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矢 倉 岳 標高870m 登山開始地点標高759m
自分の足で登らない山シリーズ第12弾 足柄にある景色が素晴らしいおむすび型の独立峰 |
◆ 2013年4月29日
今日は、矢倉岳に行こう。と言ってもご存じない方も多いかもしれないが、位置的には箱根の北側にある足柄山の一部であり、特徴的なおにぎりのような三角形の山である。標高は、870mと決して高くないが、その眺望から、一目置かれている人気の山だ。
足柄平野からは、箱根外輪山とともに、印象的な姿が見える。
足柄平野から見た矢倉岳 麓の地蔵堂からみた矢倉岳
普通は、標高270mの矢倉沢から登るのであるが、冬を除く休日に運行される万葉公園行きのバスで終点まで行くと、そこはもう標高759mの足柄峠で、そこからの登山道を行けば、自分の足はほとんど疲れないということになる。まあ、そううまく行くかどうかはわからないが。
1 大雄山駅 2 万葉公園行きバス
関本(大雄山駅)を8時40分に出発する午前中唯一のバスに乗る。峠道用の小さなバスであるが、すでに満員で、おばちゃんグループの占拠する後部座席の一角で小さくなっているしかない。山に行く朝のおばちゃんグループは例外なく、うるさ....いや、賑やかである。9時10分に万葉公園バス停に到着した。このバス停の名前は「足柄峠」のほうが良いと思う。
ここは、神奈川県と静岡県の県境であり、神奈川県一周で歩いた懐かしい道である。
3 万葉公園バス停 4 バス停から見た富士山
5 足柄峠解説板
矢倉岳は、ここから北へ向かうが、前回、足柄城址から富士山を見た時に、ちょっと雲がかかっていたので、もう一度見に行ってみようと思い、南へ向かう。金時山へ登る人が多いようだ。
6 足柄城址から富士山を望む
天気は良いが、残念ながら薄い雲が広がっており、空の色はぼけている。しかし、富士山の全貌は余すところなく見えたので、良しとしよう。
7 足柄城址から愛鷹山を望む 8 玉手ヶ池入口
前回は気がつかなかったが、池があった。足柄城の重要な水源である。
9 玉手ヶ池
10 玉手ヶ池解説板
11 足柄城址から金時山を望む 12 万葉公園バス停に戻る
再び万葉公園バス停に戻って、9時46分、改めて矢倉岳に向かって出発する。
13 万葉公園から矢倉岳を望む
14 万葉公園を北へ その1 15 手作り標識
岩田さんの手作り道標がある。久しぶりに見て懐かしい気がした。
16 万葉公園を北へ その2 17 富士箱根トレイル分岐
18 万葉公園を北へ その3 19 地蔵堂方面分岐
20 登山道から見る矢倉岳
21 山伏平へ その1 22 眺めの良い伐採地
足柄峠から矢倉岳への道は、なだらかでやや下り気味の楽な道である。
23 山伏平へ その2 24 地蔵堂方面分岐
写真24で分岐となる。先行していたグループは真っすぐ行ってしまった。道標を確認すると、矢倉岳は左折である。直進すると地蔵堂へ下ってしまうので、グループを追いかけて呼び止めるが、声は届かずそのまま行ってしまった。まあ、どこかで気がつくだろう。10時36分山伏平に到着したが、人工林の中の暗い場所で特に何もない。ここから、あと150mくらい登れば頂上に着くはずだ。
25 山伏平へ その3 26 山伏平
27 矢倉岳山頂へ その1 28 矢倉岳山頂へ その2
右手が開けて、素晴らしい景色が現れた。
29 登山道から富士山と足柄峠を望む
30 登山道から道志・西丹沢方面を望む
31 矢倉岳山頂へ その3 32 矢倉岳山頂へ その4
33 矢倉岳山頂へ
10時53分、標高870mの矢倉岳山頂に到着である。
34 山頂から箱根を望む
山頂は草原になっていて、南方面が開けており、箱根が目の前に迫っている。
35 山頂から金時山と愛鷹山を望む
36 山頂標識
次から次へと登山者が登ってくる。途中で道を間違えたグループも無事ついたようだ。
37 山頂から富士山を望む
言うまでもなく、ここからの富士山の眺望がこの山の魅力を決定づけている。標高は高くないが、間にある足柄峠よりも標高が高いので、素晴らしい景観が見られるのである。
今日の行程は、いつもの計画とは異なり、非常に余裕があるので、気持ちの良い草の山頂でザックを枕にipodを聴きながら昼寝をした。親子連れや若者グループもいて、みんな、写真を撮ったり、食事をしながら楽しそうである。
38 山頂の祠 39 山頂から相模湾を望む
12時になったので、矢倉沢へ向けて下山することにした。
40 矢倉沢へ その1 41 矢倉沢へ その2
林間の道を快調に下っていく。何しろ、楽をしたおかげで体力は有り余っている。逆に、登ってくる人は苦しそうである。矢倉沢からだと600mは登らなければならない。
若い女性グループに、「頂上まであとどれくらいですか」と聞かれた。時計を見ると、標高800mと表示されていたので、「あと40m、すぐです、10分くらい」と答える。標高にして40mというのが理解できなかったらしく、「微妙だわ」と言っていた。高田純次のようにテキトーに答えてしまったが、あとでよく考えると、矢倉岳の標高は870mなので、正確には70mである。時間は12時10分、すなわち下りで10分かかっていたので、登りだとあと20分はかかるだろう。まあ、頂上が近いといっておいたほうが、励みになるかもね、と自分のいい加減さを正当化して、さらに下っていく。
42 矢倉沢へ その3 43 矢倉沢へ その4
下ってくると、アヤメだか菖蒲のようなきれいな花が群生して咲いていたので写真を撮った。花には詳しくないので帰って来てから調べると、シャガという植物らしい。帰化植物で、人工林とか人里に生えるということなので、里が近づいた証拠ということになる。
44 シャガ 45 シャガの群生
46 倒木を潜る 47 登山道終点
程なくして、登山道の終点となり、コンクリートの道路が現れた。茶畑が美しい。足柄茶である。
48 茶畑
49 矢倉沢集落へ 50 登山道案内のある家
矢倉沢集落の中心地に着いた。写真50の家は偉い。自宅の壁に登山道案内を大きく書いている。さんざん道を聞かれて困ったからだろうか。
ここにはバス停があった。時刻表を確認するが、休日の午後にここに来るバスはない。筆者がバス時刻表を覗き込んでいるのを見て、年配の夫婦が寄ってきたので、バスは来ないことを教えてあげる。しかし、信じられなかったようで、自分での目で確かめていた。
51 本村バス停 52 内川
矢倉沢のバス停は、南側の県道沿いにある。ここでバスの時刻を確認しているとさっきの年配夫婦が戻ってきた。納得したのだろう。しかし、ここも次のバスまで1時間半もある。夫婦は文句を言っているが仕方が無いだろう。
地図を見ると、県道の北側の尾根沿いに道があるので、歩いてみることにした。
53 尾根への分岐 54 尾根に上がる
55 イノシシ避けゲート 56 足柄古道 その1
なんとなくいい道だなあ、と思っていたら、昔の日本人もそう思っていたらしく、ここが足柄古道、すなわち古代の都と東国を結ぶ街道跡であることが、道端の可愛らしい標識でわかった。奈良時代から江戸時代に富士山の噴火で足柄峠が通れなくなるまで、貴人も武士も庶民も通った当時のメインストリートである。
57 足柄古道 その2 58 足柄古道から箱根外輪山を望む
59 足柄古道 その3 60 足柄古道 その4
頼朝や義経も度々通ったのかと思うと、ありふれた農村の景色もなんだか違って見える。
61 足柄古道 その5 62 足柄古道 その6
63 足柄古道から箱根外輪山・明神ヶ岳を望む
頼朝も、足柄峠を越え、写真63のように箱根外輪山を仰ぎ見ると、もう鎌倉も近いと思ったに違いない。
64 足柄古道 その7 65 足柄古道 その8
66 足柄神社 67 足柄神社手水舎
足柄古道沿いだけあって、さすがに神社も古い。手水舎には、享保11年と掘ってあった。1726年である。
68 足柄神社解説板
69 足柄古道 その9 70 足柄古道が県道へ合流する
足柄古道は、下って県道と合流する。
71 足柄古道入口標識 72 足柄神社案内
73 白地蔵尊 その1 74 白地蔵尊 その2
お地蔵様が本当に真っ白である。
75 白地蔵尊解説板
県道になってはいても、足柄古道跡であることは変わらないわけで、歴史を偲ばせるものが多くて心を奪われる。
76 大門通り 77 県道を歩く
そろそろバスが来る時間だ。大雄山駅まで歩けないこともないが、雨坪バス停からバスに乗った。
GPSによる本日の歩行経路
矢倉岳の標高が高くないこともあるが、今日はまさに楽勝登山であった。万葉公園からならば、幼児でも登れるだろう。しかし、矢倉岳頂上の展望は、高い山に引けをとらない雄大さである。そして、広い山頂は芝生のような草原になっており、ゆっくりと寛ぐには最高である。登山をしたい人は、麓の矢倉沢か地蔵堂から登れば良いだろう。
(本日の歩数:24357歩)
関連サイト 狩川探訪
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