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◆第32日目(2011年12月4日)乙女峠 〜 箱根峠
御殿場駅に降りて、缶コーヒーを飲みながらベンチに座って箱根行きのバスを待っていると、貧しい身なりの老女に声をかけられた。「どの山にのぼるのか?」と聞かれ箱根だと答える。無視するのも大人気無いので、今日は富士山に雪が積もって綺麗だ、あなたは何処へ行くのか、などと雑談をしていると、風車のある所で働いていると言う。「ところで、ないしょだけれど」と言いながら歯が一本しかない口を近づけてきて、「実は、旦那が借金を作っていなくなり困っている。50円あったらおにぎりが買える。」とか何とかブツブツ言っている。聞こえないふりをしていると「お兄さん50円持ってないか。」ときた。「ない!」とはっきり断る。老女は、バツが悪そうに駅に戻っていった。まさか、御殿場にまで来て、物乞いに会うとは思わなかった。
登山客もかなりいる。新宿発箱根行きの小田急高速バスが着いた。先頭と二番目の登山客が揉めている。先頭の男性登山客は、帽子から靴まで、茶色、オレンジ、黄色の同色系統で決めている。下半身は、レギンスというのだろうか、タイツのようなものを穿いていて、ブランドはよくわからないが、お金がかかっていそうな事だけは、私でもわかる。まるでアウトドア雑誌から抜けだしてきたような最新ファッションだ。年齢は30代だろうか。後ほど再び登場するので、ここでは、とりあえず彼のことを「ブランドマン」と名付けておこう。
バスに乗り込むが、後ろの席のカップルの男性がよく喋る。
乙女峠のバス停に着いた。登山客はここでほとんど降りるはずだ。ここからは、いきなり正面に富士山がドカンと大きく見えた。写真を撮る人が多い。快晴だ。
1 乙女峠バス停から富士山を望む
2 乙女峠バス停
3 登山道入口
登山道入口は、林道をしばらく歩いて右側であるが、その手前で、一人で立ち止まってGPSを操作している若い女性がいた。入口を確認しているらしい。筆者は、前回ここを降りてきたので、道はわかっている。彼女を追い越すと、操作をやめてついて来た。そりゃGPSよりもそのほうが話が早い。金時山に登るのに果たしてGPSが必要なのかは別にして、GPSの他にも、彼女の装備が本格的な感じである。それも、「ブランドマン」と違って、ファッションよりも機能第一、無骨、文系じゃなくて理系という印象である。若くて美人なのに、一人で、しかもストイックな感じがするのは珍しい。ここでは、彼女のことを「本格派女子1号」と名付けることにする。ちなみに、2号はいない。ただ、語呂がいいので1号を付けただけで深い意味はない。
さて、バスの中でうるさかったカップルであるが、実は会話から親子であることがわかった。顔をよく見なかったので、間違えてしまった。娘さんは20代だと思うが、父親と登山をするとは、親孝行だ。お父さんは、娘と一緒に出かけるのが嬉しくてたまらないらしく、あのはしゃぎっぷりになったようだ。この二人は「仲良し親子チーム」と名付けよう。
もう一人、金時山にハイキングに来たという感じの、ごく普通のサラリーマン風の単独男性がいた。ここでは、「サラリーマン」と呼ぶことにする。ただし、彼が本当にサラリーマンかどうか、私は知らない。
さて、こうして、たまたま同じバスに乗っていた、「仲良し親子チーム」、「本格派女子1号」、「ブランドマン」、「サラリーマン」、そして、筆者の計5組、6人が乙女峠へ向かう山道を登り始めたことになる。筆者が靴の紐を結びなおしている間に、「本格派女子1号」が先に行った。後ろからは、例の「ブランドマン」が登ってきたが、「仲良し親子チーム」に足止めされてイライラしている。気づいた「仲良し親子チーム」が道を空けると、礼も言わずにすごい勢いで抜かしていった。彼のザックには、「Gregory」と書いてある。多分有名ブランドなのだろう。気合が入っている割には、アルプスや八ヶ岳でなく金時山でいいのか、とも思うが、ファッションという意味では、人が多い金時山の方が良いのかもしれない。それに、雪があると服やザックが汚れてしまう。
ちなみに、写真4は、前を歩く「仲良し親子チーム」と「サラリーマン」である。
先行していた「本格派女子1号」は、途中で止まって上着を脱いでいたので、追いぬく。さすがにこの登りで厚着の上にゴアテックスは暑いと思う。
4 乙女峠へ 5 乙女峠道標
9時5分、乙女峠に到着した。
6 乙女峠展望台 7 金時山方面登山道
木製の展望台があり、写真を撮っていると、「サラリーマン」も到着。写真を撮りたそうな感じである。展望台の半分を空けて一緒に写真を撮りながら少し喋る。1週間前から狙っていたそうで、満足そうに一眼レフで富士山を撮影している。顔を見たら思ったより若そうで40代だろうか。
そのうちに「仲良し親子チーム」も到着。富士山を見て大喜びである。あんまり嬉しそうなので、昨日までの雨で、富士山の雪がかなり増えたことなどを話すと、お父さんから「ということは、富士山に降った雨が凍って白く見えるんですか?」などと聞かれてしまった。一瞬予想外の言葉に驚きながらも、「いや、平地が雨だと標高の高い富士山では雪になるんじゃ?。」と答える。私の言葉が足りなかったこともあるが、発想がユニークなお父さんである。
今回気がついたが、展望台の南側にもう一つ台がある。よく見ると、富士山をバックに記念写真を撮るための撮影台である。ここから、「仲良し親子チーム」の記念写真を撮ってあげた。お父さんの宝物になるだろう。彼のことを少し羨ましく感じた。
8 乙女峠から富士山を望む
さて、彼らを残して出発であるが、99%の人は左折して金時山に登るので、右折すると人はいなくなる。今日は、ここからの県境尾根、すなわち外輪山を、出来れば一気に箱根峠まで抜けたい。外輪山途中の交通機関アクセスは限られているのだ。ただし、かなりの距離があるので、アップダウンが激しいと体力的、時間的にきつくなるかもしれない。
9 丸岳へ その1 10 長尾山を振り返る
11 丸岳へ その2 12 丸岳へ その3
次の目的地の丸岳への道は、穏やかな素晴らしい林間コースで、木々の隙間から、左に箱根、右に富士山が垣間見える、最高のロケーションである。日本広しといえども、これだけ贅沢な尾根道はそうあるまい。
13 右手樹間から見る富士山 14 丸岳へ その4
15 丸岳山頂標識 16 丸岳山頂
9時48分、丸岳に到着した。標高は1156mである。肝心の富士山側、つまり西側は残念ながら竹のため展望はない。しかし、南、東側には素晴らしい眺めが広がっていた。時間は中途半端だが、ここで景色を楽しむため、及びこれからの長距離ルートのエネルギー源を補給するために、ベンチで持参したカレーパンを食べ休憩である。
17 丸岳からこれから歩く箱根外輪山と伊豆半島を望む
それにしても、地図に立体感を加えた本物の鳥瞰図が目前に広がっている。山頂についたときには、若者と中年の二人の男性がいたが、出発してしまい、残る30代の女性二人が島が見えると話している。つい、「あれは伊豆諸島じゃないですか。」と余計なことをいってしまうと、頷いてくれたが、「多分新島と神津島じゃ」というと、「ないない」と言下に否定されてしまった。二人組の内の一人が言うには、「あれは、伊豆半島のすぐ横にある島」だと主張する。あまりに自信有りげに断定するので、さすがに一瞬心の迷いが生じた。まあ、こんな天気の良い山の上でいい争ってもしかたがないので、「じゃあ、初島ですかね−」などと自分に正直に生きることを忘れて、迎合してしまった。
写真18ではややわかりにくいが、遊覧船の軌跡が弧を描く芦ノ湖の上に2つの島影が見える。肉眼では、写真よりもずっとクッキリはっきり見えるのだが。
18 丸岳から芦ノ湖と相模湾を望む
写真19の拡大図を見ていただこう。著者が自信を持っていたのは、島の形に見覚えがあったからである。ただし、神津島というのは間違いで、左側の島は、正しくは利島である。左右のバランスが異なる三角形で海からダイレクトに立ち上がり平地がないのが特徴である。右の新島は、周囲に低い平地があり、中央がテーブル状の台地型の山になっている。これは、よく知られている地形である。
19 写真18部分拡大
しかし、彼女たちにとっては、新島は東京からはるか遠くにある南の島であり、まさか、箱根から見えるとは想像もつかなかったのだと思う。
一方視界を東に転じると、写真20のような光景が広がっている。よく見ると、相模湾の向こうの水平線がでこぼこになっているのがわかる。房総半島である。房総半島の手前、左半分には細長い緑の帯が見える。三浦半島だ。
20 丸岳から大涌谷、仙石原、三浦半島、房総半島を望む
21 丸岳から金時山と丹沢、大山を望む
さらに視線を左に移すと、ラクダのコブのような金時山の向こう、右側には大山が、左側には丹沢の山々が広がっていた。
22 丸岳から駿河湾を望む
駿河湾を正面に見ながら丸岳を後にする。
23 明神ヶ岳を振り返る
24 長尾峠へ その1 25 富士見台
外輪山をさらに南下すると、富士見台という展望台があった。林道と登山道に挟まれた道端にあるただの台であるが、ここは富士山と芦ノ湖が両方見えるというのが最大のウリである。
26 富士見台から富士山を望む
27 富士見台から箱根を望む
28 長尾峠へ その2 29 仙石原と明神ヶ岳を振り返る
箱根に多い、高い竹藪の中、狭くて暗いところに長尾峠の標識が建っている。地図で確認してもここで間違いなさそうだ。
30 長尾峠 31 黒岳へ その1
長尾峠を過ぎてしばらく歩くと、写真32の道標が立っていた。よく見ると、なぜか長尾峠はまだ通りすぎていないことになっている。これは明らかに誤りである。天下の箱根にある立派な標識といえども100%信用してはいけないのである。
32 長尾峠、黒岳間の道標 33 黒岳へ その2
全く展望のない竹藪をぬけると立派な道路が見えた。箱根スカイラインである。ここから見える富士山も素晴らしかった。ドライブではついついよそ見をしてしまいそうである。
34 箱根スカイライン料金所
35 料金所付近から富士山を望む
愛鷹山もよく見える。写真36はカメラが傾いているように見えるが、これは錯覚で、実際は地形が富士の裾野で傾斜しているのである。
36 料金所付近から愛鷹山を望む
このあたりの赤い県境標識は、行政ではなく、箱根温泉供給鰍ニいう民間会社が設置している。写真38の道標では、長尾峠の方向は正しく表記されていた。
37 境界見出標 38 長尾峠、黒岳間の道標 その2
39 黒岳へ その3 40 1044.9mピークの三角点
41 黒岳へ その4 42 箱根スカイライン越しに見える富士山
43 富士見ヶ丘公園から富士山を望む
このあたりの県境登山道は、箱根スカイラインと平行しており、ところどころに展望公園がある。富士山の左側には小さく雪山が見える。南アルプスだろうか。
44 富士見ヶ丘公園から丸岳、金時山を望む 45 湖尻水門分岐
46 黒岳へ その5 47 スカイライン展望台から芦ノ湖を望む
48 スカイライン展望台から富士山を望む 49 黒岳
観光客がたくさんいる展望台を過ぎ、三叉路に着いた。ここで、中年の夫婦に「黒岳はどこでしょうか。」と尋ねられた。念のため地図を取り出し確認すると、多分このあたりだと思われたが、標識には何も書いてない。正面が小高いピークになっていたのでそのあたりかもしれませんと答えたが、ご主人は奥さんの手前、地図を持っていないことを少し恥じているようであった。念のため黒岳の標識がないか直進して確かめたが、やはり、なかった。ちなみに、黒岳と言う表記は、2000年のゼンリン登山地図には載っているが、最新の昭文社の登山地図には載っていないので、あまり一般的ではないのかもしれない。
ここから、静岡県側の境界に接するのが、御殿場市から裾野市に変わる。
50 湖尻峠へ その1 51 湖尻峠へ その2
黒岳から湖尻峠へ降りる道は、一面の笹原の中を深い緑色をした芦ノ湖へ向かっておりていくという、素晴らしい景色で、思わず走り出したくなるような衝動を覚えた。大袈裟ではなく、箱根に来たのなら、ここを歩かないでどうする、と思う。
52 湖尻峠へ その3
53 湖尻峠へ その4 54 眼下の湖尻水門
55 湖尻峠へ その5 56 黒岳を振り返る
感動のあまり、一気に降りて上を見上げると、黒岳の笹原の斜面の高度感が思ったよりもずっと大きい。
57 笹原と愛鷹山 58 湖尻峠へ その6
59 湖尻峠から黒岳を見上げる
60 湖尻峠 61 歩行禁止標識
12時に標高850mの湖尻峠に着いた。車道を横断するが、それ以外の車道を歩くことは禁止されている。次の目的地は三国山である。
62 三国山へ その1 63 三国山へ その2
時間が遅いせいか、交通の便が悪いせいかは判らないが、人が少なくなったような気がする。
64 三国山へ その3 65 三国山へ その4
急坂というほどではないが、少し息が上がる程度の登りが終わると、標高1101.8mの三国山山頂である。12時50分であるが、誰もいない。樹間から芦ノ湖が少し見える程度で、展望もない地味な山頂だ。ここでやっと今日の行程の半分を過ぎたことになる。先は長いので5分ほどの休憩だ。
66 三国山 その1 67 三国山 その2
68 三国山 その3 69 三国山 その4
この県境の旅では3つめの三国山である。今までの2つの三国山は、当たり前であるがいずれも3つの国、現在は3つの都県の境界にあった。したがって、ここもそう考えても不思議ではない。つまり、相模、駿河、伊豆の国の境界である。ただし、現在市町村の境界になっていないので、単に山頂から3つの国が見えるのでそう呼ばれているだけかもしれない。
70 三国山 その5 71 山伏峠へ その1
ところどころで垣間見える芦ノ湖を眺めながら、次の目的地である山伏峠を目指す。時間的にはともかく、体力はまだ余裕である。
72 芦ノ湖を見下ろす 73 登山道整備資材
74 山伏峠へ その2 75 樹間の芦ノ湖
写真73に登山道の補修資材がデポされていたが、写真76のように使われているようだ。見た目はあまりよくないが、しっかりしていて安心感のある木製階段だ。
76 豪快な階段 77 山伏峠へ その3
山伏峠らしい高まりが見えた。
78 山伏峠遠望 79 山伏峠へ その4
垂直の岩にブナが水平に生えている横を木道で通り抜ける。まるで写真を90度反時計回りに回転させたような不思議な光景である。それにしても、全く土がないのに岩から直接生えて、強引に根を絡ませているブナの生命力には驚くばかりである。
岩を過ぎるとそこが山伏峠であった。ピークを巻いているらしい。
80 水平に生えるブナの木 81 山伏峠
突然開けたところに出る。レストハウスがあり、たくさんの人がいた。その上、つまり写真78、79の反対側の斜面になるが、そこからの眺めは素晴らしいので思わずカメラを取り出す。
82 芦ノ湖スカイラインレストハウス上から富士山を望む
83 芦ノ湖スカイラインレストハウス上から駿河湾を望む
光る駿河湾と沼津市街を隔てる千本松原の美しい弧が見えた。
84 芦ノ湖スカイラインレストハウス上から芦ノ湖を望む
85 芦ノ湖レストハウスを見下ろす 86 海ノ平へ その1
レストハウスをすぎると再び人のいない静寂の世界になる。スカイラインとの距離はごく近いと思われるが、背の高い箱根竹の壁により隔絶されている。登山道は、笹原を切り開かれているが、刈った竹が土留めとして使われているのには感心した。ただし、竹の上に乗ると滑りやすいので注意する必要がある。
87 竹の土留め 88 海ノ平へ その2
笹原を抜けると暗い林になった。
道は、再び高度を上げると、気持の良いススキの草原になった。振り返ると富士山が見える。今日の見納めになるかもしれないと思い、カメラと自分の網膜にその姿を焼き付けておく。陽が傾いて、長く伸びる草原の影が哀愁を漂わせている。
89 富士山を振り返る 90 海ノ平へ その3
なだらかな道だ。このままどこまでも歩いて行きたくなる。
91 海ノ平へ その4 92 海ノ平へ その5
緩やかな坂を登り切ると海ノ平の標識があった。ただし、表記は「海平」である。なんだか、サザエさんのマンガに出てきそうな漢字だが、その名のとおり、平らなピークだ。標高は941.5m、時間は15時5分である。
93 海ノ平 94 箱根峠へ その1
写真95のように真っ直ぐ県境の防火帯が続いているのを俯瞰することが出来る。正面は鞍掛山であるが、今日の目的地はその手前の箱根峠である。あの山の向こうに行くのは次回ということになる。
95 箱根峠へ その2 96 芦ノ湖カントリークラブ
坂を降り切ると、防火帯と県境は真っ直ぐ続いているが、登山道は写真97のようにここから左折して谷に降りていく。
97 県境から左へ 98 箱根峠へ その3
谷底を何度かアップダウンして登山道が続いている。なんだかものすごく遠回りをしているように思うが、箱根スカイラインは歩行禁止なので登山道を行くしかない。
99 登山道入口の道標
100 道の駅箱根峠
15時40分、国道沿いの道の駅に着いた。トイレ休憩である。すっかり陽が陰って寒く感じたので温度計をみると10℃だった。気温はそれほど低くない。意に反してかなり下ってしまったようで、ここから再び箱根峠まで車道を登っていくのかと思うと気が重い。ついでに、かなりの距離を歩いてきたので足も重い。寒く感じたのもそのせいだろう。
101 道の駅箱根峠気温 102 箱根旧街道
103 挟石坂 104 挟石坂解説板
旧街道を横目に見ながら国道1号線を登り返していく。
105 箱根峠へ その4
106 箱根峠から中央火口丘を望む
かなり登るのかと思ってトボトボと車道を歩いていたら、あっけなく箱根峠についた。駒ケ岳が夕陽に赤く染まっている。
GPSで、写真97の県境を外れた地点からのルートを事後確認してみたのが上図である。えらく遠回りを余儀なくされたようだ。余計な上り下りも大変である。箱根峠から三島方面に帰る方が便利な人も多いので、出来れば、この登山道から箱根峠へのショートカットの道をつけて欲しいものだ。この登山道は、箱根町が管理しているので、このままでは道の駅や芦ノ湖畔に人を誘導しているのではと疑われてもしかたがない、と遠回りをさせられた鬱憤をここで晴らしておく。こんな人目につかない所で文句を言わずに、直接箱根町に言えばいいではないかという意見には、正論過ぎて反論の余地はないのであるが、面と向かってそういえないのも小心者の悲しい性である。
寒い中で30分バスを待っている間に、信号で停まった車の中から、なんでこんな寒風吹きすさむ所で、こんな時間にバスを待っているのだろう、という好奇の視線が突き刺さるのを幾度と無く経験した。すっかり暗くなった三島駅から東海道線上り電車に乗る。
107 箱根峠バス停 108 三島駅
GPSによる今日の歩行経路
GPSによる今日の歩行経路 (Google earth 3D)
GPSによる今日の高度記録
県境の山々を駆け巡ってきたこの旅も、残り少なくなってきたが、今日ははっきり言おう。
ここまでの県境尾根の中で、今回のコースが最高の景色であった と...。
まあ、いろいろな見方があり、それぞれに素晴らしい要素はたくさんあるが、こと、その景色の美しさについては、この箱根外輪山が最高であった。皆さんにも是非歩いていただきたい。ただし、天気が良いことが前提である。なんといっても、箱根の山々、駿河湾、相模湾、そして富士山という絵葉書で見慣れているはずの景色が想像以上の大きさと美しさで目の前にある、というのが最大のポイントなので、それらが見えなければ魅力は半減どころか、90%OFFである。
また、エスケープルートが多く、車道も近いため、道迷い、クマの出没などの危険がなく、景色を楽しみながら山中を気軽に歩けるという、精神的なものもあるかもしれない。
次回は、いよいよ箱根山を下る。無事、相模湾へ辿りつけるだろうか。
(本日の歩数:35410歩)
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