神奈川県一周
いよいよ丹沢の山岳地帯の最終章 駿河小山へ
◆第30日目(2011年11月23日)
明神峠
〜
駿河小山駅
前回は、山伏峠を出発点に、神奈川県最西端の三国峠、神奈川・山梨・静岡県境の三国山を経て明神峠まで到達した。明神峠では、
富士箱根トレイル
という小山町官製ルートを知ったが、これは、ちょうど神奈川県と静岡県の県境に沿って設定されていることがわかった。その概念図とルートは下記のとおりである。
富士箱根トレイル鳥瞰図 (小山町公式HPより抜粋)
富士箱根トレイル 明神峠−駿河小山間ルート図 (小山町公式HPより抜粋)
今日は、頭を悩ます必要はない。この富士箱根トレイルのルートをそのまま歩けば良いということになる。駿河小山駅までの最後の1kmを除いて見事に県境をトレースしている。おそらく標識があるだろうから、道に迷う心配もないだろう。
さて、前回は明神峠を終点としたわけであるが、それには理由がある。駿河小山駅から明神峠まで、土日休日に限って朝1本だけ富士急のバスが出ているのである。ただし、11月で終わりだ。何とか今年のシーズンに間に合った。
そのバスは、駿河小山駅を9時に出発するのであるが、それに間に合う御殿場線の下り電車は、駿河小山8時33分着で、ずいぶん連絡が悪いバスの発車時刻設定である。
しかたなく
現地でバスを待っていると、8時48分に水色の特急列車が到着した。それを見て、やっとバスの発車時刻が9時である理由を理解することが出来た。この特急列車に接続していたのである。
1 駿河小山駅の特急あさぎり 2 明神峠行きのバス
せっかく特急列車に接続させたダイヤにもかかわらず、バスに乗り込んだのは私一人であった。電車の乗客はほとんどがマイクロバスに乗り込むゴルフ客ばかりである。
発車したバスのアナウンスは、「次は明神峠です。」と言ってるので直通らしい。乗客は自分だけかと思い、少し寂しい気分になった。
と思ったのもつかの間、鮎沢川の橋の上、ふじみセンターでバスは停まり、大勢の中高年が乗り込んで来て、たちまちバスは大混雑になった。ビデオ撮影隊もついている。役場の職員も乗り込んでいるようだ。富士箱根トレイル2周年の記念行事だそうだ。坂を登るバスからみる富士山が美しい。
3 鮎沢川を渡る 4 山腹からみる富士山
それにしても、この団体と一緒に歩くのは出来れば避けたい。どっちに行くのか聞いてみると、幸い逆方向の三国山方面だとのこと。ホッとする。明神峠で降りるのが大変だなと思ってのんびりしていると、バスが停まった。明神峠ですよと言われて、一人だけで慌てて降りる。何と、団体はこの先まで行くらしい。貸切ではない路線バスなのにそんなことをしても良いのか、少しだけ疑問に思うが、バスは走り去ってしまった。
5 走り去るバス 6 明神峠
誰もいない静かな明神峠から県境を登り始める。とはいってもなだらかで美しい林間コースで、雰囲気は最高である。
7 登山口 8 明神山へ その1
しかも、天気は雲ひとつない快晴である。筆者は、出かける時は、事前にネットで複数の天気予報を確認している。
気象庁
と
日本気象協会
と
Weather Eye
の3つである。普段はほとんど違わないのだが、23日に限って、前日発表の天気予報は、晴れ間が出るかどうかで見解が分かれていた。
3予報者とも午後から曇りで天気が下り坂であることは一致していたので、今日は別の予定を入れていた。しかし、今朝起きてみると空が見事に晴れているではないか。天気予報もやや改善している。でも、まだ信用出来ない。平地は晴れていても、三国山から富士山にかけては雲や霧が出ていることが多いので要注意である。そこで、ネットでいくつかの富士山のライブカメラを確認してみると、どこでもクッキリである。決行だ。
慌てて予定をキャンセルする電話を入れて、こうして出かけてきたのである。今日は見事に天気予報が外れてラッキーであった。
9 駿河湾を望む 10 山中の小さな神社
早速岩田さん手製の道標が迎えてくれる。内容は、相変わらず説教臭いが。
11 岩田さんの道標 その1 12 明神山へ その2
明神山へ向かう県境の道は、写真12、13のように素晴らしい晩秋の山道である。
13 明神山山頂付近
しかし、明神山のピークははっきりしなかった。標識も見当たらない。
14 湯船山へ その1 15 北の御正体山を望む
16 ごんぐのベンチ
17 岩田さんの道標 その2(ごんぐのベンチ)
18 湯船山へ その2 19 樹間から見える愛鷹山
湯船山の山頂が見えてきた。振り返ると富士山の勇姿が見えた。
20 湯船山 21 湯船山から見る富士山
22 湯船山山頂その1 23 湯船山三角点
10時6分、1041mの湯船山に到着した。疎林で、なだらかな山容である。
24 湯船山山頂その2 25 湯船山山頂から東へ続く県境
自然林に囲まれた山頂であるが、西側だけは写真26のように植林された杉だか檜だかが、不揃いにだらしなく生えていた。富士山はちょうどその向こう側である。こんな絶好の場所に植林をしてしまうとは、林業関係者とはいえ、センスがなさすぎる。その上、手入れをしないのであれば、いっそのこと、切ってしまったほうがよいと思う。そうすれば、湯船山は正面に富士山のみえる山として人気が出るだろうに。トレイルを管理する小山町は、是非交渉してほしいものだ。
26 山頂の邪魔な植林 27 県境標識
次の白クラノ頭を目指す。
28 白クラノ頭へ 29 白クラノ頭
30 白クラノ頭標識
31 岩田さんの道標 その3 (白クラノ頭)
32 逢坂峠へ その1 33 白クラノ頭を振り返る
紅葉の季節は過ぎているが、なぜかここだけは残っていて、目を楽しませてくれる。
34 紅葉 その1 35 紅葉 その2
植林地帯に入ってしまった。暗くて、植生がないため、道もわかりにくく、わざわざ道標が建っている。林道がめぐらされてしまったようだ。
36 植林地帯 37 林道
38 南方向を望む 39 逢坂峠へ その2
40 箱根山
41 岩田さんの道標 その4
42 湯船山を振り返る 43 本州製紙社有林看板
ところどころで、遠くまで見渡せる景色が広がつているが、残念ながら荒れた人工林が多く、快適とは言えない県境の道である。
44 岩田さんの道標 その5 (逢坂峠) 45 野生動物の糞
46 不老山を望む 47 神奈川県側の荒れた人工林
それでも、静岡県側は、場所によっては写真48のように心和む植生も見られる。
48 サンショウバラ? 49 野生動物の足跡
50 ススキ野原と不老山 51 人工林の倒木
11時30分、悪沢峠に到着した。
52 悪沢峠 53 岩田さんの道標 その
6 (悪沢峠)
悪沢峠から先は、植林地帯から抜け出して、緩やかで快適な登りになった。
54 サンショウバラの丘へ その1 55 サンショウバラの丘へ その2
11時50分、開けた広い山頂に出た。写真57の公式の標識によると、ここはサンショウバラの丘というところらしい。
56 サンショウバラの丘 57 サンショウバラの丘標識
しかし、岩田さんの道標によると、ここは「樹下の二人」という名称になっている。故事による命名らしいが、地名としてこのようなわかりにくい名称をつけるのは個人的には賛成できない。「サンショウバラの丘」という小山町の命名のほうが合理的である。極端に言えば道迷いや遭難を避けるためにも、場所の命名は分かりやすさと統一性が重要であると思う。岩田さんに言わせれば、先に付けた名前に優先権があるということかもしれないが。「蘇峰台」という旧名もあったようだ。
58 岩田さんの道標 その7 (サンショウバラの丘、別名樹下の二人)
ここ、サンショウバラの丘からの360度の眺望は素晴らしい。
59
サンショウバラの丘から冨士山と湯船山を望む
60 サンショウバラの丘から甲相国境尾根を望む
61 サンショウバラの丘から西丹沢を望む
62 サンショウバラの丘から不老山を望む
西側から見る不老山は広がりのある立派な山体だ。
63 サンショウバラの丘から箱根山を望む
箱根に目を転じると、中央にこぶのように突き出た金時山から左右に延びる県境の稜線、その左奥の中央火口丘、左端の明神ヶ岳がよくわかる。素晴らしい景色を眺めてしばしの休憩をとった後、再び東に進路をとり、世附峠経由で不老山を目指す。
64 世附峠へ その1 65 富士山を振り返る
世附峠に着いたのは、12時ちょうど。林道を横断する。
66 世附峠 その1 67 世附峠 その2
68 岩田さんの道標 その8 (世附峠)
ここでは、岩田さんの言いたいことがたくさん書いてある。不老山は、以前はサンショウバラのある展望の良い山だったらしいが、檜の植林による環境破壊が進んでしまったことを嘆いておられる。林道を作ってしまったことが致命的だったのだろう。それほど昔のことではない様なので、残念なことだ。明神峠までのバス便の復活も希望されているが、これは実現したことになる。
69 岩田さんの道標 その9 (世附峠)
70 岩田さんの道標 その10 (世附峠) 71 世附峠から不老山への登山口
72 岩田さんの道標 その11 (世附峠)
不老山への道は、岩田さんの言うとおり、薄暗い植林地帯を登っていく。
73 不老山へ その1 74 不老山へ その2
75 不老山南西のピーク
標高926mの不老山の南西側のピークに着いた。
76 75の地点から見た富士山
西側が開けており、富士山が見えた。不老山0.2kmの標識があったので、県境を離れて行ってみることにした。
77 不老山へ 78 ヌタ場
12時42分、標高928mの不老山に到着した。ベンチがあるが周囲の展望はない。直進すると国道246号線から丹沢湖に行く県道の途中、山市場というところに出られるようだ。浅瀬経由の丹沢湖方面は、つり橋が落ちて通行止めになっている。
79 丹沢湖方面の通行止標識 80 不老山山頂
81 岩田さんの道標 その12 (75の地点)
写真75の県境のピークに戻る。
82 岩田さんの道標 その13 (75の地点)
岩田さんによると、このピークを不老山南峰と名付けられているが、地図や標識では、写真80の本当の不老山山頂を北峰とは書いていないので、定着しているわけでもなさそうだ。
83 岩田さんの道標 その14 (75の地点)
84 岩田さんの道標 その15 (75の地点)
85 岩田さんの道標 その16 (75の地点)
86 岩田さんの道標 その17 (75の地点)
ここにもたくさんの岩田さんの道標がある。県境を辿る尾根道を復活させ、案内板を立てて整備したこと、その尾根道を「不老の活路」と名付けたこと、林道歩きがなく全て山道であること、是非歩いてほしいことなど、本人の思いと情熱が書かれている。
岩田澗泉さんは、最近まで小山町町会議員だった方だが、
現在の町会議員名簿
には載っていないようだ。引退されたのだろうか。高齢にもかかわらず、博識と実行力で標識を立て、登山道を整備された有名人である。しかし、ここにも書かれているように、NPO法人とのトラブルもあったようだ。町長が代わり、「不老の活路」が富士箱根トレイルに一部として採用されているところを見ると、前町長との確執があったのかもしれない。登山道のつけ方でもめるということは、それだけ小山町は平和だということだ。いずれにせよ、岩田さんの整備した道が現在富士箱根トレイルとして公認されたことは、これまでの苦労が報われたということである。
岩田さん(不老の活路)と2年前に誕生した富士箱根トレイルの関係をもっと調べようとして、小山町の議会議事録を調べたが、残念ながら23年度分しか掲載されていない。これはおかしな事で、枚数の制約がないのだから、議論の継続性を保つ意味でも、町民がネットで過去の議事録を見られるようにすべきだと思う。
しかし、岩田さんの発言を見つけることが出来た。
平成23年の
小山町議会町議会3月定例会で、
「災害に強い森林づくりについて」
という質問をしているので一部を紹介しよう。
人工林と 自然林との差異についてですが、ここは自然林として残すべきころをも、木材の生産という目先のことに目がくらんで、やみくもに杉やヒノキ植えてしまったという国策の誤りがありました。京都大学の名誉教授で、今は亡き四手井綱英教授は、このことを 40年も前に警告していますが、我が小山町でも、この国策の誤りに残念ながら沿ってしまいました。
今からでも遅くはないですから、まず手始めに、富士箱根トレイルに接続する町有林を自然林に戻すべきかと思いますが、町の方針を問います。自然林に戻せばオオムラサキやタテハチョウやチョウも群舞し、小鳥も住み、イノシシや熊、猿も里まで下りてこないでしょうし、自然林ならば山芋も生えて、町民も山芋とりに行く楽しみもできて、利益は多いと思いますが、それから水源の涵養にも役立つし、保水力も増すし、災害も少なくなるかと思います。
私は湯船の天神山頂上付近で、三島のハイキングクラブリーダーと一緒に歩いてきまして、あそこに自然林と町有林があって、同じような傾斜でありますが、自然林のところは崩壊していなくて、人工林の杉のところは崩壊した場所があります。それもごらんになられたら、そのことについてもお考えを伺いたいと思います。天神山に限らずとも、諸所のところに人工林と自然林のそれぞれの違いがはっきりと出ているころがありますが。
これは筆者も岩田さんと同意見である。これまでの人工林の崩壊現場は、写真でもたくさん紹介したとおりである。それに自然林が残っていれば、不老山ももっと人気が出て観光資源として活用できると思うのだが。
ちなみに、この質問に対する町の回答は、要約すると「金も時間もないから、すぐに自然林に戻すことはできないよ。災害防止機能については、研究してからだけど、地権者とも相談しないとね。」というものであった。
87 県境と林道方面への分岐 88 岩田さんの道標 その18
89 岩田さんの道標 その19
90 生土へ その1 91 生土へ その2
92 人工林の崩壊地 93 崩壊地から足柄平野を望む
大規模な人工林の崩壊地があったが、皮肉なことに、ここからの足柄平野の眺めが素晴らしかった。
94 生土林道への分岐 95 岩田さんの道標 その20
96 岩田さんの道標 その21 (94の地点)
97 岩田さんの道標 その22 (94の地点)
岩田さんはここを「半次郎」と名付けている。写真94の左側に立つ正規の道標や富士箱根トレイルの公式地図では、ここを「生土山分岐」としているようだ。岩田さんには申し訳ないが、筆者も後者の命名に賛成である。
98 岩田さんの道標 その23 (94の地点) 99 生土へ その3
100 岩田さんの道標 その24 101 共有林標識
写真101の小山町が作った、地区の共有林の標識におかしなことが書いてあった。右のほうに「子孫にも残してあげよう。豊かで美しい自然林。」周りは人工林ばかりであり、書いてあることと、やっていることが逆である。
102 岩田さんの道標 その25
103 岩田さんの道標 その26
104 生土へ その4 105 神奈川県側の人工林
写真104の左手の斜面の上が標高529.9mの谷ヶ山のはずであるが、道は西側を巻いている。
106 岩田さんの道標 その27
上の地形図によると、谷ヶ山の南、107の地点から県境尾根を外れて西に降りていく歩道が書いてあるが、富士箱根トレイルはそのまま県境を南下している。
107 生土ヘ その5 108 奈良尾山入口標識
奈良尾山の標識があったが、どこがその山なのか、現地でも地図でもわからなかった。謎である。
109 谷峨方面を望む 110 岩田さんの道標 その28
写真110の地点、標高484mのピーク付近で、道は県境から西に外れていく。写真110の左、崖の上と書いてあるのは、おそらく県境の神奈川県側にある採石場の上に出るということだろう。
ここで、不老山から駿河小山までの登山道の変遷を確認しておこう。2000年のゼンリン登山地図には、不老山から県境沿いの道の記載はない。2万5千分の一地形図には、写真107の地点から右に降りる道が書かれている。しかし、下の最新の昭文社の地図では、生土山分岐から西の林道へ入る登山道になっており、谷ヶ山を通る県境ルートは示されていない。おそらく林道の開通によって、楽なそちらがメインルートになったのだろう。その見捨てられた県境ルートを不屈の闘志で蘇らせたのが岩田さんである。これまで紹介してきた、今日歩いた現在の富士箱根トレイルのルートは右図のとおりである。今後は岩田さんが再整備したこのルートが登山地図に記載されるようになるだろう。
2011年版昭文社登山地図 今回の現地調査(GPS)
111 生土ヘ その6 112 野生動物(クマ?)の糞
生土(いきど)ヘ降りる道の途中でクマらしき動物の糞を見つけた。だが、ここまでずっと人工林であり、野生動物が生息しているはずがない。おかしいと思って、前を見ると写真113のとおり、ここから自然林が広がっていた。動物は嘘をつかないのである。ここまでがテリトリーだと言いたいのだろうか。この先の人工林は彼らにとっては森でも何でもなく、むしろ、餌一つない死の世界なのだろう。
写真は載せていないが、この貴重な森に、自然林を残してくれた湘南に住む地権者への感謝の言葉が、岩田さんによって書かれていた。
113 生土ヘ その7 114 岩田さんの道標 その29
115 岩田さんの道標 その30
岩田さんの道標によると、分岐点である。左に行くと県境ルートらしいが、生憎今日は地形図を持っていない。またの機会に行くことにして、今日は右の一般ルートで降りることにする。
116 生土ヘ その8
117 岩田さんの道標 その31
118 岩田さんの道標 その32
岩田さんの力作が続く。
119 岩田さんの道標 その33
120 岩田さんの道標 その34
121 岩田さんの道標 その35
122 生土ヘ その9
123 岩田さんの道標 その36
最後の階段の急坂を降り切ると、沢に合流した。久々の公式の富士箱根トレイルの標識を見た。ここから不老山まで、岩田さんの道標ばかりだったような気がする。
124 生土ヘ その9 125 沢との合流地点
126 堰堤 127 岩田さんの道標 その37
128 岩田さんの道標 その38
129 生土ヘ その10
130 岩田さんの道標 その39
131 岩田さんの道標 その40
人家が見えた。富士箱根トレイルの鮎沢川以北部分の駿河小山側の登山口でもある。
132 生土集落 133 岩田さんの道標 その41
134 個人の岩石園 135 小山市街地
136 岩田さんの道標 その42
本日最後の岩田さんの道標が橋の袂にあった。なぜか左半分が黒く塗りつぶされている。なにか不都合でもあったのだろうか。それにしても、道標の内容や地名の命名はともかくとして、岩田さんの山と登山道を愛する気持ち、情熱には頭がさがる。とても全部は紹介出来なかったが、あれだけの道標や杭を山の上に運びあげるだけでも並大抵のことではない。楽しい絵と教養とすこしばかりのおせっかいが楽しい、あのような道標を書けるのもすごい才能と努力である。ただ、ご本人はすでにかなりの高齢らしい。後継者としての才能と知識を持っている人もおそらくいないだろう。道標も、山の風雨と紫外線で痛みが激しいと予想される。ご本人が山に登れなくなったら更新もままならないのではないか。数十年後には見られなくなる可能性が高い。そういう意味でも、今回その一部を記録に残すことが出来たのは有意義だった、と思うことにした。
137 健康福祉会館 138 歩道の山指標
健康福祉会館には温泉があったらしいが、残念ながら現在は廃止されていた。歩道には、山の方向が示されていたが、実際に見えたのは三国山だけである。
139 ふじみセンターから見た三国山 140 駿河小山駅
141 駿河小山駅の上り電車
駿河小山駅から帰宅した。
GPSによる今日の歩行経路
GPSによる今日の高度記録
今日のコースは、明神峠までバスを使ったため、体力的にはずいぶん楽なコースであった。なんといっても富士を背中に背負って歩く、自然林が続くなだらかな県境尾根は素晴らしい。サンショウバラの丘も絶景である。
一方で、コースの半分以上を占める、無計画に植林された暗い人工林にはがっかりさせられるが、岩田さんの道標で多少は気がまぎれるというものだ。登山道周辺だけでも自然林を残しておけば、小山町が誇れる素晴らしい財産になっただろうと思うと本当に残念である。富士箱根トレイルの今後の課題だと思う。
そして、県境の尾根道を再整備し、富士箱根トレイルとしての公式ルートにつなげてくれた岩田さんに感謝しなくてはならない。おかげさまで、県境をかなり忠実にたどることが出来た。
さて、県境の旅もついに丹沢と箱根を分ける川である
酒匂川(鮎沢川)
を渡った。
つまり、今日が丹沢との別れの日になるのである。道志川を渡ってからここまで、つらいこともあったが、北丹沢、西丹沢の素晴らしい自然を堪能しながら、県境をほぼ忠実に、無事歩けたことに感謝しなくてはならない。
そして次回は、いよいよ足柄山地、そして箱根外輪山へと歩みを進めていく。
(本日の歩数:28129歩)
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