海岸線をどこまでも 本州一周 (になるかもしれない旅)  千葉県房総半島外房を北上中
◆第12+19日目(2009年1月2日)  浪花駅 〜 東浪見駅 


 横須賀・総武線東京地下駅で特急しおさいに乗り換える。銚子行きの特急は総武線ホームから発車するのだが、勘違いして京葉線のホームに行きかけ、あわてて戻って発車10秒前に車内に滑り込む。千葉駅で外房線に乗り換え、浪花駅で下車。2009年最初の旅は、ここ浪花駅から始まった。天気は快晴である。

 1 千葉駅の特急しおさい             2 浪花駅 
   



 海岸を目指す。

 3 崩れそうな蔵                 4 吉田登穀の碑
   

 5 碑の隣にある祠                 6 長谷堰
   

 その先には、ため池があった。房総半島を歩いてみるとあちこちにため池がある。大きな平野と川に恵まれなかった地域では必要だったのだろう。そして、いくつかのトンネルを抜けて、海に面した大舟谷の集落に近づいてくる。

 7 長谷堰のため池                 8 大舟谷の民家 その1
   

 静かなお正月だが、それにしても静かすぎる。誰も歩いていない。よくみると写真8や9のように雨戸が閉まった家が目立つ。正月の海外旅行に行っているのだろうか。...って、そんなわけはなく、過疎化が進んでいるのだろう。

 9 大舟谷の民家 その2             10 大舟谷海岸へ
   



 海岸は海の水が透明に輝く美しい海岸であった。左右には、防波堤が続いている。立入禁止の看板があるが、釣り人がいて柵はないようなので、踏み込んでみる。

 11 大舟谷海岸                 12 大舟谷海岸から南方向を望む
   

 13 大舟谷海岸から北方面を望む         14 矢差戸方面へ防波堤を行く
   

 写真14のとおり、波しぶきがかかって安全とは言えないが、何とか歩けそうだ。そのままま矢差戸海岸を目指して、いけるところまで行ってみることにした。

 15 南川海岸                  16 行き止まり地点
   

 防波堤の終点はなんと写真16のとおり、行き止まりになってしまった。高さがあるため海岸にも降りられず、正面には白い新しい家が立ちはだかっている。仕方なく山側を回り込むことにした。これがとんでもない道で、途中で写真18のようにロープを頼りによじ登ることになってしまった。とんだサバイバルである。しかし、ここしか脱出口はなさそうなので必死である。やはり、立入禁止の看板を無視した罰が当たってしまった。

 17 裏の山道                  18 ロープを使って登る
   

 なんとか、道にでてまた歩き始める。

 19 七福天寺                  20 民家の立派な石垣
   

 家がまばらだが、全くの山の中というわけでもなく、のんびりとした風景が続く。

 21 大井区民会館                22 ペンション?
   



 ため池が多いのも相変わらずであるが、池がまるで元からそこにあったように周りの自然にとけ込んでいる。小佐部堰のため池の先で、大井浜に出るため右折する。断崖絶壁のために海岸沿いの道はないようだ。

 23 小佐部堰ため池               24 謎のトンネル
   

 大井浜には、数件の民家があるだけであった。

 25 大井浜への道                26 大井浜から北方面を望む
   

 やがて、大原が近づいて町並みが少しにぎやかになってきた。今日は1月2日であるが、年賀状を配る自転車のアルバイト青年だけが動いている。

 27 大井浜から南方面を望む           28 根方付近で年賀状を配る青年
   

 29 大原漁港前の佇まい             30 大原漁港
   

 大原漁港に到着した。寒いので缶コーヒーを飲む。通りは閑散としているが、船には正月を祝う大漁旗が掲げられていた。八幡岬方面へ行こうとしたが、通行止めなのであきらめる。

 31 漁港から八幡岬方面を望む          32 大漁旗を揚げる漁船
   



 33 深堀付近の防波堤と標識           34 塩田川の対岸を望む
   

 海岸を回り込むと結構大きな川が見えてきた。塩田川である。河口にはみたこともないほどのカモメの大群がいた。河口から海に向かって佇んでいたが、近づくと写真35のように一斉に飛び始め、すぐに元の場所に戻ってくる。彼らの聖地らしい。なるべくじゃまにならないように遠慮しながら歩く。

 35 塩田川河口のカモメの大群          36 日の出橋
   

 37 塩田川河口


 川を渡ると日在浦である。海の色は真っ青で、砂浜と緑がどこまでも続いている。夏は海水浴場になりそうだ。また、アカウミガメの産卵場所としても有名だそうだ。沖にテトラポッドが並ぶのがちょっと残念だが、貴重な自然の砂浜である。
 2013年の夏、未確認最新情報によると、山下智久、香里奈、戸田恵梨香の定番夏の青春ドラマ「SUMMER NUDE(サマーヌード)」はこの辺りがロケ地らしい。(2013.7.8追記)

 38 日在浦(ひありうら)海浜公園           39 海浜公園から北方面の日在浦を望む
   

 地図をみて気になっていたのだが、この海岸沿いには、いわゆる潟のような地形が広がっている。砂丘に登ってみると、内陸に水面が確認できた。三軒屋川という名前が付いているらしい。

 40 日在浦波打ち際                  41 砂丘の上から三軒屋川を望む  
   



 一続きの砂浜であるが、このあたりは、和泉浦というらしい。なぜ、名前が変わるのだろうか。

 42 和泉浦の砂丘                43 和泉浦
   



 44 和泉浦から夷隅川河口方面を望む       45 河口近くの休憩所
   

 砂浜を5kmほど歩き続けると、夷隅川の河口に着いた。橋から三軒屋川を眺める。美しい光景である。川といっても流れはほとんどないようだ。実は地図をみても川だというのは不自然な気がしていた。そもそも三軒屋川の水はどこからか流れ込んでいる様子はない。地形的には、いわゆる海跡湖ではないかと思っていた。海跡湖とは湾が砂州により海と隔てられた湖のことで、サロマ湖などが有名である。
 調べてみるとおもしろいことがわかった。詳しくはここを読んでいただきたいが、要するに、三軒屋川は、夷隅川の旧流路であったらしい。つまり、夷隅川は、明治時代には海岸に沿って南下し、現在の砂浜の途中で海に注いでいたそうである。その後、現在のように正面から最短距離の河口ができ、旧夷隅川は、このように入り江として残ったわけである。日在浦が途中からいつのまにか和泉浦と名前が変わるのも、おそらく昔は夷隅川河口で浜が分断されており、南北でそれぞれ別の名称をつけたからではないだろうか。
 それにしても、このようなすばらしい自然をそのまま何とか残してほしいものである。

 46 和泉浦から南方面を望む           47 三軒屋川
   

 48 若潮橋から三軒屋川を望む


 砂州から内陸部へ渡る橋で写真を撮っていると、足下に気配を感じた。猫である。しかも、人なつっこく、首輪もしていて、明らかに飼い猫である。猫の写真をとっていると、こともあろうにカメラに向かってパンチを繰り出してきた。人を恐れないやつだ。写真49はまさに右フックが飛んでくる直前の写真である。カメラを壊されてもいけない。のどの下をくすぐってやったら、気持ちよさそうにしていたので、その隙に退散する。

 49 若潮橋の猫                 50 若潮橋から夷隅川対岸を望む
   

 51 ヴィラスピカ                52 岬町B&G海洋センター
   

  河口は広く、橋もないので上流の江東橋まで遡る。

 53 夷隅川右岸を遡る               54 江東橋から夷隅川河口を望む
   

 橋を渡ると、太東崎へ向かう。

 55 旧江東橋の欄干               56 太東崎への道
   



 57 大高水門の解説板


 58 水門から下流を望む             59 大高水門
   

 河口には干潟が広がっていた。すばらしい眺めである。

 60 夷隅川河口の干潟 その1          61 夷隅川河口の干潟 その2 
   

 写真62は旅館の倉庫だろうか。それにしてもなんと読むのかわからない。

 62 旅館?                   63 太東崎から夷隅川河口方面を望む
   

 64 太東海浜植物群落              65 植物群落解説板 その1
   

 太東崎には海浜植物群落があるが、冬なのでただの枯れ草にしかみえない。ここは非常に浸食が激しいらしく、ガードレールが茶色に錆びてボロボロになっているのが、波の激しさを物語っている。写真67によると昔は広かったらしい。なお、今日歩いたルートの海岸はほとんどテトラポッドと防波堤が設置されている。

 66 太東崎                   67 植物群落解説板 その2 
   

 68 太東崎近景                 69 アンティークショップ
   



 もう一度内陸に向かい、ため池を過ぎると太東崎の灯台へ行く道がある。ため池のところでは、おばさんたちが富士山がどうのと話していた。確かに遠くにそれらしいものが小さく見える。かなりの距離があるだろう。

 70 大正堰ため池 その1            71 太東崎から北方面を望む 
   

 72 太東崎から夷隅川方面を望む         73 映画ポストマン撮影地
   

 74 太東崎の海                 75 太東崎から灯台を振り返る
   

 76 電波探知機基礎跡              77 機関銃座跡
   

 78 九十九里浜方面を望む            79 アマチュア無線のアンテナ
   

 灯台の先の高台は、完全に観光地になっており、たくさんの人がいた。「ポストマン」という映画のロケ地にもなったらしい。また、旧軍の防空拠点を担っていたらしく、遺構がある。
 それにしても、灯台を移設しなければならなくなったというのは、この岬がものすごいスピードで浸食されていることを示している。
 ここでは、お祭りの屋台のような発電器の音がうるさいのには閉口した。アマチュア無線をやっている人らしいが、せっかくの景色なので、静かな環境を守ってもらいたいものだ。

 80 太東崎灯台解説板              81 太東崎灯台 
   



 82 谷から見える海               83 大正堰ため池 その2 
   

 さらに、山道を北上する。ため池のところで、親切な人が富士山が見えると教えてくれた。

 84 津々ヶ浦への道               85 キャンプ場の看板
   

 86 津々ヶ浦に建つ建物


 突然オレンジ色に輝く建物が現れ、目の前に風光明媚な景色が広がった。岩の名前は雀島というらしい。

 87 津々ヶ浦(雀島)


 88 津々ヶ浦から北方面を望む          89 リゾートマンション
   



 90 高級別荘?               91 ハイキングコース入り口
   

 ここで、ハイキングコースの入り口が見えた。体はかなり疲れているので、階段の山道は正直登りたくなかったが、気力と体力を振り絞って登る。

 92 山の上の景色               93 尾根道を行くハイキングコース
   

 以外と短い登りであったが、登った分だけ景色はすばらしい。目の前に九十九里浜がはっきり見えて感動した。

 94 ハイキングコースからみた太東漁港と九十九里浜


 95 展望台                   96 展望台からみた太東漁港と九十九里浜
   

 97 九十九里浜                 98 広場を横切る
   

 99 ハイキングコース太東漁港側入り口     100 太東漁港の漁船
   



 101 太東海浜広場 その1          102 太東海浜広場 その2
   

 103 太東海浜広場 その3          104 太東海浜広場から太東岬方面を望む
   

 大東漁港を過ぎて、海浜広場に入る。ふと前を見るとあの九十九里浜が目の前にある。地図の上で美しい弧を描く、日本で2番目に長く、2番目に有名なビーチである。そして、ここ、大東の浜はその九十九里浜の最南端なのである。まあ、そこまではどこにでも書いてあるが、では本当の最南端はどこか。
 それを実際に写真でお示しするのは、日本初である....(と思う)。写真105の、この漁港の防波堤の横の砂から、九十九里浜は始まる(終わる)のだ。これを現認できれば、今日の目的は達成したようなものである。
 いよいよここからは、長い長い九十九里浜縦断だ。

 105 九十九里浜最南端             106 太東海浜広場からみる九十九里浜 その1
   

 107 鳥?のモニュメント           108 九十九里浜から太東岬方面を望む
   

 109 太東海浜広場からみる九十九里浜 その2


 どこまでも続く長い弧が美しい。

 110 砂丘の向こうに沈む太陽         111 九十九里浜東浪見付近 その1
   

 もうだいぶ日が暮れてきた。サーファーだけがまだ残照の中で浮かんでいる。

 112 九十九里浜東浪見付近 その2       113 九十九里浜東浪見付近 その3
   
 今日は東浪見駅までは難しいと思ったが何とかいけそうである。    



 114 シンプルな家              115 東浪見クリーンプラント
   

 116 東浪見駅
     

 そして、東浪見駅に着いた。この駅舎はどこかでみたような気がする。確か千歳駅だっただろうか。シンプルな駅である。
 しかし、ガラスのついたてがあるだけなので、非常に寒い。まだ、上り普通列車が来るまで20分以上時間がある。温かい飲み物でも飲もうと自動販売機を探したが、残念ながら無かった。
 
 今日は、御宿から続く断崖の丘陵地帯を越え、大原からは日在浦・和泉浦というすばらしいビーチを歩き、大東崎という丘陵地帯を越え、最後に九十九里浜の南端部まで踏破することができた。変化に富んだ景色と道を楽しむことができて満足である。
 そして、行程はいよいよ九十九里浜に突入した。はたして、どこまでも続くあの弧を最後まで歩き通すことができるのだろうか。
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