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三ツ峠山 (みつとうげやま) 標高1785m 登山開始地点標高1294m
自分の足で登らない山シリーズ第9弾 河口湖の北側にある、富士山の展望があまりにも有名な山 |
◆ 2013年2月9日
今日は山梨県の三ツ峠山に行ってみよう。海抜は1785mと結構高い山だ。ちなみに正式名は「三ツ峠」だが、確かに3つのピークはあるものの、決して峠ではない。歴とした山である。誤解を受けやすいし、ゴロも悪いので「三ツ峠山」と呼ぶことが多いようだ。ちなみに三ツ峠の「ツ」は「ッ」ではなく、大きい方の「ツ」を使っているものが多い。まあ、判ればどちらでも良いのだが、一応このページでは分かりやすさを優先して、三ツ峠山と呼ぶことにしよう。
三ツ峠山は、展望、特にここから見える富士山の素晴らしさが絶賛されている山だ。位置的には河口湖の北東に位置する。yahoo mapで富士山頂までの直線距離を測ってみると、21.9kmだった。山のスケールから見るとかなり近い。天気次第だが、かなり期待できそうだ。
2013年2月9日6時天気図 tenki.jpより
今日の山梨県富士吉田地方の天気予報は晴のち曇りである。雪はどうだろうか。2013年1月14日の降雪以来、関東地方は温かい日もあったりして、山の雪もかなり溶けていた。2月6日に降雪の予報が出たが、東京は1月14日とは逆に、雪の予報が外れてしまい、またまた気象庁が責められていた。雨か雪かは気温次第だが、南関東の平野部ではちょうど0℃前後の微妙な差になることが多く、雨になる、すなわち落ちてくる途中で溶けるかどうかは、スパコンを使った予測でも非常に難しいはずである。2月4日と6日には山梨県も下図のように降雪があったようだ。三ツ峠山の標高から見て、雨になるということは無いから予報も楽である。というわけで、今回も雪が楽しめそうである。
2013年2月4日・6日の雨雲の動き tenki.jpより
もちろん、このシリーズの、「できるだけ自分の足で登らない」というコンセプトに適うことは言うまでもない。この山は、メインストリートである富士急行線三ツ峠駅から見上げるととてつもなく高く険しいが、裏から登るとあっけなく登れてしまうのだ。
まず、起点となる富士急河口湖駅を目指す。東京方面からは中央線大月経由で電車で来るのが普通だが、神奈川県南部からだと、このルートはあまり合理的ではない。三島駅始発、御殿場駅8時5分発の河口湖駅行きの特急バスが出ている。東富士道路を使うのだろう。50分で着くのでこれが一番早そうである。
ただし、このバスは予約制なので、前日に予約の電話を入れておく。駅でおじさんが乗ろうとして乗車券が違うので断られていたが、席があればその場で料金を払って乗れるらしい。1500円だが、冬なので空いていた。若者が多いなと思ったら私以外全員が富士急ハイランドで降りた。
1 河口湖駅
河口湖駅に着いた。高原のリゾートホテル風の小綺麗な駅舎だ。しかし、圧巻は、駅舎の背後に本物の富士山が迫っていることだ。なんでも関東の駅100選に選ばれているらしい。
2 富士急展示車両 3 駅構内
ここから三ツ峠登山口までバスが出ているが、残念ながら冬季は運休である。
(注:2014年12月現在、冬期も運行するようになったが、積雪により運休するとのこと
)
そこで今回はタクシーを使うことにした。東北地方遠征が一段落したので、取材費は潤沢である。
ドライバーにきくと、旧道の分岐、バス停までは入れるそうなので乗り込む。このドライバーが、よく喋る。カメラを持っているか聞かれ、無理やり撮影ポイントで降ろされる。写真を撮れということなので、撮った写真が4の逆さ富士である。薄曇りで空がきれいではない。その後も、2箇所ほど撮影ポイントで停まってくれた。写真が好きだということで、やたらと詳しい。20年のキャリアで未だに銀塩だそうである。大観山の時もそうだったが、観光地を周るタクシードライバーは写真のプロが多いのだろうか。河口湖から富士山を撮影する場合は、日中は逆光になるので、午前中が勝負だそうである。
4 河口湖からみた富士山
旧道は一部凍っていて、タクシーは時々スリップしていたが、登山口バス停に着いた。5120円である。途中で停車したので少し料金が加算されたのか、まあ、作戦かもしれないが、親切だったので良しとしよう。
5 三ツ峠登山口バス停 6 登山口へ
ここから林道であるが、写真のとおり完全に凍結しているので、早速ゲイターとチェーンアイゼンを装着する。ここの標高は1294mで、三ツ峠山は標高1785mなので、500mも登らない。時刻は9時40分である。
7 林道脇の車両 8 登山口
トイレのある登山口に着いた。駐車場はほぼ満車で、4輪駆動車の他に乗用車タイプの車もいるようだ。寒冷地仕様の4輪駆動車なのかもしれないが。
9 登山道案内 10 登山道入口
11 三ツ峠解説板
広い登山道が続く。山頂まで4輪駆動車が入るらしい。
12 山頂へ その1 13 冬季運搬用車両?
14 凍結した急坂 15 山頂へ その2
轍が続く。急斜面では、下の氷と岩がかなり露出していた。気温が低く北斜面なので、雪は乾いている。
16 放置された4輪駆動車 17 山頂へ その3
道が広く、雪が締まっていてアイゼンがよく効くので、快適な雪上トレッキングである。天候も青空が広がりつつあるようだ。何人かの三脚を持ったカメラマンらしき下山者とすれ違う。先ほど、タクシーの運転手さんが言っていたとおり、早朝の富士を撮影した帰りだろう。駐車場に車が多かったのもそのせいに違いない。
18 美しい雪原 19 除雪用パワーショベル
尾根に出たようだ。勾配が緩んだ直線で道が二股になっていたので、右に進路をとる。
20 四季楽園分岐 21 三ツ峠山荘へ
最後の急坂を登ると、西方向の視界が広がり三ツ峠山荘の建物が見えた。
22 白い森 23 三ツ峠山荘直下
24 三ツ峠山荘の犬 25 三ツ峠山荘から屏風岩を望む
黒い犬がシャリシャリと何かを食べている。それはなんと雪であった。
26 三ツ峠山荘から三ツ峠駅、御正体山方面を望む
山荘のテラスからの絶景は息を呑む。
27 三ツ峠山荘から富士山、富士吉田市街を望む
28 三ツ峠山荘 29 三ツ峠駅方面分岐
車が登れるので設備は整っていそうだ。山荘の横を抜けて、北へ向かう。広場があり、一面の銀世界である。右手にアンテナが立った山が見えた。開運山である。三ツ峠山の3峰の最高峰だ。時刻は11時ちょうど。ここまで、ノンストップで1時間半もかかっていない。狙いどおりの手抜き登山の成功である。
30 三ツ峠山荘北側の広場 31 開運山方面へ
32 四季楽園 33 四季楽園玄関
もう一つの山小屋である、四季楽園に到着した。小屋の前には大根を薄く輪切りにしたものが干してあった。寒いので、美味しく干せそうである。
34 花切り大根? 35 四季楽園テラスから三つ峠駅方面分岐
36 四季楽園テラス
テラスには人がいた。泊り客だろうか。
37 屏風岩近景
すぐ右手に黒々とした屏風岩が迫る。三つ峠駅からの表登山道はあの下を通ってくるらしい。恐ろしいことだ。
太い道を進むと、写真38の分岐に着いた。最初に御巣鷹山に足を運んでおこう。左折する。
38 御巣鷹山・開運山中間分岐 39 御巣鷹山へ その1
40 御巣鷹山へ その2 41 清八峠・都留市方面分岐 その1
北からの登山道が合流していた。道標は立派だが、この道はかなりの難路らしい。この雪と氷では、足を踏み入れたくないが、トレースはついていた。
42 清八峠方面分岐 43 御巣鷹山山頂電波施設
44 電波塔を見上げる 45 清八峠分岐
46 山頂西側
山頂標識はないが、西側に人がいた。
47 御巣鷹山から御坂山地と南アルプスを望む
その人は、御坂山地と南アルプスの絶景に見入っているようだ。かつて歩いた山々を思い出しているのかもしれない。
三叉路に戻って、今度こそ開運山へ向かう。
48 開運山へ 49 NTT電波塔
各施設の設置者を見て、電波塔が林立している理由がわかった。
50 山梨県防災無線施設 51
エフエム富士中継施設
11時44分、突然目の前の視界がひらけ、開運山山頂に出た。風もなく、富士山をメインデッシュにして、360度の絶景が広がっている。先着の数人が、はしゃいで写真を撮っていた。今日来られなかった山仲間に電話をかけて、その感動を報告しているらしい。素晴らしい景色ですね、と言われたが、まったく同意する以外に言葉はない。
52 開運山山頂 その1 53 記念撮影
記念写真を撮ってくれと頼まれたので、シャッターを押してあげた。代わりに登頂証拠写真を撮ってもらう。
54 開運山山頂から富士山を望む
55 富士山頂ズーム
56 開運山山頂から御坂山地と南アルプスを望む
57 開運山山頂から四季楽園と三ツ峠山荘を見下ろす
58 開運山山頂から富士みちと御正体山、丹沢山地を望む
写真58の三ツ峠山東側には相模川が開削した細長い低地、富士みちが伸びている。その向こうに見える丸いどっしりとした山は、御正体山(1682m)だろう。さらにその向こうには、丹沢が見えるが、雲がかかっているようだ。
59 開運山山頂から八ヶ岳、奥秩父山塊を望む
奥秩父の金峰山はすぐわかった。さすがに一度登ると記憶に残るものだ。
ずっとこうしていたいのはやまやまだが、帰り道はロングコースを考えていたので、腰を上げる。
60 四季楽園へ下山 その1 61 巨大な反射板
山頂から下りていく。それにしても、道路が通じているせいか、やたらと巨大な構造物が多いのは、ちょっと興ざめであるが、この巨大な反射板の用途はいったいなんだろうと気になった。このサイトによると、甲府-富士吉田マイクロ回線反射板だということ。富士吉田から甲府へむけて、(あるいは逆かも知れないが)テレビ回線通信用の電波を反射させるらしい。
62 四季楽園へ下山 その2 63 四季楽園へ下山 その3
64 公衆トイレ
トイレは冬季閉鎖中であった。
再び三ツ峠山荘へ向かう。
65 三ツ峠山荘へ その1
雪原を歩いていくと、雲海の中から見慣れた山頂がすこし顔を出す。
66 三ツ峠山荘へ その2
やがて、その魅力的な全身が姿を現し、道行く人を虜にする、という感動シーンである。やっぱり最初から全部見せてはいけないのだ。(なんのこと?)
67 三ツ峠山荘へ その3
微妙に下ネタ志向になってしまったので、修正しなければならない。写真68の山ガールの皆さんに失礼である。
さて、ここまで順調に来たので、今日はここから天上山経由で府戸尾根のロングコースを河口湖に向けて下ろう。雪だが、トレースがついていることは、さっき確かめておいた。
68 木無山・天上山方面への分岐 69 木無山方面分岐付近の展望台
写真69の展望台でも歓声があがっていた。
こちらのコースは、人は少なくなる。
70 木無山へ 71 木無山
木無山の草原の向こうに浮かぶ富士山もなかなか絵になるものだ。
72 木無山から富士山を望む
73 木無山解説板 74 カチカチ山ロープウェイ案内板
75 天上山へ その1 76 天上山へ その2
積雪は数十センチだが、所々で写真76のように深くなるところがあり、気が抜けない。とか言いながら、おもいっきり雪道を楽しんでいるオッサンである。
77 天上山へ その3 78 雪の下の氷
粉雪の下は、写真78のように氷の板である。昼間溶けて夜凍るという繰り返しだろう。
79 天上山へ その4 80 天上山へ その5
写真80のように道の雪が消えた。しかし、標高はまだ1500m近くあるので念のためアイゼンをつけたまま歩く。写真82のとおり、それは正解だった。
81 現在地の標高 82 天上山へ その6
83 天上山へ その7 84 天上山へ その8
85 府戸尾根から富士みちを見下ろす
86 送電線鉄塔下 87 鉄塔下から富士山を望む
88 下ってきた府戸尾根を見上げる 89 天上山へ その9
90 天上山へ その10 91 天上山へ その11
写真91の尾根は面白かった。左側南斜面には雪が全くないが、反対側は真っ白で、はっきりと分かれていた。
92 天上山へ その12 93 天上山へ その13
凍っているとちょっと緊張する斜面もある。
94 天上山へ その14 95 天上山へ その15
林道を横切る。
96 林道西川大倉線 97 林道天下茶屋方面
98 林道概念図
地図によると、この林道は今朝の登山口に続いているようだ。
99 林道から再び登山道へ 100 天上山へ その16
久しぶりの登りが終わると、小さな神社があった。標識はないが、ここが天上山だ。標高1140mなので、三ツ峠山から650m下ったことになる。ここで、チェーンアイゼンを外した。
101 天上山山頂 102 小御嶽護国神社解説板
意外に寒いので、気温を見たら6℃であった。山頂より寒いかもしれない。ここには巻き道があったが踏み跡は少ない。
103 天上山の気温 104 巻き道道標
105 巻き道 106 富士見台駅へ
登山者でない人に会った。カチカチ山ロープウェイの駅だ。寒さにもかかわらず、人が異常に多い。雪の世界、天上から俗世界に帰ってきたようだ。
107 林間から河口湖を望む 108 たぬき茶屋 その1
109 三ツ峠山への道標 110 たぬき茶屋 その2
111 富士見台から望む富士山 112 たぬき茶屋からの登山道
せっかくなので、ロープウェイに乗ってみよう。
113 たぬき茶屋 その3 114 ロープウェイ富士見台駅料金表
ロープウェイは混んでいて、1台待った。眼下の河口湖が近づく。
115 富士見台駅から河口湖を見下ろす 116 ロープウェイ車内
117 カチカチ山ロープウェイ河口湖畔駅 118 河口湖畔
湖畔から駅に向かった。
119 河口湖駅への案内板 120 河口湖駅
15時42分、河口湖駅に着いた。御殿場回りも考えたが、16時ちょうど発のホリデー快速があったので、のんびりと中央線経由で帰ることにした。
121 ホリデー快速河口湖 122 ホリデー快速河口湖
駅で買った富士山カップ酒は、冷えていて美味かった。三つ峠駅側から見る三ツ峠山は、黒く険しい近寄りがたい側面を見せていて、こちら側から登ろうという気持ちにはならない。
122 富士山二二三カップ 123 富士急行線から見る三ツ峠山
GPSによる歩行経路
GPSによる高度記録
三ツ峠山は、車が入れる裏登山口の標高が高く、手軽に山頂に立てるにも関わらず、素晴らしい景色が広がっている山である。天候が安定して空気が澄む冬は、特にその眺望が際立っていた。標高が高く、雪も楽しめて、訪れる人が多かったのが、その人気の証拠である。
(本日の歩数:29263歩)
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