことになる。そして行き着いた穴の中には、写真82のような神様が鎮座しているのであった。年を取ったらお参りできないような、デンジャラスな洞窟神社である。

 81 左側洞窟への階段              82 左側洞窟
   

 崖から落ちそうになりながら海岸を撮影したのが写真83である。

 83 鵜原海岸 その1              84 鵜原海岸 その2
   



 雲が低くたれ込めて、天気が怪しくなってきた。天気予報では、午後3時頃から曇ると言っていたが、時間までピッタリと当たっている。分かれ道があったが、理想郷ハイキングコースと書かれた道標があったので、左の道に入る。すぐに写真86のトンネルがあった。このトンネルは非常に狭くて、身をかがめないと通れない。

 85 鵜原海岸 その3              86 ハイキングコースのトンネル
   

 狭い素堀のトンネルをぬけると突然の漁港である。しかも三方を山に囲まれた、秘境の港である。漁師のおじさんの冷たい視線が突き刺さる。理想郷はどこなのだろうか。後ほど調べたところ、理想郷とはこの一帯を指すが、特にこの上に見所があるようだ。実際にたどり着かなかったので詳しくは、市のホームページでご覧いただきたい。

 87 勝場漁港からみる理想郷           88 勝場漁港
   

 結局、広い道路に出て、海中公園まで来てしまった。

 89 かわいい家                 90 海の博物館
   

 ここが、有名な海中公園である。が、諸都合により、外から眺めるだけとする。

 91 勝浦海中公園                92 海中展望塔
   



 理想郷にはたどり着かなかったが、写真93のようにもう一つの理想郷があった。

 93 民宿理想郷                 94 吉美漁港
   

 ひなびた漁港を過ぎると、砂子ノ浦である。もうこの海は勝浦湾である。さらに行くと、写真96のように大木の根っこの下にある不思議な神社に出会った。

 95 砂子ノ浦                 96 大木の下にある神社
   

 97 尾名浦の奇岩                98 尾名浦から勝浦湾を望む
   

 松部漁港を過ぎて国道に出る。

 99 松部漁港                 100 松部から勝浦駅方面を望む
   



 101 串浜漁港                 102 串浜海岸から勝浦湾を望む
   

 ここで、国道は大きく海に張り出している。歩道を歩いていると、ドーンと大きな音がする。波が岸壁に当たって砕ける音である。とんでもなく、ワイルドな歩道である。風の強い日は絶対に歩きたくない。

 103 串浜大橋歩道              104 串浜大橋
   

 105 勝浦海岸から海中公園方面を望む      106 勝浦駅前
   

 そして、勝浦駅に着いた。見慣れない列車が止まっている。イベント用の快速列車らしい。

 107 勝浦駅                  108 快速ぐるっとゆめ半島号
   

 これに乗って帰ろうと思って、駅員に聞くと露骨にいやな顔をされた。しかも、指定席でグリーン料金が必要なので特急より高くなると言う。後で調べてみると、指定席券は必要であるが、グリーン車ではなかった。こんないい加減なことを言うJR社員も珍しい。快速列車には鉄道オタク..いや、鉄道ファンがたくさん乗っていた。キャラクターとホームで記念撮影をしていて楽しそうである。

 109 キャラクターのお出迎え         110 特急わかしお22号
   

 その後の、わかしお22号で、東京に帰る。帰りの車窓から見た夕日が美しかった。

 111 大原〜上総一ノ宮間の車窓から見た夕日

 今日のおすすめは、なんと言っても旧道沿いの断崖絶壁の道だろう。おせんころがしにかけての荒々しい、しかも哀愁の漂う道はすばらしかった。悲劇の伝説が色を添えている。最後に房総半島の夕日を見ることが出来たのは幸運だった。
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