神奈川県一周   真鶴半島から小田原海岸へと相模湾を東へ進む 

◆第35日目(2011年12月24日)  真鶴駅酒匂川河口

 複雑な地形のため、前回は湯河原の海岸と真鶴半島だけで終わってしまったが、今日は真鶴町から小田原市へ入っていく。ここから早川までは、箱根外輪山がそのまま相模湾に落ちていく地形で、江戸時代の東海道も避けたルートである。また、近年になっても、丹那トンネルが開通するまで、東海道線も通れなかった難所である。



  1 真鶴駅                      2 南郷山を望む
   

 真鶴駅に降り立ち、まず、真鶴半島の東側の付け根に位置する岩海岸を目指す。



  3 干物                       4 クリスマス仕様のベンチ
   

 岩地区へ続く道は高台でなかなか眺めが良い。海を見下ろすベンチには、ちゃんとクリスマスの飾り付けがしてあった。

  5 岩地区を見下ろす                 6 岩インター前
   



 岩インターの近くで海岸に出る。真鶴道路新道、通称真鶴ブルーラインの横に細い道が続いていたので行ってみることにする。

  7 不思議な家                    8 真鶴道路横の道
   

  9 岩大橋横へ                    10 岩地区のダイビングスポット
   

 岩大橋の下、岩漁港の奥に出た。ここにもダイビングスポットがある。真鶴はダイビングのメッカらしく、漁港と併設されているのが特徴である。
 岩漁港は行き止りになっているためか、良く言えばアットホーム、悪くいえば雑然としている。岩大橋が湾を跨いでいた。

  11 岩漁港へ                    12 漁港から見上げる岩大橋
   

  13 岩漁業協同組合                 14 岩海岸 その1
   

 漁協を過ぎると岩海岸である。ここは、真鶴半島唯一の砂浜の海水浴場である。しかし、今はその喧騒も想像できないくらい静かだ。
 ちなみに、あのたこ八郎が、飲酒後に海水浴をして、心臓麻痺で亡くなったのが、この岩海水浴場である。




 15 岩海岸 その2


 Yahoo地図の事前調査によると、岩地区から真鶴道路旧道へショートカットできそうな道があったので行ってみると、その道は写真16のように大きな家の私道であった。これは無理である。おとなしく、そのまま直進する。

  16 私道                      17 お地蔵様
   

  18 真鶴道路旧道へ                  19 強い木
   

 金網の存在をものともしない生命力あふれる植物に勇気づけられながら、真鶴道路旧道のカーブを登っていく。真鶴から小田原方面へは、真鶴道路と山腹をくねくねと曲っている旧道の2本の道があるが、後者はカーブが多く距離が長くなる。前者は以前は有料道路であったが、現在は無料であり、歩行者も通行禁止にはなっていないようだ。安全な道とは言えないが、距離と景色のために真鶴道路を歩くことにした。

  20 真鶴トンネル                  21 真鶴半島を振り返る
   



 トンネルを抜けると、ブルーラインが合流している。3連休の最終日なので、道が渋滞しているらしい。これは、うれしい誤算であった。この道は、歩道が無く、しかも海側は路肩が狭く歩行者は歩きにくい。というか、そもそもこの道は有料道路であったため、歩行者の存在は全く考慮されていないのである。したがって、車が後ろからビュンビュン来る状態を覚悟しなければならないのだが、渋滞によってその心配がなくなるのがありがたい。

  22 真鶴道路新旧道合流地点             23 新島バス停
   

 車に注意しながら、美しい海岸の景色を楽しむ。

  24 江の浦へ その1                25 事故現場
   

 写真25のようなことがあれば、歩行者は終りである。

  26 江の浦へ その2                27 歩道
   

 写真27から歩道がついた。ありがたい。ここから小田原市に入ったようだ。



 住宅はなく、飲食店やドライブインだけが点在している。

  28 道沿いの飲食店                 29 かごせいドライブイン
   

 かごせいによって休憩した。人が多い。ここは元々かまぼこ屋さんである。揚げたての練り物があったのでさっそく買って外のベンチで食べた。はっきり言って揚げたてのコレは旨い。

  30 揚げ物屋さん                  31 イワシ揚げとエビ揚げ
   

 さらに歩いて行くと、江の浦に着いた。斜面にある漁港とミカンの小さな集落である。

  32 江の浦港入口                  33 江の浦の集落
   



  34 江の浦港                    35 ジュース屋さん
   

  36 みのやドライブイン               37 新白糸橋
   

 新白糸橋に着いた。ドライブインやレストラン、キャンプ場がある、にぎやかなところである。すぐ上が根府川駅であるが、直接上がれる道はない。



  38 白糸橋から見る東海道鉄橋            39 真鶴道路の碑
   

  40 根府川海岸                   41 レストラン
   

  42 キャンプ場入口                 43 なみのこ村キャンプ場 その1
   

 立派な松林はなかなか雰囲気の良い海辺のキャンプ場になっている。いつも通り過ぎるだけであったが、今日はじめて中に入ってみることが出来た。

  44 なみのこ村キャンプ場 その2          45 指定保存樹林標識
   



  46 なみのこ村の岩礁                47 根府川トンネル内
   

 恐怖のトンネルも車が渋滞していて助かった。

  48 レストラン                   49 旧道合流地点
   

 根府川駅方面からの旧道が合流してますます渋滞してくる。

  50 海游台住宅地
   再び旧道に入ると、景色の良い住宅地がある。

 51 小田原・平塚方面を望む


 崖の上から東をみると、青い海岸線の弧の果てに、この旅の終着点が見えた。低く連なる山は曽我から大磯にかけて広がる大磯丘陵である。その東端が高麗山で、花水川の河口になる。ゴール地点の平塚海岸はそのすぐ右だ。



  52 米神地区旧道                  53 崖
   

 旧道は、崖に開かれた険しい道であるが、なぜかホッとするようなのんびりした道である。箱根外輪山の激しい火山活動の名残りだろうか、険しい崖が残っていた。
 下の真鶴道路をみると、この道が断崖を切り開いて造られた道であることがわかる。

  54 旧道から新道を見下ろす             55 真鶴半島を振り返る
   

 米神に着いた。昔は、海路と山道しかなかった海沿いの漁村だっただろう、ということが想像できるような集落である。

  56 米神地区                    57 大山と小田原市街
   

  58 真鶴道路を見下ろす               59 合流地点
   



 再び真鶴道路と合流すると、そこは石橋地区である。このように、真鶴から小田原にかけては、箱根外輪山から流れる川の狭い谷に点々と孤立した集落があったことがわかる。

  60 石橋地区                    61 石橋バス停
   

 土地が無いので、海の上に無理やり作った石橋インターチェンジを過ぎると、いよいよ早川である。

  62 石橋インターチェンジ              63 早川地区へ入る
   



 有料道路は大きな橋で早川を越えていくが、旧道は左にカーブして国道1号線へと続いている。

  64 小田原ブルーウェイブリッジ           65 早川駅
   



 早川駅の前が小田原漁港、別名早川港である。

  66 早川港                     67 小田原おさかなセンター
   

 港を回って早川を渡る。ここからは足柄平野ということになる。

  68 早川橋から海岸を望む              69 早川橋から上流を望む
   

  70 早川河口
   早川河口は大きな石がゴロゴロしている海岸だ。



 71 早川河口から御幸ノ浜へ

 ここが三浦半島まで続くビーチの起点になるが、海岸には人がいなくてちょっと寂しい感じである。左側に続く道路は西湘バイパスである。

  72 突堤                      73 突堤から御幸ノ浜を望む
   

 小田原市の早川から酒匂川にかけての海岸は、御幸ノ浜と呼ばれている。その名前のとおり、幸せそうに海岸を散歩しているカップルがいた。よく考えてみると、今日は12月24日である。彼らが幸せなクリスマスを過ごせるとよいと思いながら、写真を撮らせてもらった。クリスマスの思い出バージョンということで、セピア色にしてみた。まあ、本人がこれを見ることはないだろうが。
 しかし、こういう光景を見ても羨ましいと思わなくなってしまったということは、やはり年をとったということだろう。

 74 御幸ノ浜クリスマスバージョン


  75 御幸ノ浜 その1                76 通路
   

 西湘バイパスのコンクリートの垂直な壁の圧迫感が残念だが、この道は台風の度に被害を受けているので仕方がないだろう。それでも、久しぶりの広々としたビーチを歩くのは気持ちが良いものである。しかも、海鳥の群れはちっとも人を恐れない。

  77 御幸ノ浜 その2                78 海鳥
   



  79 可愛い足跡                   80 御幸ノ浜 その3
   

 山王川は渡れないので、海岸から陸側に入ると立派な地蔵尊があった。

  81 西湘バイパスの内側へ              82 袖ヶ浦地蔵尊
   

  83 袖ヶ浦地蔵尊解説板
  

  84 山王橋から海岸を望む              85 西湘バイパス小田原インターチェンジ
   

 国道1号線で山王川を渡る。

  86 山王原公園へ                
  87 海岸への通路
   

 山王原公園の先で再び地下道を通って海岸に出る。早川に比べると海岸の石の大きさがかなり小さくなってきたが、まだ砂浜という感じではない。理由はよくわからないが、相模湾は西に行くほど海岸の石のサイズが大きい気がする。

  88 通路から見る海岸              
   89 広い小石の浜
   



 14時30分、今日の目的地に設定していた酒匂川河口に到着した。なかなか、雄大な景色である。

 90 酒匂川河口


 ここで、写真90がどこかおかしいと気づいた人は、相当注意力と読図力のある人である。上の地形図をよく見ると、河口は川の西側、つまり小田原よりから海に流れ出ている。しかし、写真90では、東側の国府津よりに河口がある。
 2009年に訪れた時の写真があるので、確認してみよう。写真90−2が、写真90と同じ方向(国府津側)を撮影したものであるが、河口はなく砂浜が続いている。

 90−2 2009年2月8日 河口から東の国府津方面を望む
  

 では、小田原側はどうだろうか。今日撮った写真91では河口はないが、2009年の91−2の写真では、確かにこちら側に河口があったことがわかる。

  91 河口から西を望む                91−2 2009年2月8日の河口
   

 つまり、2009年2月8日から2011年の今日までの間に河口の位置が東に200m以上移動したことになる。台風などの大雨で河口の流出路が変わってしまったのだろうか。だとしたら、まさに川は生きているといえる...
 とかっこよく決めたかったが、世界一の財政赤字を誇る我が国の世界一過剰な公共事業を甘く見てはいけない。もしや...と思って調べてみるとやはり血税が使われていた。ここに書いてあるとおり、河口の付け替え工事をやったようだ。

  92 下水道放流水路を渡る
   結構な水量のある下水道放流水路を渡る。

  93 西湘大橋                    94 野鳥撮影隊
   

 西湘大橋と酒匂橋の間は広い河川敷が広がっており、野鳥の楽園になっているようだ。野鳥の写真を撮っている人たちがいた。彼らを見ていつも思うことが3つある。
 1つは、彼らの機材が立派なことである。当然望遠レンズで狙うのだろうが、三脚からレンズまで一体いくらお金がかかるんだろうか。
 2つ目は、彼らの辛抱強さである。鳥任せとはいえ、ワンショットを撮るためにひたすら待っている。待つ時間がほとんどじゃないかと思えるほどである。
 3つ目は、趣味の性格上そう思えるのかもしれないが、彼らが知性と教養に溢れた、心の優しい人達ではないかと想像してしまうことである。実際、マナーも実によい。その余裕にはちょっと劣等感を覚えるほどである。
 アウトドアでは、登山者、釣り人、サーファー、漁師、猟師等様々な人に出会うが、もちろん自分も含めて、彼らだけはちょっと人種が違う気がするのは私だけだろうか。

  95 酒匂橋                     96 酒匂橋下から丹沢を望む
   



 酒匂橋を渡る。ここから鴨宮駅までは、少し距離があるので、国府津までバスに乗って帰ることにした。

  97 酒匂橋から海岸を望む              98 酒匂中学バス停
   

 GPSによる今日の歩行経路 (時間:5h42m 距離:26.1km)
  

 今日は、真鶴半島東側から出発して、箱根外輪山と海が接する海岸を北上し、早川から西湘海岸を歩いた。前半は景色が素晴らしい岩礁地帯、後半は小石の美しいビーチである。ただし、岩海岸から根府川までは歩道のない海岸沿いの幹線道路を歩かなければならないので、一般にはお勧めできない。
 この県境の旅も少し前まで、丹沢・箱根の山々を巡っていたと思ったら、もう足柄平野まで来てしまった。

 次回は、いよいよ最終回となるのだろうか。気がかりは、海岸の状況が悪化しているらしいことである。どうなるか予断を許さないが、なんとかゴールまで歩ききりたいところである。


 (本日の歩数:34173歩)

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